YouTube広告の“真の効果”を可視化する。新ソリューション「Pure Lift Vision」による認知施策の効果測定とは
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YouTubeの国内月間利用者数は7,493万人(※)にのぼり、多くの人々の生活に欠かせない動画プラットフォームとなっています。幅広い層にアプローチできるため、YouTube広告は多くの企業にとって、ブランドや商品の認知度を高める強力な手段です。
一方で、YouTube広告は費用対効果の評価が難しいとも言われています。多くのマーケティングご担当者様がこの課題に直面されているのではないでしょうか。
本記事では、これまで可視化が困難であったYouTubeにおける認知広告の純粋な効果を明らかにする、セプテーニの新しい分析ソリューション「Pure Lift Vision(ピュア リフト ビジョン)」について、その仕組みと活用事例を解説します。
※ニールセン デジタル株式会社「TOPS OF 2024: DIGITAL IN JAPAN ニールセン2024年日本のインターネットサービス利用者数/利用時間ランキングを発表」より引用
広告を見てもすぐに行動しないユーザーの影響をどう測る?認知広告の効果測定における課題
獲得広告におけるユーザーの導線は、クリックからコンバージョン(CV)までオンラインで完結します。
一方で、認知広告は、ユーザーの意識や興味を高めることを主目的とするため、広告に接触したユーザーがすぐに購入などのアクションを起こすとは限りません。ユーザーは、広告視聴後に時間を置いて自然検索などの別経路からサイトを訪れることも多いため、広告接触からCVまでの効果を追跡する期間(アトリビューション期間)の設定によっては、適切な効果計測ができない場合があります。
この課題の解決策として、従来のプラットフォーマーで計測できるビュースルーCV※計測を活用し、広告接触とCVを紐づけることは可能です。しかし、そのCVが「広告に接触しなくても、いずれ発生していたCV」である可能性を排除できません。そのため、広告がどれだけ効果を上乗せしたのか(リフト効果)を正確に把握することが難しく、認知施策の適切な評価や投資判断を阻む一因となっていたのです。
※ビュースルーCV:ユーザーが広告をクリックせずに閲覧した状態で、その後に商品購入やサービス登録といったコンバージョン(CV)を達成した場合に、そのCVを広告の効果としてカウントする指標。
セプテーニとGoogleで共同開発したPure Lift Vision(ピュア リフト ビジョン)
こうした課題を解決するために開発された、YouTube広告の効果を可視化する分析ソリューションが「Pure Lift Vision(ピュア リフト ビジョン)」です。
Googleが提供するセキュアなデータ分析環境「Ads Data Hub(ADH)」と、Googleと共同で開発したセプテーニ独自の集計手法を用いて、広告接触によるユーザーの行動変容をより正確に捉えます。
広告効果をより正確に可視化する分析手法とは
Pure Lift Visionの最大の特徴は、広告の「視認秒数」に基づいてユーザーをグループ分けし、疑似的なA/Bテスト環境でそれぞれの行動変容率を比較する点にあります。
YouTubeにおいて、広告面積の50%以上が画面に表示され、音声がオンの状態で視聴したユーザーを対象に、その視聴時間によって「アクティブビュー群」「非アクティブビュー群」の2つの群に分類します。
- アクティブビュー群(分析対象群):YouTube広告を一定秒数以上視聴したユーザー
- 非アクティブビュー群(比較対象群):YouTube広告は表示されたが、視聴秒数が一定未満のユーザー
YouTube広告が表示される仕組みは、ターゲティング設定(年齢、性別、興味関心など)に基づいているため、同じ広告が表示されるユーザーは、ある程度似た属性や興味を持っていると考えられます。そのため、「アクティブビュー群」と「非アクティブビュー群」の違いは、広告を「どれだけ視聴したか(視聴時間)」にあるだけで、基本的な興味や特性はほぼ同じと仮定できます。
よって、視聴秒数が一定未満の「非アクティブビュー群」の行動変容率(CVR)を基準とすれば、それに対する「アクティブビュー群」のCVRの伸び幅を、広告視聴による“純粋な効果”として捉えることができます。この相対的なリフト効果を算出することで、広告視聴がユーザーの行動に与えた純粋な影響を定量的に評価し、広告クリエイティブが持つ“真の効果”を明らかにすることが可能となります。
教育、美容、人材業界におけるPure Lift Vision(ピュア リフト ビジョン)の活用事例
実際に「Pure Lift Vision(ピュア リフト ビジョン)」を活用した分析事例を3つご紹介します。
- 事例①:教育系企業
5種のクリエイティブ(CR)で分析を実施したところ、すべてのクリエイティブで統計的に有意なリフト効果が確認されました。
特に「CR2」はリフト効果が約1,021%と極めて高いため、このクリエイティブに予算を集約した配信を推奨することができました。
- 事例②:美容系企業
2種のクリエイティブで分析を実施したところ、統計的に有意な結果ではなかったものの、両種ともにリフトが確認されました。
「CR2」のほうが「CR1」よりもリフトが高いため、CR2をベースとした改善案の検討を行うことができました。
- 事例③:人材系企業
6種のクリエイティブで分析を実施したところ、複数のクリエイティブで有意なリフトが確認された一方で、リフト効果が低い、あるいは有意差が見られないクリエイティブも特定できました。
これにより、リフトの低いクリエイティブの精査や、リフトが高いクリエイティブをベースとした改善案の検討を行うことができました。
“真の効果”を捉え、データドリブンな意思決定を可能に
本記事では、YouTubeの認知広告の効果測定における課題と、その解決策としての「Pure Lift Vision(ピュア リフト ビジョン)」について解説しました。 広告の視聴深度でユーザーを分類し、行動変容率を比較することで、これまで曖昧になりがちだった認知施策の効果を、客観的なデータとして明確に示します。
これにより、マーケターはクリエイティブの評価や予算配分の最適化を、確かな根拠を持って行うことが可能となります。
認知施策の重要性がますます高まるなか、その効果を正しく把握し、次なる一手へとつなげていくことが、マーケティング活動全体の成果を最大化するカギとなると言えるでしょう。
「自社のYouTube広告の効果を可視化したい」
「データに基づいてクリエイティブを最適化したい」
このような課題をお持ちでしたら、ぜひ一度セプテーニにご相談ください。
セプテーニでは今後も、「人」×「テクノロジー」を通じた質の高いマーケティング手法の開発・提供により、効率的な広告運用と企業のマーケティング活動における課題解決を図ってまいります。
執筆者

ソリューションテクノロジー領域データソリューション部 荒井 覚仁
2019年にSepteni Japan株式会社へ新卒入社し、広告運用コンサルタントとして、幅広い媒体の運用を担当。 2020年より電通デジタルへ出向し、アカウントプランナーとしてデジタル領域のクライアント営業を担当。 2024年に帰任し、現在までData Clean Roomを活用した高度な分析業務に従事。データ分析を通じて顧客の事業成長に貢献する。