2026.6.30

【前編】テアトルアカデミーのオーディション応募LP改善で、CVR最大1.36倍・6施策連続CVR向上を実現。セプテーニ×ビービットのCRO施策

Septeni FOCUS 編集部

LPを最後までスクロールしており関心はある。それでも、応募ボタンは押されない――。
株式会社テアトルアカデミー(以下、テアトルアカデミー)のオーディション応募LPが直面していたのは、そんな「見えない離脱」の壁でした。
定量的な離脱率やCVRといった数字は見えても、ユーザーがLPのどこでつまずき、なぜ応募につながらないのか、その背景は分からない状態が続いていたのです。

 

この壁を突破したのが、株式会社ビービット(以下、ビービット)のユーザー行動分析ツール「USERGRAM(ユーザグラム)」による一人ひとりの行動分析と、株式会社セプテーニ(以下、セプテーニ)のデザイン実装力を掛け合わせた「CROパッケージ」でした。

 

特定された離脱の根本原因をLP設計に反映した結果、実施した合計6つの施策で連続して成果を創出し、最大でCVR1.36倍という改善を実現しています。

 

CROプロジェクトによる成果 この記事では、テアトルアカデミーの浅井 武士氏、ビービットの勝浦 研斗氏、セプテーニの営業担当の佐藤 正隆、クリエイティブ制作担当の松井 和也への取材を通じて、ユーザーの「見えない不安」を可視化し、応募という行動へとつなげたプロセスの全貌を前後編でお伝えします。

 

前編となる今回は、テアトルアカデミーが抱えていたビジネス上の課題と、行動分析によって見えてきた「ユーザー離脱の本当の理由」に迫ります。

目次

「なんとなくの課題感」にエビデンスがなかった

株式会社テアトルアカデミー 取締役 副社長 浅井武士

―今回のCROプロジェクトが立ち上がった背景には、どのような課題があったのでしょうか。

 

浅井氏(テアトルアカデミー):セプテーニとはもう7〜8年のお付き合いになりますが、今回のプロジェクトの背景には、市場やユーザーの変化が大きく関係しています。

 

出生率の低下や芸能界に求めるゴールの多様化などにより、今まで通りの広告の打ち方だけでは応募数を伸ばしきれないという実感がありました。

「テアトルアカデミーの良さを伝え、ユーザーが本当に知りたい情報を届けたい」という思いはあるものの、具体的にLPの何をどう変えれば応募につながるのか。ヒートマップを確認するなどしていましたが、確信を持った改善ができていなかったのが正直なところでした。

テアトルアカデミーのイメージビジュアル 

―そうした課題感に対して、セプテーニとしてはどのような提案をされたのでしょうか。

Septeni Japan株式会社 第2営業領域第6営業部 佐藤 正隆

佐藤(セプテーニ):浅井様がおっしゃった通り、特にベビー領域では検索数そのものが減少しています。しかもその減少幅は、少子高齢化による出生率の低下以上に大きい。そのため、莫大な資金を投じて検索数を増やすよりも、サイト訪問者のCVR、つまりLPを見た人が実際に応募を完了する確率を引き上げることが、現実的かつ効果的なアプローチだと考えました。

 

そしてちょうどこの時期、セプテーニではビービットさんとの協業で、ユーザー行動分析ツール「USERGRAM」を活用した「CROパッケージ」の提供を開始していました。
LP訪問者一人ひとりの行動をデータで可視化し、「なぜ離脱するのか」を突き止めてLP改善につなげるアプローチです。テアトルアカデミー様の課題に対しても有効だと判断し、ご提案しました。

SEPTENI x beBit | CROパッケージ ―「CROパッケージ」の具体的な仕組みについて、もう少し詳しく教えてください。

 

佐藤(セプテーニ)一般的なアクセス解析ツールでは、PVやスクロール率といった集計値は把握できます。しかし、「なぜそのLP訪問者は離脱したのか」という行動の背景までは見えません。一方、USERGRAMは、LP訪問者一人ひとりの行動を時系列で追跡することが可能です。そのため、応募に至った訪問者と、離脱した訪問者の行動パターンを個別に比較し、離脱の根本原因を突き止めることができるのです。

 

そしてセプテーニは、そこから得られたLP訪問者のインサイトを実際の改善施策に落とし込む部分を担います。分析レポートを受け取って終わりではなく、社内の制作チームと連携してデザイン変換からABテストまで一気通貫で実行します。分析と実装を分断させないことが、この協業体制の核になる考え方です。

 

勝浦氏(ビービット):プロジェクトの設計としては、テアトルアカデミー様のコース体系に合わせ、「ベビー(0〜2歳6ヶ月ごろ)」「大人(年長〜39歳 ※JUNIOR・YOUTH・ACADEMYコースを統合)」「シニア(40歳以上)」という3つの年齢領域のLPを対象に、1ヶ月に1つずつ分析・改善していくという形を取りました。LP訪問者数と現状のCVRから優先順位を決め、今回は「ベビー」、「シニア」、「大人」の順で着手しました。

 

―この提案を受けて、浅井様はどのような印象を持たれましたか。

浅井氏
浅井氏(テアトルアカデミー)数字を土台に仮説を組み立て、やってみてどうだったかを検証する。この一連のプロセスが非常にロジカルで、今までにない提案でした。

加えて印象的だったのは、テアトルアカデミーの良さをどう伝えるかという視点だけでなく、LP訪問者一人ひとりに何が届くのか、何を一番知りたいのかという深掘りが徹底されていたこと。

 

セプテーニが弊社のことを十分に理解したうえでビービットとつなげてくれた、その2つが組み合わさった提案だったからこそ、「これはやってみるべきだ」と即座に判断しました。

USERGRAMが可視化した「離脱の理由」

―ここからは分析のプロセスについて詳しくお聞きします。プロジェクト全体はどのような体制で進められたのでしょうか。

 

佐藤(セプテーニ):役割分担としては、ビービットさんがUSERGRAMを用いた分析と改善施策の立案を行い、テアトルアカデミー様に結果を共有して実行判断をいただく。そのうえでセプテーニがLPのデザイン・実装を担当し、効果検証はビービットさんとセプテーニの双方で行うという流れでした。

 

―分析自体はどのような手順で進められたのでしょうか。

 

勝浦氏(ビービット):今回のプロジェクトでは、定量・定性・定量の3段階の「サンドイッチ構造」で分析を進めました。まず定量分析で「LPのどこに伸びしろがあるか」を特定し、次に個票分析で「なぜ離脱するのか」をLP訪問者一人ひとりの行動から深掘りします。

 

最後にもう一度定量分析に戻り、同じ要因で離脱したLP訪問者がどの程度のボリュームで存在するかを確認して、改善インパクトを見極めました。この3段階を踏むことで、確信を持った施策設計ができるようになるのです。

 

―ここからは各LPごとに、分析で見えてきたことをお聞きしていきます。まずベビーLPではどのような示唆が得られましたか。

株式会社ビービット UXグロース部 勝浦 研斗
勝浦氏(ビービット):まず定量データとして、ベビーLPの「スクロール率ごとのCVR」を分析しました。すると、10%以上30%未満しかスクロールしていないLP訪問者のCVRが最も高いことが分かったのです。これは、LPを開いた時点ですでに応募の意思が固まっていた決め打ちの訪問者が、すぐにフォームへ進んだためだと解釈できます。

 

対して、LPを30%以上深くまで読み込んでいる訪問者のCVRは相対的に低くなっていました。「しっかり情報を探して読んでいるのに、応募に至っていない」ということは、LPの掲載情報が後押しとして機能しておらず、ここに大きな改善の余地があると考えました。

ベビー記事LPスクロール割合ごとのCVRそこで個票分析に入ると、ベビー領域のLP訪問者に共通していたのは、有名な子ども向け番組への出演を期待してLPに流入しているにもかかわらず、その実績が十分に伝わっていなかったことです。

 

有名番組への出演実績が豊富にあることが伝われば、応募意欲が高まるであろうLP訪問者が多数いました。加えて、「うちの子でも本当に選ばれるのだろうか」という不安も見えてきました。実績の訴求と不安の解消、この2つがベビーLPの改善テーマでした。

 

浅井氏(テアトルアカデミー):実績をアピールしているつもりではいたのですが、打ち出し方がまだ弱かった。「誰が見ても一目でわかる形にまで表現しないと伝わらないのか」という気付きは大きかったですね。確度の高い分析があって、そこから導かれた確度の高い仮説。ベビー領域の分析で、今回のアプローチへの手応えを感じました。

 

―続いてシニアLPではいかがでしたか。

 

勝浦氏(ビービット):シニアLPの改善前CVRは0.8%でした。ここでも注目したのは、「スクロール率ごとのCVR」です。通常、LPを深くまで読み込んだ熱量の高い訪問者ほど応募率が高くなるはずですが、シニアLPでは下まで読んでもCVRがほぼ横ばいでした。さらに、90%以上スクロールしたLP訪問者が全体の約4割もいたのです。「関心が高くLPを熟読しているのに、掲載情報が後押しになっておらず応募に至らない」。私たちはこの層を最大の伸びしろと位置付けました。

 

次に、この伸びしろ層の個票分析に入ります。象徴的だったのは、「モデル 50代」というキーワードで検索して流入してきた方のその後の行動です。テアトルアカデミー様が独自に運営し、芸能界を目指す方向けにオーディション対策などの情報を発信しているオウンドメディア「スタマグ」に掲載している、「モデルになるには?」という記事を自発的に閲覧してからLPに流入し、90%以上スクロールしたのです。

 

ここから「モデルになりたい」という明確な期待が読み取れますし、定量的にも「モデルになりたい」という関心の高さは確認されていました。しかしこのLP訪問者は応募には至らず、その後ふたたび「スタマグ」に戻り、今度は「シニアタレントになるには?」という記事を閲覧して離脱していました。

 

なぜ、モデル志望だったLP訪問者が自信をなくして離脱してしまったのか。その原因はコンテンツとLPの構造にありました。

 

まず、LP訪問者が離脱直前に読んだ記事には、過去の経験を活かした演技力が求められるといった内容が書かれていました。そして当時のシニアLPには、元警察官という特殊な経歴の方のインタビュー記事が目立つように配置されていたのです。つまり「こういう特別な経験がないとダメなのか」という印象が、応募を諦めさせてしまっていた可能性があります。

 

さらに、シニア層は「モデル」「俳優」など活躍したいジャンルが明確な方が多いのですが、当時のLPは「出演実績1,500名以上」という合計数字は記載しているものの、ジャンルごとの具体的な実績はカルーセルの中に隠れていました。つまり、LP訪問者が自発的にスワイプしない限り自分がやりたいジャンルの実績が確認できない構造だったのです。

シニアLP 個票分析 この2つの情報が結びつき、「特別な経験がない自分には受からない」と、LP訪問者に心理的ハードルを感じさせてしまった可能性が高いことが分かりました。

 

そして最後にもう一度定量分析に戻り、同じような課題を抱えるLP訪問者のボリュームを確認しました。その結果、LP訪問者の約25%がこうしたオーディションに対する懸念を持っていると推定され、決して小さくないボリュームであることが裏付けられたのです。

浅井氏

浅井氏(テアトルアカデミー):おっしゃる通りで、実績の見せ方が足りなかったんだなと強く実感しました。元警察官のインタビュー記事も、異業種からでもチャレンジできることを伝える意図で掲載していたのですが、「自分には特別な経験がない」と不安を抱えている方にとっては逆効果でした。分析で指摘されると納得できるのですが、自分たちだけでは気付けなかった部分です。

 

勝浦氏(ビービット):さらにシニアLPでは、「年齢的に遅すぎないか」「特別な経験がない自分でも受かるのか」という不安に加え、「未経験ゆえにスキルを補いたい」という需要も見えました。しかし、レッスンの開催日程や習得できるスキルといった具体情報がLPに掲載されておらず、応募の後押しになっていませんでした。また、後述する大人LPと同様に、「宣材写真のような掲載例を見て、プロが撮ったような写真を用意しなければと身構えてしまう」という写真に対するハードルも、実はシニア層における共通の障壁となっていました。

 

―続いて大人LPについて教えてください。

 

勝浦氏(ビービット):大人LPの定量分析では、別の切り口からアプローチしました。サイト訪問者を「応募まで至ったか否か」と「LP以外のページを閲覧したか否か」を軸に4グループに分類したところ、LP以外のページも自発的に閲覧した訪問者のCVRは8.8%で、LPのみ閲覧した訪問者のCVR1.7%の約5倍。LP以外のページの情報がサイト訪問者の応募を後押ししていることが明確になりました。

分析対象ユーザーの特定 つまり、LP以外のページにある必要な情報をはじめからLP内に組み込むことができれば、LPだけ見て離脱する層のCVRを伸ばせる可能性がある。ただし、この層はLP流入後ほぼそのまま離脱するため、分析するための行動データが乏しいという課題がありました。そこで、LP以外のページも自発的に閲覧した訪問者を分析対象に据え、彼らの回遊ルートを追うことで、LPに欠けている情報を明らかにするために、個票分析に入りました。

 

象徴的だったのは、「スタマグ」のオーディション関連記事を5本以上閲覧し、公式サイトの「オーディションの流れ」ページを8回閲覧、エントリーページにも3回遷移しながら、毎回入力ステップ1で離脱を繰り返してしまった訪問者です。

 

これだけ繰り返し情報を探しているということは、関心は非常に高い状態です。しかし、LP訪問者が記事で探していた「どのような審査が行われるのか」というオーディションの審査基準が掲載されていないため、不安を解消できないまま離脱してしまっていました。ユーザーが「スタマグ」まで情報を探しに行っていたこと自体が、LP上の情報不足を示すシグナルでした。

 

また、入力を進めた後の応募フォームのデータからも重要な発見がありました。写真を添付する入力ステップ5まで到達した訪問者の約42%が離脱していたのです。実際にステップ5の画面を見たあと一旦フォームを離れ、オーディション写真の撮り方に関する「スタマグ」の記事を検索・閲覧してから戻った訪問者もいます。LP上の宣材写真や「ベストショットを添付して」という表現が、訪問者に写真準備のハードルを実態以上に高く見せてしまっていたのです。

 

浅井氏(テアトルアカデミー):オーディションに対する不安がここまで応募の障壁になっているとは、正直そこまで深く考えたことがありませんでした。合否を決める審査である以上「気軽にどうぞ」とは言い切れない部分もありますが、応募そのものを減らしてしまっては元も子もありません。データを見たことで、そのバランスの取り方を考え直すきっかけになりましたね。

 

勝浦氏(ビービット):加えて、大人LPでは「不安の質」が他と異なることも分かりました。「審査に向けて相当な事前準備が必要なのではないか」と身構えてしまい、応募を諦めているケースが目立ったのです。
さらに見逃せなかったのが「学校や仕事との両立への不安」です。大人LPは幅広い年齢層を対象としていますが、実際の応募完了者のうち、半数以上(56%)を小学生から高校生までの学生層が占めています。彼らが最も気にしている「学校と両立できるか」という悩みに対し、LP上には寄り添うメッセージこそあったものの、両立を可能にする具体的な説明が不足しており、応募をためらわせる原因になっていました。

 

―こうした分析から、最終的にどのような課題が導き出されたのでしょうか。

勝浦氏

勝浦氏(ビービット):「ベビー」「シニア」「大人」いずれのLPにも共通していたのは、「出演実績が伝わりきっていないこと」「LP訪問者の不安を解消する情報の不足」、そして「応募用写真に対するハードルの高さ」でした。

ターゲットごとに異なる不安の質や特有の課題をデータで特定できたことで、次の「実装」フェーズにおいて、どのような情報を補い、どうデザインに落とし込むべきか、迷いなくLP設計へと進めることができました。

 

この記事では、テアトルアカデミーが抱えていたビジネス上での課題と、行動分析によって見えてきた「ユーザー離脱の本当の理由」に迫りました。

 

次回の記事では、導き出された分析結果をどのように具体的なサイト改善施策へと落とし込んでいったのかに迫りながら、改修を通じた成果と3社連携による今後の展望についてお伝えします。ぜひご期待ください。

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執筆者

Septeni FOCUS 編集部

「Septeni FOCUS」は、Septeni Japan株式会社が運営するマーケティング担当者のためのメディアです。