2025.9.26

ポストCookie時代のCRO戦略〜セプテーニ×ミロゴスが実践するLINE公式アカウント活用最前線〜

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  • CRO
  • コンバージョン改善

Septeni FOCUS 編集部

ポストCookie時代のCRO戦略〜セプテーニ×ミロゴスが実践するLINE公式アカウント活用最前線〜

Cookie規制や個人情報保護法の強化により、デジタル広告市場の構造は大きく変化しています。
過去の記事でも解説した通り、特にiOSではリターゲティング広告の配信比率がAndroidと比較して3年間で約82%※も減少しています。
※当社取り扱いYahoo!ディスプレイ広告におけるリターゲティングキャンペーンのiOS/Android数値より算出

 

企業が消費者と直接つながることが困難になりつつある今、注目を集めているのが、LINEを活用した新たな顧客接点の構築と育成モデルです。特にLINE公式アカウントは、情報発信だけではなく、双方向のコミュニケーションを実現し、ユーザーとの関係性を深めることのできるプラットフォームです。

デジタルマーケティング企業としての知見を持つ株式会社セプテーニ(以下、セプテーニ)は、LINE公式アカウント×チャットボット施策を通じて化粧品メーカーで10倍以上のCV増加を実現するなど、数々の事例を創出しています。

一方、2018年の設立以来、LINE公式アカウントを活用した企業のマーケティング支援に特化してきたミロゴス株式会社(以下、ミロゴス)は、LINEヤフー社認定の技術支援パートナーとして、「Technology Partner」のコミュニケーション部門「Premier」を3期連続で取得しています。この専門性を活かし、LINE公式アカウントの運用改善によりROAS(※1)約14倍という顕著な成果を上げています。

そして今、この2社が連携することで、従来のリターゲティング広告では対応できなくなった離脱ユーザーへのアプローチにおける課題を解決。広告からCRM(※2)までを一気通貫でカバーする新たな顧客体験価値の創出に取り組んでいます。

本記事では、LINE公式アカウントの活用における最新トレンドと具体的なCRO(コンバージョン率最適化)戦略について、セプテーニの CXソリューション領域 LINE事業部の高柳咲希氏、加藤一氏、そしてミロゴスの千葉萌香氏に話を伺いました。

※1 ROAS:広告費に対して得られた利益を示す指標
※2 CRM:Customer Relationship Management(顧客関係管理)

LINE公式アカウント活用の現状と変化

―まずは簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか。

高柳氏:2017年に新卒でSepteni Japan株式会社に入社し、2020年に営業組織に異動しました。現在はCXソリューション領域のLINE事業部において、マネージャーとして組織運営を行いつつ、LINE公式アカウントを活用した顧客体験設計を担当しています。

加藤氏:2024年に中途採用でSepteni Japan株式会社に入社しました。現在はLINE事業部のセールスとして、企業の課題に合わせたLINE公式アカウント活用の提案や事例構築を中心に担当しています。

千葉氏:2019年に新卒でミロゴス株式会社に入社し、入社時から一貫してLINE公式アカウントの支援業務に携わっています。オペレーション、開発プロジェクト推進、コンサルティング、セールスと幅広く経験し、現在はお客様の課題やご要望に応じた提案を強みとして、LINE公式アカウントの導入から運用まで一気通貫でコンサルティングを担当しています。

―LINE公式アカウントの活用状況は、ここ数年でどのように変化していますか?

高柳氏の画像

高柳氏:Cookie規制の強化や個人情報保護法の改正により、広告のターゲティング精度が低下しています。特に変化が顕著なのが、サイト離脱ユーザーへのアプローチ手法です。従来はリターゲティング広告で既に訪問したことのあるユーザーに再度広告を配信することが主流でした。

しかし、プライバシー保護の観点から、この「Cookie」が保存される期間が短くなり、ウェブサイトを訪れたユーザーの情報がすぐに消えてしまうようになったため、再アプローチが困難になっています。

cookie規制の影響範囲についての表画像

そこで注目されているのが、離脱ユーザーをLINE公式アカウントに誘導する手法です。LINE公式アカウントであれば、一方的な情報発信に留まらず、ユーザーと相互にコミュニケーションを取ることができます。

この双方向性こそがLINE公式アカウントの大きな特性であり、企業がユーザーと直接つながることができる重要なツールとして、Cookie規制時代において重要性が増している理由です。

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千葉氏:そのような背景があるなかで、「LINE公式アカウントをどう活用していくべきか」というお悩みや、「デジタルマーケティングの中心としてLINEを位置付けたい」という声が非常に増えています。具体的には、LINE公式アカウントの活用方法について、大きく3つの変化が生じています。

まず、企業がLINE公式アカウントでコミュニケーションを取りたい対象ユーザーの範囲が変わりました。以前は一定以上ブランドへの愛着がある「F2(※3)のお客様」を中心に友だち登録していただくケースが多かったです。

しかし、最近では「1つの購買層に狭めて考えるのではなく、ブランドとの最初の接点からフェーズごとに最適な体験を提供できるタッチポイントとして活用したい」と考える企業が増えています。

2つ目は、企業からの相談内容の変化です。当社は元々、APIを活用したLINEの配信やデータ蓄積ツールを提供するSaaSベンダーとして、「この施策を実行したい」といった具体的な実施方法に関する相談を多くいただいていました。

しかし最近では、「こんな方針でLINEを使っていきたいけれど、何から着手すれば良いのか分からない」「運用の方向性を示してほしい」といった、戦略や施策立案などの上流工程についての相談が増えています。

3つ目はKPIの変化です。従来は売上や購入件数、CPA(※4)やROASといった獲得指標を目標に設定するケースが多かったのですが、現在は、より良い顧客体験を提供してロイヤルティを深めること、そして長期的な関係構築を目指し、LTV(※5)などの中長期指標を重視する企業が増えています。

※3 F2:購入回数が2回以上のユーザー
※4 CPA:ユーザーが商品購入などするのにかかった広告費用
※5 LTV(ライフタイムバリュー):顧客が初めて商品購入やサービス利用を始めてから終了するまでに、企業が得られる利益

LINE公式アカウント活用を支える専門チーム

―セプテーニのLINE事業部について教えてください。

高柳氏:当社のCXソリューションの専門組織は、広告配信以降の「検討〜ロイヤルティ」領域において顧客体験の価値を最大化し、CV・LTVを最大化することをミッションとしています。お客様の課題に応じて最適なソリューションを選定し、顧客ユニークなパッケージを提供しているのが特徴です。

そのなかでも、LINEは特に重要な分野として位置付けています。その理由は大きく2つです。1つ目は、LINE公式アカウントはユーザーと双方向のコミュニケーションを実現することができ、CRMの観点で非常に重要な顧客接点になることです。

2つ目は、LINE公式アカウントがA/R統合(※6)において重要な役割を担っていくからです。LINEヤフー社は「Connect One構想(※7)」を掲げています。LINE公式アカウントを中心に、Yahoo!広告やYahoo!商圏のデータを連携することで、集客から購買、CRMまでのすべての顧客接点を統合し、LTV最大化を目指せるようになります。

実際に企業からの相談件数も急増しており、多くの企業がLINE活用を重要な事業課題として認識するようになったと感じております。

※6 A/R統合:顧客の獲得(アクイジション)から顧客の維持・育成(リテンション)までの顧客のライフサイクル全体を把握し、マーケティング活動を最適化する手法
※7 Connect One構想:https://www.lycbiz.com/jp/brand/connect-one/

―具体的にどのようなソリューションを提供されているのでしょうか?

ソリューションの画像

加藤氏の画像

加藤氏:代表的なソリューションが「LINE公式アカウント×チャットボット施策」です。コンバージョンに至らずに離脱してしまうユーザーをLINE公式アカウントへ誘導し、チャットボットを通じてコミュニケーションを取ることで、新たな顧客接点として活用することが可能になります。

セプテーニでは、こうしたLINE公式アカウントを通じた新規顧客の獲得から、その後のCRM戦略強化までを一貫してサポートし、ユーザーとの長期的な関係構築を促進しています。

核となるのは、LINE公式アカウント専任のプランニングチームです。企業のマーケティング活動をより効率的かつ効果的に進められるよう支援しているのが、私たちの提供価値です。

ミロゴスのLINE公式アカウント支援の強み

―ミロゴスのLINE公式アカウント支援の歴史について教えてください。

千葉氏:ミロゴスは2018年の設立以来、LINE公式アカウント支援に特化した事業を展開しています。この領域における豊富な実績と専門知識が強みです。

設立当初はAPIを活用したLINEの配信やデータ蓄積ツールの提供に注力し、SaaSツールベンダーとして、会員証のID連携や自動配信の設定、柔軟性のある個別開発などに対応してきました。近年は運用面の支援にも力を入れており、戦略策定からサポートを行っています。

他領域への事業拡大ではなく、LINE公式アカウント専門に特化していることが最大の特徴で、各企業が保有する既存ツールとの連携においても高い専門性を発揮し、LINE活用における最適解を提供しています。

また、ツール提供だけでなく個別開発にも対応することで、企業独自のニーズにも応えています。
LOOPASSについての画像

―LOOPASSなど、ミロゴスが提供するツールについて教えてください。

千葉氏:LOOPASSは、LINE公式アカウントで開放されているAPIを活用したDX支援サービスです。メッセージ配信を中心機能としつつ、全員配信や絞り込み配信に加え、「通知メッセージ」という電話番号ベースのメッセージ通知なども実現しています。

LOOPASSを基盤として「LOOPASS Messaging」「LOOPASS DMP」などの複数サービスを展開し、企業の目的に応じて柔軟に組み合わせることが可能です。
また、リッチメニューのカスタマイズツールやチャットボット機能、インスタントウィンなど、LINE公式アカウント内での顧客体験向上を支援する多様なツールを保有しています。

そして、特筆すべきは、LINEヤフー社認定の技術支援パートナーとして、「Technology Partner」のコミュニケーション部門「Premier」を3期連続で取得していることです。「Technology Partner」と「Sales Partner」の両方を併せ持つ企業は極めて少ないです。「Technology Partner」としては、「Performance」「Notification」の2部門での認定バッジも取得しており、これらの実績が技術力と提案力の証明となっています。

セプテーニ×ミロゴスが実現する統合的なLINE公式アカウント活用

―LINE公式アカウントを活用した両社の成功事例について教えてください。

加藤氏:具体的な成功事例として、化粧品業界のお客様での取り組みをご紹介します。こちらは、セプテーニグループ内で提供している、離脱ユーザーアプローチのためのLINE公式アカウント×チャットボット施策を活用した事例です。

LPやオウンドメディアからの離脱ユーザーをまずLINEに誘導し、その後チャットボットとの対話を通じて、企業が保有する多くの商品から、ユーザーに最適なものを選んでおすすめする仕組みを構築しています。診断結果に紐付く商品訴求により、ユーザーにとって納得感のある満足度の高いコミュニケーションを設計しました。

重要なのは、ただ商品を訴求するのではなく、ユーザーの不安や疑問を解消するコミュニケーションを設計することです。「あなたにぴったりの商品はこれです」という、その人の回答に合わせた個別性の高い訴求を行うことで、スムーズに自社ECへの誘導を促します。結果として、当社への移管前と比較して10倍以上のCV増加を達成しました。

千葉氏:一方、ミロゴスでの成功事例として、効率を上げることに焦点を当てた取り組みをご紹介します。

ある企業様では、配信効率の低下が課題となっていたため、配信対象の最適化によりROASを約14倍改善することに成功しました。

広範囲への配信はコストに対して反応量が得られず、効果的ではありません。
そこで、当社の強みであるツール開発により取得できるデータと、お客様が保有するデータを組み合わせて分析しました。購入意欲やエンゲージメントの高いユーザーを特定し、そこに絞った配信戦略に変更することで、ROASを約14倍まで向上させることができました。

LINE公式アカウントの運用では、「誰に配信するか」と「何を見せるか」の両軸での最適化が、効率を上げる成果向上のカギとなります。セグメントの分け方やクリエイティブの見せ方などについては、日々新しい手法が出てくるため、定期的な見直しと最適化が重要なのです。

セプテーニ×ミロゴスの連携による統合的アプローチ

―これらの事例を踏まえて、セプテーニとミロゴスの連携によってどのような価値を提供できるようになったのでしょうか?

高柳氏:セプテーニが持つデジタルマーケティングに関する幅広い知見と、ミロゴスが保有するLINEの専門知識と技術を組み合わせることで、より高度な施策の立案や精度の高いデータ活用を実現し、より効果的なマーケティング支援を提供することができます。

千葉氏:セプテーニはデジタルマーケティング企業として長年培ってきた豊富なソリューションと知見を持ち、お客様の課題に対して多角的なアプローチが可能です。

一方、ミロゴスはLINE公式アカウントに特化した事業を8年展開し、LOOPASSを中心とした独自ツール開発と運用コンサルティングの両面で、この領域における深い専門性とナレッジを蓄積してきました。

この両社の連携により、従来にはない統合的なアプローチが実現できます。

単体では発想できなかった革新的なLINE公式アカウントの活用方法や、企業の課題解決に向けた最適なソリューション設計など、2社の強みを活かした包括的な支援を提供できるでしょう。

Cookie規制時代に求められる、LINE公式アカウントを活用した顧客獲得・育成モデルの確立へ

―最後に、LINE公式アカウントを活用する企業や担当者の方々へメッセージをお願いします。

加藤氏:LINE公式アカウントは、新規獲得からLTV最大化まで対応できる包括的なプラットフォームです。ただし、その真価を発揮するには、戦略的な運用設計が不可欠です。

企業の「今期これぐらいの数字にしていきたい」という具体的な目標から逆算し、長期的な視点での運用体制構築が成功の前提となります。

継続的なユーザー接点の創出と、蓄積されるデータを活用したPDCAサイクルの確立により、持続的な成果創出が実現できるでしょう。短期的な効果を求めるのではなく、ユーザーとの関係性構築を軸とした中長期的な視点での取り組みをおすすめします。

千葉氏:LINE公式アカウント自体が歴史の長いツールになってきているため、やってみたけれど途中で諦めてしまった企業や、長く運用してきているが「これで良いのだろうか」という思いを抱えている企業が多くいらっしゃるのが現状です。

過去に期待した成果が得られなかった企業も、現在は新たなソリューションや手法が数多く登場しています。諦めるのではなく、最新のベストプラクティスを活用した再チャレンジをご検討してみてはいかがでしょうか。

データドリブンなアプローチと専門的な知見を組み合わせることで、大幅な改善を実現できる可能性が十分にあります。

高柳氏:Cookie規制により従来のリターゲティング手法が制限されるなか、企業には顧客の購買プロセス全体を見据えたファネル横断でのプランニングが求められています。LINE公式アカウントを単体で考えるのではなく、メール、Webサイト、広告といった複数のタッチポイントを統合した包括的な顧客体験設計が重要になるでしょう。

実際に、すでにアプリやメルマガを導入されている企業から「LINE公式アカウントはどのような役割を果たすべきか」といった相談を多くいただいています。顧客体験を起点にLINE公式アカウントの役割を再定義し、デジタルマーケティング戦略全体を考慮しながら企業にとって最適なソリューションを提案し、課題解決と成果創出を支援しています。

もし、顧客体験向上に課題をお持ちでしたら、ぜひセプテーニグループへご相談ください。

 

 

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執筆者

Septeni FOCUS 編集部

「Septeni FOCUS」は、Septeni Japan株式会社が運営するマーケティング担当者のためのメディアです。