2025.7.03

データドリブンマーケティングを進化させる次世代データ活用基盤 〜PRECOG DATA HUBが実現する企業のデータ活用革新〜

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データドリブンマーケティングの重要性が高まるなか、多くの企業がデータ活用における本質的な課題に直面しています。セプテーニは2018年より、AI予測モデルを用いた広告配信最適化ソリューション「Precog(プリコグ/現:PRECOG Optima)」の提供を通じて、企業のデータ活用を支援してまいりました。数多くの実践から見えてきたのは、組織のサイロ化やデータ管理の制約、そしてCDPの高額な導入コストなど、企業のデータ活用の妨げとなる課題の存在です。

私たちはこの課題を解決するために、6年間の実績と知見を結集し、データ活用支援ソリューションのサービス体系を刷新。そして、広告からCRMまでを一気通貫でカバーする統合的なデータプラットフォーム「PRECOG DATA HUB」を2024年11月にリリースいたしました。

本記事ではこれまでの歩みとともに、次世代のデータ活用基盤「PRECOG DATA HUB」が実現する可能性と、代理店ならではの提供価値について解説。統合的なデータマネジメントがもたらす革新について、具体的に説明していきます。

データドリブンマーケティングの進化を支えるPRECOG DATA HUB構想

セプテーニは2018年に業界を先駆けて広告配信最適化ソリューション「Precog」の提供を開始。各種データとAI(機械学習)による予測モデルを用いて、従来の広告配信プラットフォームでは成し得なかった高度な広告配信の最適化を実現しました。

広告配信の自動最適化機能は、データマッチング技術の進歩とともに、大幅に性能が向上しています。一方で、広告のクリックや商品の購入といった、最適化の基準となる指標は、基本的に広告媒体が提供する媒体タグにより取得したデータに依存してしまう側面がありました。
「Precog」では、媒体タグで取得できる成果だけでなく、Webサイト上のユーザーの行動ログや企業が保有するデータなども取得・連携します。AI技術を組み合わせることで、広告配信プラットフォームの自動最適化機能における量的制約や時間的制約も解消することができます。

例えば、あるサービスで「見積もり依頼」と「本申込」という2つのアクションポイントがある場合、本申込(より最終的な成果に近い指標)はコンバージョン数が少なく、広告配信の最適化が難しいという量的な制約が発生します。また、自動車や不動産といった検討期間の長い商材において、広告に接触してから購入に至るまでの期間が長く、広告媒体の計測期間(コンバージョンウィンドウ)に合わないケースが時間的制約に該当します。
「Precog」では、機械学習による予測モデルを用いてこれらの課題を解消しています。

「Precog」は、リリースから現在まで、延べ100社を超える企業にご活用いただいてきました。その先進性と実用性は、競合ソリューションと比較しても引き続き高い評価をいただいています。ECや金融など、さまざまな業界において高い成果を発揮し、Google Premier Partner Awards 2019の「アプリ広告部門」にて最優秀賞を受賞。各媒体からも評価いただいてきました。

 

Precogについては以下の記事もご確認ください。
関連記事:ファーストパーティデータを用いた予測機能で転換率アップ―データソリューション「Precog」を活用したセプテーニの広告運用

 

2021年には後続ソリューションとして、ポストCookie時代に向けた新計測基盤ソリューション「Precog Base」※1の提供も開始。正しい効果計測環境を整備することで、企業のデジタルマーケティング施策をサポートしています。
※1  https://www.septeni-holdings.co.jp/news/release/2021/12013126.html

 

これらのソリューションを提供していくなかで見えてきたのが、データ活用が進む現代における1st Party Data※2の有用性です。
変化の激しいデジタルマーケティングにおいては、いかに信頼性と精度の高い1st Party Dataを活用するかが重要視されるようになってきています。次の章では、なぜ今、1st Party Dataが重要なのか、その背景にあるマーケティング潮流の変化について解説します。

 

※2 1st Party Data:とは企業が自社で直接収集した、顧客やユーザーに関するデータの総称。自社サービスの会員登録情報や、過去の購入履歴、アンケート回答、コンテンツ利用状況など、信頼性の高いデータ。

統合マーケティングの需要の高まり

近年、消費者の購買行動の複雑化を背景に、マーケティング潮流が変化しています。よりマーケティング施策全体で最適化を図る必要性が生まれてきており、分断されたものを「統合管理する」需要が高まっています。

統合マーケティングでは、広告、PR、セールスプロモーション、ダイレクトマーケティング、Webサイト、店舗など、顧客とのあらゆる接点において一貫したメッセージとブランド体験を提供することが求められます。

そのためには、信頼性が高く、顧客の行動やニーズを深く理解できる1st Party Dataは非常に有用です。
しかし、1st Party Dataの活用にあたっては、各企業が抱える組織構造上の課題や、法的解釈を含んだデータ活用ポリシー上の課題も存在していました。

私たちがまず直面したのが、企業の組織構造や体制面に端を発するデータ統合の壁です。
例えば、部門ごとに異なるシステムやツールを使用している場合、それらを統合するには技術的な課題が発生します。各々が独立した基盤で管理し、組織間でデータ連携がされていないケースも多いのではないでしょうか。

2つ目は、導入ハードルの高さです。
業種特性上、特にデータ活用へ配慮が必要とされる企業も存在し、セキュリティ面で環境の構築や仕組みの変更がそう簡単ではないことも少なくありません。マーケティング部門と法務部門の距離が遠いケースや、社内の各種確認手続きに多くの時間を必要とするケースもあります。このような場合では、市場環境の変化に対する迅速なプロモーション施策実行が困難になるなど、実務面での課題も見られていました。

3つ目は、環境整備コストの壁です。
幅広いデータを統合活用するためには、膨大な量のデータを収集し、加工、蓄積するための環境と、一連の作業を実行するスキルを保有したエンジニア人材の確保が必要です。一般的に、CDP導入には年間で数千万円以上、場合によっては億単位の費用が必要となり、データ量によってはさらなるコストが発生します。また、用意した環境にマッチするスキル要件を満たした人材確保にも、多額の費用が必要となります。これらのコスト課題により、本格的な1st Party Dataの活用に踏み切れないケースも多く目にしてきました。

こうした1st Party Dataを活用した統合マーケティングを実現するうえで生じる課題を背景に、セプテーニは特定ツールの導入や構想立案などの“点”のサービスではなく、 “面”としてより包括的な支援をご提供するべきと考えました。

 

そして2024年、データ統合やデータ活用の効率化を支援し、企業の本質的な課題を解決するため、サービス体系を刷新しました。これまで広告配信最適化ソリューションとして提供してきた「PRECOG(プリコグ)」をブランド名として掲げ、そのもとでデータプラットフォームである「PRECOG DATA HUB」※3を基盤にアップデートしたソリューション「PRECOG Optima」、「PRECOG Base」、「PRECOG DCR」の提供を開始いたしました。※4

 

※3 セプテーニがこれまで培ってきた運用体制、実行力を軸に、広告からCRM施策までを一気通貫でカバーする新たなプラットフォーム。
※4 https://www.septeni-holdings.co.jp/news/release/2024/11013864.html

 

ブランド体系への刷新にあたり、従来の各サービス名称の変更と、新たにプラットフォームデータと1st Party Dataを含む各種データの統合分析を可能とするData Clean Room(DCR)ソリューションを追加。

 

  • 従来の「Precog」を「PRECOG Optima」へ刷新(既存ソリューションをPRECOGブランドに統合)

  • 従来の「Precog Base」を「PRECOG Base」へ刷新(既存ソリューションをPRECOGブランドに統合)

  • 新たに「PRECOG DCR」を追加

概念図(横長) (1)

PRECOG DATA HUBが描く、統合的なデータ活用の未来

さまざまな障壁によってデータの統合が難しかった企業も、PRECOG DATA HUBを導入すると、通常数億円規模の費用が必要となるCDP環境を、自社で一から膨大な投資をして用意する必要がなくなるほか、専門的な構築スキルを保有したエンジニアリソースを確保することもなく、少ない工数で統合的なデータマーケティングの最適化を実現できます。

 

また、代理店ならではの付加価値として、1st Party Dataだけではなく、当社の提携企業から提供される各種2nd Party Data※5をかけ合わせ、配信や分析にご活用いただくことも可能です。

※5 2nd Party Data:媒体や広告主企業とは異なる外部の企業(データベンダーなど)が収集・提供しているデータです。自社と直接的な顧客接点はないものの、契約などを通じてマーケティングに活用できる場合がある。

 

例えば、カードローンの企業を例とした場合、広告配信データと企業が保有する会員情報(1stParty Data)をかけ合わせた分析によって、「自社サイト内で特定のステップを達成している人はローンの申し込み確率が高い」といった示唆を出すことができます。
この分析結果に対し、さらに外部のデータベンダーが保有する年収情報や属性データ(2nd Party Data)をかけ合わせることで、「年収◯万円で〇〇のような趣味を持つ人は申し込み確率が高いステップに進む傾向にある」といった、より深い示唆に昇華することが可能となります。

 

最終的には、認知からロイヤル化まで、あらゆるコンタクトポイントのデータが集約及び統合され、一意のデータで管理できる状態を理想としています。統合的なデータ管理と活用が進むことで、現在より精度高く、ユーザーが「欲しい!」と思ったタイミングで必要なサポートや情報が届けられる、理想の未来が待っているかもしれません。

セプテーニは「PRECOG」ブランドをはじめ、「人」×「テクノロジー」を通じた質の高いマーケティング手法の開発・提供により、企業のマーケティング活動における課題解決を図り、持続的な成長を支えるパートナーとして確かな価値をお届けしてまいります。

 

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執筆者

 

ソリューションテクノロジー領域 データソリューション部 部門長 井上優人
2015年にセプテーニへ新卒入社。広告運用コンサルタントとして 20アカウント以上の媒体運用を経験後、アドネットワーク/DSP 領域の媒体担当として運用業務に従事。2019年に電通デジタルへ出向し、アカウントプランナーとしてクライアント営業を担当。2022年度電通デジタルの社内アワードにて、プレーヤー部門の年間 MVP を受賞。2023年10月より当時のデータ事業本部に帰任し、2024年よりデータソリューション部の事業責任者に就任。広告運用の高度化や、施策評価・分析を担う各種ソリューション領域を管掌している。