2025.3.27

大規模言語モデル(LLM)とは?仕組みや用途、生成AIとの違いを分かりやすく解説

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Septeni Focus 編集部

大規模言語モデル(LLM)とは?仕組みや用途、生成AIとの違いを分かりやすく解説

「大規模言語モデル(LLM)」は、テキスト向けAIモデルにおいて欠かせない、機械学習の自然言語処理モデルです。


大量のデータセットとディープラーニング技術を用いて構築されており、生成AIやチャットボットなど、日常生活からビジネスまで幅広い分野で注目を集めています。

 

身近なところでも活用が進んでいる一方で、その仕組みを理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、大規模言語モデルとは何か、基本的な仕組みや用途、生成AIとの違いを分かりやすく解説します。

 

※こちらの記事は2025年3月17日時点の情報です。

大規模言語モデル(LLM)とは

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「大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)」は、膨大なデータとディープラーニング(深層学習)技術を活用して構築された機械学習の自然言語処理モデルです。

人間の会話に近いやり取りや、自然言語のさまざまな処理を高い精度で実現することができます。

従来の言語モデルを巨大化

大規模言語モデルは、従来の言語モデルから、「計算量」「データ量」「モデルパラメータ数」を巨大化したものを指します。

大規模な計算リソースを使用して、膨大な数のパラメータ(確率計算を行うための係数の集合体)を調整することで、より詳細なパターンを理解し、高度な推測ができるようになりました。

一部のデータセットのみでなく、書籍、論文、記事などインターネット上の膨大な情報を学習し、多様な分野に対応できる知識を習得するのも大規模言語モデルの特徴です。

さらに、モデルパラメータ数の増加は、言語生成の精度向上に大きく貢献します。例えば、GPT-3やGPT-4のようなモデルは数百億から数兆のパラメータを持つとされており、人間に近い自然な言語処理が可能となっています。

ディープラーニング(深層学習)技術を活用

大規模言語モデルの基盤となる技術は「ディープラーニング(深層学習)」です。膨大なデータからパターンを認識し、次に来る単語やフレーズを予測する能力を高めています。

また、単純なパターン認識だけでなく、文脈を理解する高度な能力が付加されているのも特徴です。

これにより、自然な会話の生成、質問応答、文章の要約、翻訳など、さまざまなテキストの生成ができるようになっています。

大規模言語モデル(LLM)の仕組み

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大規模言語モデル(LLM)は、主に以下のプロセスを通じて実現されています。

大量のデータ収集とトークン化

大規模言語モデルの基盤となるのが、大量のデータ収集とトークン化です。
Webページや書籍、論文、SNSの投稿など、あらゆるデジタルコンテンツからデータを収集し、多岐にわたる知識を学習します。

データ収集が完了すると、収集した大量のデータを「トークン」と呼ばれる単語やフレーズ単位に分割し、AIが識別可能な形に変換する工程が行われます。
これは、膨大な情報を整理し、効率的に学習する準備を整えるために行われるプロセスです。

ニューラルネットワークで文脈理解

ニューラルネットワーク(Neural Network)とは、人間の脳の神経回路を模倣した計算モデル、機械学習方法の一種です。

ニューラルネットワーク(Neural Network)のなかでも特に重要なのがトランスフォーマーモデルで、単語と単語の関連性を認識し、文章全体の意味や文脈を理解することができます。

例えば、「私は本を」の後に「読む」や「買う」などの適切な言葉を予測して、「私は本を読みます」「私は本を買います」といった文章を生成します。

ディープラーニングによる学習の積み上げ

前章でもご紹介したように、大規模言語モデルはディープラーニング技術を活用しているため、単純なパターンではなく、大量のデータから複雑な規則や意味の関連性を学習します。

文章の流れに沿って次の単語の予測や文脈を理解する反復的な学習を行うことで、より自然な言語生成が可能となります。

学習を重ねることで、人間が書くものに近い一貫性のある文章を生成する能力を習得するため、長文の小説や学術論文のようなテキストも生成可能です。

ファインチューニングで微調整

大規模言語モデルは、汎用的なモデルとして学習を終えた後、特定のタスクに最適化するためのファインチューニングが行われます。

例えば、医療、法律、教育など、専門分野に適したデータで再トレーニングを行い、実用性を高めたり、企業が独自のデータを使用してファインチューニングを行うことで、特定の業界や分野に合った出力を得ることが可能です。

大規模言語モデル(LLM)の具体例

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大規模言語モデル(LLM)には、企業や研究機関が開発したさまざまな種類があり、主にクローズド型とオープンソース型の2つに分類されます。

クローズド型とは、開発元がモデルを非公開にし、限られた環境や契約条件下でのみ使用可能なもの、オープンソース型とは、モデルが一般公開されており、誰でも自由に使用や改良ができるものを指します。

ここでは、さまざまなクローズド型とオープンソース型の大規模言語モデルのなかから、5つのモデルについて詳しく解説します。

ChatGPT(GPT-4o)

ChatGPTは、OpenAI社が開発したクローズド型の大規模言語モデルです。
2024年11月現在のバージョンはGPT-4oで、高精度な自然言語処理能力を持ち、人間のように流暢な文章を生成する能力があります。

膨大なデータを学習することで、質問応答、文章要約、コード生成など、多様なタスクに対応できるのが特徴です。

ChatGPTは、直観的で使いやすく、効率的に作業ができることや、汎用性の高さが評価されています。
一方で、回答の正確性やプライバシーなどの倫理的問題が課題として挙げられます。

また、同じくOpenAI社が開発した「GPT-o1」や「GPT-o3 mini」も、それぞれ異なる強みを持つテキスト生成AIとして活用されています。

2024年12月6日に正式リリースされた GPT-o1は、高度な推論能力と分析力を備え、複雑な問題に対して最適な回答を導き出すのが特徴です。​
長文テキストの読解・分析・生成に対応しているため、ビジネスレポートや専門的な文章作成に適しています。

​一方、GPT-o3 miniは、2025年2月1日にリリースされ、軽量化による応答性能の向上を実現しています。
高い自然言語処理能力を備えつつ、処理速度が大幅に向上したため、リアルタイムレスポンスを求められるカスタマーサポートやFAQ対応に活用されています。

コストパフォーマンスを重視したモデルのため、費用を抑えてAIを活用したい企業や個人に最適です。

参考:https://openai.com/index/hello-gpt-4o/

 

関連記事:ChatGPTとは?使い方や活用シーン、無料でできる始め方を紹介

Gemini

GeminiはGoogleが開発したクローズド型の大規模言語モデルです。
検索エンジンの強みを活かし、リサーチ能力の専門性が高いことが特徴です。

また、自然言語処理だけでなく画像や音声データとのマルチモーダル統合が可能なため、複雑な質問やタスクにも対応できます。

最新の検索アルゴリズムと連携しており、コード生成などにも長けているため、実用性が高くビジネス用途に広く用いられているのが特徴です。

2025年2月にはGemini 2.0 Flashがリリースされ、従来の1.5 Proに比べて約2倍の応答速度を実現し、より自然な対話ができるようになりました。 ​

リアルタイム性が求められるタスクや、大量のデータ処理が必要な場面での活用が期待されています。

参考:https://gemini.google.com/

Gemma

Gemmaも、Googleが開発した大規模言語モデルですが、Geminiがクローズド型であるのに対し、Gemmaはオープンソース型という違いがあります。

Gemmaは言語処理に特化し、軽量なタスクに最適化されているため、推論効率が高いのが特徴です。

英語での質問のほうが正確性が高く、日本語での質問に対しては課題が挙げられますが、文章作成やコーディング、アイデア出しなどにも活用できるため、ビジネス用途にも活躍できるでしょう。

参考:https://ai.google.dev/gemma?hl=ja

Claude3.5

Claude 3.5はAnthropic社が開発したクローズド型の大規模言語モデルです。

安全性や倫理性に重点を置いて設計され、ユーザーにとって有害な出力を減らす工夫がされています。

ほかのモデルと比べて、リスク管理や信頼性の高さが評価され、ヘルスケア分野でのカスタマーサポートや子ども向け教育コンテンツの生成に用いられています。

参考:https://www.anthropic.com/news/claude-3-5-sonnet

Llama

Llama(Large Language Model Meta AI)は、Meta社(旧Facebook)が開発したオープンソース型の大規模言語モデルです。
研究者や開発者が自由に活用可能であり、現在はLlama 3が最新バージョンです。

さまざまなソフトウェア・ハードウェアに組み込めるため、将来的に認知度や普及率の大幅な拡大が見込まれています。

参考:https://www.llama.com/

大規模言語モデル(LLM)の主な用途

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大規模言語モデル(LLM)の主な用途は、以下の通りです。

 

用途

詳細

文章生成

 ・ブログ記事

・ストーリーテリング

・商品説明文の作成 など

文章要約

・ニュース記事の要約

・論文やレポートの要約

・長文ドキュメントの要点抽出 など

  • 翻訳

・多言語間の文章翻訳(例: 英語から日本語)

プログラミング支援

・コードの生成

・プログラミング学習

・テスト自動化

・デバッグ支援 など

カスタマーサポート

・チャットボットによる自動応答

・24時間365日問い合わせ対応 など

教育支援

・問題の解説

・学習計画の作成

・教材のカスタマイズ など

データ分析

・データセットのパターン解析

・予測モデルの構築 など

研究支援

・文献検索

・実験計画の提案

・仮説の立案 など

マーケティング

・コピーライティング

・広告文章の作成

・顧客インサイトの分析 など

クリエイティブ活動

・詩や歌詞の生成

・デザインコンセプトの提案

・オリジナル小説の作成 など

医療分野

・症状の問診補助

・医療文書の自動生成 など

法務支援

・契約書のドラフト作成

・法的文書の要約 など

音声認識・生成

・自動字幕生成

・音声コマンドの解析 など

ゲーム開発

・ゲームキャラクターの対話生成

・ゲームシナリオ作成 など

パーソナルアシスタント

・スケジュール管理

・リマインダー設定

・情報検索 など

 

大規模言語モデルは、幅広い分野での活用を通じて、今後の成長を支える重要な役割を担っています。

ビジネスにおいては、文章生成やデータ分析、カスタマーサポートの自動化により業務効率を大幅に向上させることが可能です。
特に、反復的な作業を自動化することで、従業員が創造的かつ戦略的な業務に集中できる環境を構築する助けとなります。

また、プログラミング支援や教育サポートなど、専門分野での活用により生産性の向上が期待できるでしょう。

大規模言語モデルは、現代のデジタルトランスフォーメーションを支える基盤技術として、ますます不可欠な存在になるとされています。

大規模言語モデル(LLM)の課題

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大規模言語モデル(LLM)は、その高度な機能が注目を集める一方で、いくつかの課題を抱えています。
ここからは、大規模言語モデルの代表的な課題について、その詳細を解説します。

ハルシネーション

ハルシネーションとは、大規模言語モデルが誤った情報や事実に基づかない文章を生成する現象です。

大規模言語モデルは膨大なデータを学習しているため、学習データに含まれるノイズや不正確な情報も、そのまま出力してしまう可能性があります。

また、質問に必ず答えようとする性質から、正確なデータがない場合でも無理に情報を生成し、出力してしまうリスクを考慮しなければいけません。

ハルシネーションを防ぐには、AIの出力結果を人間の目で確認したり、生成された情報を別のツールで検証する仕組みを構築する必要があるでしょう。

ハルシネーションを防ぐには、AIの出力結果を人間の目で確認したり、生成された情報を別のツールで検証する仕組みを構築する必要があるでしょう。

さらに、近年注目されているハルシネーションの対策技術として、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)があります。

RAGは、大規模言語モデルが生成を行う際に、外部のデータベース(信頼できる情報源)を検索し、その結果を参照することで、より正確で事実に基づいた情報生成を可能にする技術です。

具体的には、RAGは「検索(Retrieval)」と「生成(Generation)」の2つの要素で構成されています。

まず、「検索」フェーズでは、入力された質問やプロンプトに関連する情報を、外部の知識ベース(Wikipediaやニュース記事、専門データベースなど)から検索します。
次に、「生成」フェーズでは、検索された情報を基に、大規模言語モデルが応答を生成します。

この仕組みにより、大規模言語モデルが持つ知識だけでなく、外部の最新情報や信頼性の高い情報を活用できるため、ハルシネーションのリスクを低減し、より高品質な出力を実現することが期待できます。

プロンプトインジェクション

プロンプトインジェクションとは、偏見や差別的な内容が含まれた文章を生成したり、学習データに含まれる機密情報や個人情報が漏えいしてしまう問題です。

大規模言語モデルは、インターネット上の膨大な情報を広範囲に学習します。そのため、そのなかに差別的な表現やバイアスが含まれていた場合、生成される文章に無意識に偏見が反映されるリスクがあります。

また、学習データや入力のなかに、意図せず個人情報や企業の機密情報が含まれていた場合、それが生成結果として出力される可能性にも注意が必要です。

プロンプトインジェクションを防ぐには、学習データに制限をかけたり、入力・出力データを監視・フィルタリングし、精査する仕組みが求められるでしょう。

AIの2026年問題

AIの2026年問題とは、大規模言語モデルに学習させるための良質な言語データが枯渇する可能性を指します。

現在の大規模言語モデルは、インターネット上の膨大なデータを学習していますが、質の高いデータの供給には限界があります。

そのため、2026年頃には新しい学習用データが不足し、新たな知識や洞察が得られなくなることから、AIの性能が著しく低下するリスクが懸念されています。

同じデータを繰り返し学習することで、既存の課題が解決されにくくなったり、古い情報に基づいた出力が増えることで、時代遅れの回答が多くなる可能性もあるでしょう。

大規模言語モデル(LLM)と生成AIの違いは?

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大規模言語モデル(LLM)と生成AIは、どちらもAIの一種ですが、その範囲と役割には違いがあります。

 

 

大規模言語モデル(LLM)

生成AI

定義

 テキストデータの生成や処理に特化したAIモデル。

 文章の作成、翻訳、要約などが得意。

 大規模言語モデル(LLM)を含む、さまざまな種類のコンテンツを生成できるAI技術の総称

 テキストだけでなく、画像、音声、動画なども生成可能。

主な用途

・文章生成

・質問応答

・要約

・翻訳 など

・文章

・画像

・音楽

・動画 など

 

生成AIは、大規模言語モデルを含む、より広範な概念です。 
つまり、大規模言語モデルは生成AIを構成する重要な要素の一つ ですが、生成AIは大規模言語モデルだけを指すわけではありません。

大規模言語モデルは生成AIを構成する技術基盤の一つと考えておきましょう。

 

関連記事:生成AIとは?種類や従来のAIとの違い、活用事例について初心者向けに解説

大規模言語モデル(LLM)を理解して業務に活用しよう

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大規模言語モデル(LLM)は、ビジネスにおいて多岐にわたる分野での活用が可能です。
身近な業務としては、カスタマーサポートの自動化による効率化や、データ分析・マーケティング資料作成の迅速化を実現できるでしょう。

また、大規模言語モデルと生成AIなど、ほかの技術とも組み合わせた応用が可能になります。

ただし、ハルシネーションや情報漏えいなどのリスクには注意が必要です。
大規模言語モデルの課題を理解したうえで、学習データや入力に誤りがないか監視・フィルタリングするなど、リスク管理を徹底しましょう。

大規模言語モデルや生成AIは、これからの業務改善やデジタルトランスフォーメーションにおいて中心となる技術です。それぞれの仕組みや違いを理解し、適切に使い分けることで、ビジネスの成長を加速させましょう。

 

 

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執筆者

Septeni Focus 編集部

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