2025.7.02

Cookieレスのデジタルマーケティングを変革する 〜PRECOG Baseが実現する新時代の計測基盤〜

  • Cookie
  • 1st party data
  • データ活用
  • Precog
  • 広告効果計測

 

デジタルマーケティングの高度化が進むなか、企業は重要な転換点を迎えています。プライバシー保護の観点から3rd Party Cookieの取得・提供を制限する動きは、法規制とブラウザ規制の両面で加速しており、従来型のデータ活用手法は大きな変革を迫られています。

近年、このCookieレス環境への対応として、Conversions API(CAPI)※1を活用した計測補完ソリューションの導入が、企業のマーケティング活動における新たなスタンダードとなりつつあります。プライバシー保護と広告効果測定の両立が求められるなか、特に計測精度の維持やターゲティングの最適化において、効果的な対策が急務となっています。

このような環境変化を見据え、セプテーニは2021年より、サーバー間連携計測(S2S計測)※2の基盤構築パッケージPRECOG Baseを提供してまいりました。計測精度の向上により、導入案件全体でコンバージョン(CV)件数を2週間で平均17%増加※3させることに成功し、企業のデジタルマーケティング活動に貢献しています。

※1Conversions API(CAPI):Facebook(Meta)などが提供する、サーバーから直接コンバージョンデータを送信するためのAPI。S2S計測を実現する手段の一つです。
※2 サーバー間連携計測(S2S計測):「S2S」=「Server to Server」の略称。ブラウザやデバイス上のCookieに依存せず、サーバー間で直接データを連携し、広告効果やユーザー行動を計測する方法。PIIデータ(個人識別用情報)などを突合キーとして用いることがあります。
※3平均17%増加:PRECOG Base導入前2週間の実績と導入から2週間の実績を比較

本記事では、Cookie規制の最新動向とともに、次世代の計測基盤PRECOG Baseが実現する、プライバシー保護と広告効果測定の両立について解説。代理店ならではの実践的な知見をもとに、持続可能なデータ活用の未来をご紹介します。

ブラウザ規制で加速するCookieレス対策とプライバシー保護の潮流

デジタルマーケティングにおいて、Cookieを活用したユーザーデータの取得や分析は、広告配信や効果測定の基盤として定着してきました。しかし、欧州連合ではGDPR(一般データ保護規則)やePrivacy指令(クッキー法)、アメリカではCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)が施行されるなど、個人のプライバシー保護を重視する世界的な潮流により、Cookieを使用したユーザー追跡への規制が本格化しています。

従来のCookieベースのマーケティング手法の見直しが迫られるなか、デジタルマーケティング活動においては新たな計測基盤の確立が急務となっており、企業はプライバシー保護と効果測定の両立という新たな課題に直面しています。

 

Cookieの種類と役割

Cookieには、自社サイトでの利用に限定される「1st Party Cookie」と、サイトを横断してユーザーを追跡する「3rd Party Cookie」があります。1st Party Cookieはログイン情報の保持やカート情報の維持など、Webサイトの基本的な機能を支える重要な要素。一方、3rd Party Cookieは、広告配信の最適化やユーザー行動の分析に活用されています。特に3rd Party Cookieは、プライバシー保護の観点から規制が強化されており、1st Party Cookieについても、一部ブラウザで利用制限の動きが見られます。

Cookie規制によるデジタルマーケティング市場への影響

広告効果の測定においては、Cookieを使用したCV計測が困難になり、CV数が実態よりも少なく計測される現象や、最適化精度が低下する弊害が発生しています。また、Cookieを利用したパーソナライズド広告や、リターゲティング広告など、これまで効果を発揮してきた施策の継続にも支障が出ており、Cookie規制の強化によって、広告の効果計測と配信の両面で大きな制限が課されている状況です。

加えて、Cookieレス化はユーザー行動の分析やサイト来訪者の追跡など、マーケティング活動の基盤となるデータ収集にも影響を及ぼしています。
これにより、企業は投資対効果の正確な把握ができず、予算配分や施策判断が難しくなっています。

プライバシー保護強化に伴う計測補完ソリューションの必要性

記事用S2S概念図

プライバシー保護とCookieレスの潮流に関して、広告配信プラットフォームがどのように対応してきたのか、具体的な規制の動向とともに以下にまとめます。

 

<日本における法規制の動向>

  • 2022年4月の改正個人情報保護法により、Cookie情報を含む「個人関連情報」という概念が新設され、第三者提供時の本人同意取得が義務化
  • 2023年6月の改正電気通信事業法では、3rd Party Cookieを含むユーザー情報の外部送信時に、通知・公表やオプトイン/アウトの仕組み導入が必須に

<主要ブラウザの対応>

  • 法規制と並行して、ブラウザ側の対応も加速。SafariやFirefox、Edgeではすでに3rd Party Cookieのブロックを実施

  • Safariでは1st Party Cookieの使用制限も実施

  • Google Chromeにおいても、プライバシー保護を念頭に置き、ユーザー側でCookie活用を選択できる新しい機能の搭載を検討中

 

このように、法規制とブラウザ規制の両面から、従来型のデータ活用は、大きく制限を受ける状況となっています。Cookie規制に対する対策を行わない場合、広告配信における計測・ターゲティング・最適化に影響が及ぶため、Cookieを使わず、サーバー経由で連携してユーザーの行動を分析するサーバー間連携計測(S2S計測)の導入が、不可欠になっています。

 計測補完ソリューションPRECOG Baseによる広告効果の改善画像2-2

こうした背景から、セプテーニで計測補完ソリューションとして提供しているのがPRECOG Baseです。

Cookie規制へ対応するための計測基盤として、2021年のリリース以来、数多くの導入実績を確立。プライバシー保護の要請に応えながら、データの安全な活用と、広告効果改善を両立してきました。導入案件全体において、平均のCV獲得数を2週間で17%増加させるなど、安定的な成果を達成しています。

Cookieレス時代に対応する計測補完ソリューション

PRECOG Baseは、Cookieレス時代に対応した新計測基盤ソリューションとして、データプライバシーに配慮しつつ、ブラウザのCookieに依存しない新しい計測の仕組みを提供し、計測精度の向上や配信最適化・ターゲティング精度の改善を実現しています。

PRECOG Baseはウェブサイト上の行動データやフォーム入力情報などを、クラウドサーバー環境で連携処理することで、新たな基盤を構築します。実装方法は媒体によって異なりますが、PRECOG Baseでは媒体およびクライアントニーズに合わせ、複数の手段から最適な実装方法を選択することが可能です。

 

例えば、Metaにおいては以下3つの方法を用意しています。

 

  1. Server-side Tagging:ユーザーのブラウザではなく、ウェブサイトのサーバーを経由してMetaへデータを送信します。

  2. API連携:APIを介して、直接Metaへデータを送信するシンプルな方式です。

  3. Conversions API Gateway:Meta社が提供する専用の仕組み(ゲートウェイ)を利用してデータを送信します。

 

それぞれ強みは異なりますが、特に上記の「API連携」のような直接的なAPI実装を選択いただいた場合、CDP環境をセプテーニ内に構築することにより、より柔軟かつ発展的なデータ分析が可能となります。加えて、ご要望に応じて個別の顧客CDP環境をご用意いただくことで、よりセキュアなデータ管理を実現いたします。
(注)ただし、クライアントポリシーによっては、媒体へのPIIデータ(個人識別用情報)の共有自体に制限がかかる場合があり、各要件ごとの対応が必要となります。

CAPIによる計測精度の向上

記事内グラフ

PRECOG Baseでは、CAPIを用いた計測補完によって媒体CV・CPAを改善することが可能です。CAPIにより、Cookieを使用せずに広告プラットフォームのサーバー経由でデータをやり取りし、CVの計測ができます。
また、媒体CV数の計測精度が向上することで、広告配信時におけるターゲティングや入札の最適化精度の向上が期待できます。中長期的には、媒体CV・CPAだけでなく、媒体横断で計測をしている、広告計測ツール上でのCV・CPAも改善することが可能です。
セプテーニでは、最終的に広告計測ツールCPAの改善まで達成した事例が多数あり、各媒体ごとの改善例は以下の通りになっています。

 

  • A社(Google広告)の事例では、計測ツールCPAを約40%削減

  • B社(LINE広告)の事例では、計測ツールCPAを約40%削減

  • C社(Meta広告)の事例では、計測ツールCPAを約30%削減

  • D社(Yahoo!広告)の事例では、計測ツールCPAを約30%削減

 

このように、媒体計測の精度向上だけではなく、データの蓄積と広告配信における最適化精度の向上を通じて、広告計測ツール側の数値も着実に改善しています。

次世代の計測基盤PRECOG Baseが実現するデータ活用の未来

Cookie規制の本格化により、新しい計測基盤の導入は喫緊の課題となり、企業のデジタルマーケティング活動は大きな転換期を迎えています。
セプテーニは、クライアントの持続的なビジネス成長を支えるパートナーとして、PRECOG Baseの提供を通じてプライバシー保護と正確な効果測定の両立を実現し、新時代のデータ活用基盤の構築を支援していきます。

Cookieレス時代の新たな計測環境、そしてデータ活用基盤に課題を感じていらっしゃる場合は、ぜひセプテーニへご相談ください。

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執筆者

 

ソリューションテクノロジー領域 データソリューション部 植田俊哉
入社以来、一貫してデータ分析と計測補完ソリューションの納品業務に従事。専門は、各種Conversion API や CDP を用いたデータ環境の整備と、Data Clean Room や 1st Party Dataを活用した分析によるマーケティング支援を担当。テクノロジーと分析の両面から顧客の事業成長に貢献する。