LINE公式アカウントのセグメント配信は、ユーザーの属性や行動に合わせてメッセージを出し分けられる効果的な機能です。
年齢・性別・地域などの属性や、メッセージの開封・クリックといったユーザーの行動に応じて最適な情報を届けることで、開封率やクリック率を高め、売上アップやリピーター獲得につなげることができます。
この記事では、セグメント配信の基本的な仕組みやメリット、具体的なやり方から活用事例まで詳しく紹介します。
※こちらの記事は2025年11月18日時点での情報です。
LINE公式アカウントのセグメント配信とは、友だち登録しているユーザーを特定の条件でグループ分けし、それぞれの属性や行動に合わせて最適なメッセージを配信できる機能です。
例えば、同じキャンペーンでも「友だち追加して間もないユーザー」と「以前から友だちのユーザー」でメッセージの内容を変えることができるため、開封率やクリック率の向上、来店促進や購買率アップが期待できます。
セグメント配信の絞り込み方法には「属性」と「オーディエンス」の2種類があります。
「属性」での絞り込みは、以下の情報を利用して、ユーザーをグループ分けする方法です。
LINE公式アカウントでセグメント配信をする主なメリットは、以下の通りです。
LINE公式アカウントの一斉配信では、友だち登録しているすべてのユーザーに同じメッセージが届きます。
そのため、「自分には関係ない内容だ」「この情報は必要ない」といった印象を与えてしまう可能性があるでしょう。
例えば、「7日以内に友だち登録していただいた方限定!」というクーポンを一斉送信で配信してしまうと、そうでないユーザーは損をした感覚になるかもしれません。
セグメント配信を適切に使えば、ユーザー側が「これは私のために送られてきた情報だ」と感じやすくなり、受け入れられる確率が高まるでしょう。
「来店間隔が30日以上空いた顧客」や「過去90日以内に商品を購入していない顧客」など、行動にもとづいたセグメントを作ることで、新たな機会を掘り起こすことも可能です。
セグメント配信を行うことで、一斉配信よりも各ユーザーの興味関心に合った情報を配信しやすくなります。
反応が良いユーザー層に焦点を当てることで、クーポン利用や店舗への来店、Web購入など、「開封された後」「クリックされた後」の次の行動につながりやすいでしょう。
ユーザーにとって不要なメッセージを減らせるため、ブロックや通知オフといった離脱リスクも低減できます。
セグメント配信によって、ユーザーにとってメリットのある情報だけを届け続けることで、ブランドや店舗に対する信頼感・親近感が高まります。
ユーザーとの深い関係性を築ければ、単発のクーポン効果だけでなく「再来店」「リピート購入」「ファン化」など、中長期的な成果が期待できるでしょう。
LINE公式アカウントではプランごとに月間で送信できるメッセージ数に上限があるため、配信通数を抑えることが重要です。
セグメント配信を利用し、反応が見込めるユーザーだけに配信することで、結果的に配信通数を削減できます。
また、配信通数が減れば管理・分析・改善を効率的に進められるようになり、無駄を省きながら効果を最大化する運用が可能になるのです。
ここからは、LINE公式アカウントでセグメント配信をするやり方として、「属性」と「オーディエンス」それぞれの絞り込み設定の手順を解説します。
まずは「属性」での絞り込み手順を紹介します。
属性による絞り込みでは、ユーザー登録時やLINE側の推定データから得られる性別・年代・地域などをベースに配信対象を限定できます。
【操作手順】
①管理画面にログインし、サイドメニューの「メッセージ配信」タブから「メッセージを作成」を選択する
②配信先で「絞り込み」を選択する
③フィルター設定で配信する属性を選び、「設定」をクリックする
属性で絞り込むには、絞り込み対象の友だち(見込みリーチ数)が100人以上必要です。
また、最終的に配信するためには対象ユーザーが50人以上いることが条件となります。
複数の属性を組み合わせることで、よりターゲットを絞った配信ができるでしょう。
属性による絞り込みは設定が比較的簡単な点がメリットですが、ユーザーの興味・行動にもとづいた詳細な絞り込みはできません。
より深いレベルでのパーソナライズには、次に紹介する「オーディエンス」の活用をおすすめします。
さらに細かく絞り込みたい場合は、「オーディエンス」を活用します。
オーディエンスとは、ユーザーの行動履歴や特定の経路をもとに、より細分化されたグループに配信する方法です。
事前にオーディエンスを作成しておくことで、メッセージ配信時にそのオーディエンスを呼び出して「含める・除外する」の選択ができ、配信の精度を高めることができます。
オーディエンスの作成手順は、以下の通りです。
【オーディエンス作成手順】
①管理画面にログインし、「データ管理」のタブから「オーディエンス」を選択する
②「オーディエンスタイプ」と「オーディエンス名」を設定する
オーディエンス名の例:「リッチメニュークリックユーザー」「店舗二次元コード登録者」
【オーディエンスでの絞り込み配信の操作手順】
①管理画面にログインし、サイドメニューの「メッセージ配信」タブから「メッセージを作成」を選択する
②配信先で「絞り込み」を選択する
③「オーディエンス・過去の配信」を選択し、配信対象を設定する
(「含める」「除外する」のいずれかを選択する)
1回のメッセージ配信で使用できるオーディエンスは最大10個までです。
例えば、「セール告知メッセージを開封したユーザー」かつ「直近60日以内にリッチメニューをタップしたユーザー」に配信する、といった高度な絞り込みも可能です。
オーディエンスを用いた配信も、対象となるオーディエンスの有効友だち数が50人未満の場合は利用できません。
LINE公式アカウントだけでなく、LINE広告でもセグメント配信が可能です。
LINEが保有する膨大なユーザーデータ(年齢・性別・地域・興味関心・行動履歴など)を活用し、自社の広告を特定のターゲット層に的確に届けることができます。
セグメントを分けることで、無関心層への無駄な広告配信を減らせるため、広告費の最適化とコンバージョン率の向上が期待できるでしょう。
例えば、「東京都在住の20代〜30代女性」「旅行や美容に興味があるユーザー」といった条件で配信できるため、より費用対効果の高いマーケティングが実現します。
続いては、LINE広告でセグメント配信をする際の手順を紹介します。
まずはLINE広告マネージャーにログインし、「キャンペーンを作成」を選択します。
広告の目的を設定し、基本情報を入力したら、掲載期間と予算の上限などを設定しましょう。
次に、広告グループを作成します。
ターゲットとなる地域や性別、年齢、オーディエンスを設定し、入札方法と単価、1日あたりの予算を入力します。
ターゲットの行動時間帯を考慮したスケジュール設定も有効です。
広告グループ設定画面で「オーディエンスセグメント配信」を有効にし、利用する条件を選択します。
興味・関心、行動、属性からユーザーを抽出できます。
ターゲット層に合わせた画像・動画・テキストを設定します。
訴求テーマをターゲットの興味に合わせることでクリック率が高まります。
配信面が複数ある場合は、それぞれに対応したサイズで制作しましょう。
設定内容・推定リーチ・広告プレビューなどを確認し、問題がなければ配信を開始します。
配信後は、クリック率(CTR)・コンバージョン率(CVR)・ROAS(広告費用対効果)などを分析します。
反応の高いセグメントを残し、低い層を見直すことで、より効率的な広告運用が可能です。
LINE公式アカウントのセグメント配信機能は多くの企業・団体で実際の成果につながっています。
ここでは、目的が異なる2つの具体的な活用事例を紹介し、どのような条件・手法で成果が出ているかを解説します。
ロクシタンジャポン株式会社は、全国に100店舗以上を展開する、フランス発のナチュラルコスメブランド「L'OCCITANE(ロクシタン)」の日本法人です。
同社のLINE公式アカウントには、約2,300万人(2020年7月時点)の友だち登録ユーザーが存在しており、そのうち約100万人はデジタル会員証も発行しています。
同社では、店舗購入時にLINE公式アカウントと連携した会員証を発行・活用することで、「友だち登録+会員証発行」のハードルを下げ、サンプリングチケットやプレゼント応募といった導入施策を実施しました。
まず会員になってもらう仕組みを構築することで、セグメント配信に必要なユーザーデータを収集し、基盤を形成しています。
具体的な配信設計は、以下の通りです。
| 配信対象 | 配信内容 |
| ・新規購入ユーザー ・購入回数が少ないライトユーザー |
商品開発ストーリーや商品を使用する時期・必要性 など |
| 購入回数が多いロイヤルユーザー | 数量限定品の案内、購入履歴に沿った商品の案内 など |
同社では、「ライトユーザーにはブランドストーリーで興味を引く」「ロイヤルユーザーには特別感・先行案内で満足度を高める」という形で、配信内容を使い分けました。
その結果、EC売上が5倍以上に成長したと報告されています。
この事例のポイントは、ただ属性(年齢・性別)だけでなく、会員証発行や購入履歴といった行動データを活用してセグメントを設計した点にあります。
適切なターゲティングと、「ブランディング」「商品訴求」を使い分けたセグメント配信が、購買行動につながった好事例です。
インターネット事業を幅広く手がける株式会社デジタルガレージでは、韓国初のセルフジェルネイルブランド「ohora(オホーラ)」の日本市場での事業展開を支援しています。
同社では、2021年6月の公式ECサイトのオープンに合わせ、LINE公式アカウントの運用を開始しました。
ohoraのLINE公式アカウントの友だち登録ユーザーは、セルフジェルネイルに興味がある20代〜30代の女性がメインとなっており、ブロック率ももともと低いのが特徴でした。
一斉配信でもある程度の訴求効果を狙えたものの、同社はLINE公式アカウント経由での売上を高めるために、「カート落ち(買い物かごに入れられたまま、購入まで至らない商品)」の軽減を目指しました。
具体的には、以下のようなセグメント配信を実施しています。
これにより、ohoraのLINE公式アカウント経由の売上は、導入当初から約3倍にまで拡大しました(2023年3月時点)。
さらに、同運用ではセグメント配信によるROAS(広告費用対効果)が一斉配信に比べて約1.2倍高かったという分析結果も出ています。
LINE公式アカウントのセグメント配信を活用すれば、友だちを特定の条件でグループ分けし、それぞれのグループに合ったメッセージを配信できます。
ターゲット層を絞り込むことで、無駄のないマーケティングを実現できるのが魅力です。
セグメント配信を適切に活用することで、売上アップにつながった事例も多数あります。
属性やオーディエンスによる絞り込み配信は標準機能でも可能ですが、より高度な分析や絞り込みを行いたい場合は、APIツールとの連携がおすすめです。
例えば、「LOOPASS DMP」を活用すれば、自社サイト上で行動履歴や属性データを総合的に分析したうえで、ユーザーの絞り込み条件の詳細な設定が可能になります。
「Messaging API」や「LINEログイン」との連携にも対応しており、LINE公式アカウントでのセグメント配信はもちろん、自社ECサイトとのID連携などの多様な活用もできるのがポイントです。
詳細については、お気軽にお問い合わせください。
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