LINE公式アカウントでは、ユーザーの行動や属性にもとづいて「タグ」を付けることで、メッセージ配信の精度を高めることができます。
タグを活用すれば、興味関心の高いユーザーだけに情報を届けられるため、配信コストを抑えながら成果につながるコミュニケーションの実現が可能です。
この記事では、LINE公式アカウントにおけるタグ付けの基本的な仕組みや設定方法、具体的な活用シーンを分かりやすく紹介します。
※こちらの記事は2025年12月11日時点での情報です。
LINE公式アカウントのタグ付けとは、友だちごとの属性や行動にもとづき、チャットルームごとに任意の「タグ」を設定できる機能です。ユーザーを一括で扱うのではなく、興味関心や状態に合わせて細かく分類できるため、配信内容の精度を大幅に高められます。
基本的にタグは手動で付ける仕組みですが、拡張ツールを活用することで、ショップカードの利用、アンケート回答、予約フォーム入力、メッセージ上のボタン操作など、ユーザーの行動に応じて自動付与することも可能です。
ユーザーに設定できるタグの内容は、以下のように多岐に渡ります。
【設定できるタグの項目・活用事例】
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カテゴリ |
タグの例 |
活用事例 |
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顧客属性 |
・「新規」 ・「既存顧客」 ・「休眠」 ・「リピーター」 |
顧客層別に配信内容を出し分ける |
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行動履歴 |
・「イベント参加」 ・「資料請求」 ・「商品購入」 ・「アンケート回答」 ・「来店予約」 |
行動履歴にもとづいたフォローを配信する |
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来店・予約 |
・「来店済」 ・「キャンセル」 |
予約リマインドや来店後のアンケートを配信する |
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地域 |
・「東京」 ・「大阪」 ・「福岡」 ・「北海道」 |
地域限定イベントや店舗情報を配信する |
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時期・季節 |
・「春キャンペーン参加」 ・「クリスマス購入」 ・「夏フェア」 |
季節イベントに合わせたキャンペーン情報配信 |
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年代 |
・「20代」 ・「30代」 ・「40代」 |
年代に合わせたお役立ち情報の配信 |
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サポート |
・「問い合わせ中」 ・「クレーム対応」 |
顧客対応履歴の管理・フォローアップ用 |
タグ付けを活用すると、ユーザー一人ひとりの状況に合わせた配信が可能になり、開封率やクリック率の向上、リピート促進にもつながります。マーケティング効率を高めたい企業にとって、非常に有効な機能と言えるでしょう。
続いて、LINE公式アカウントでタグ付けを行う際の具体的な操作手順を紹介します。
タグは管理画面から簡単に追加できます。PCとスマホのどちらからでも操作できるため、日々の運用状況に合わせて柔軟な管理が可能です。
1.Web版の管理画面にログインし、画面上部のメニュータブから「チャット」をクリックする
2.左側メニューの「チャット」から、友だち一覧(チャットルーム一覧)を表示
3.タグを追加したい友だちを選択し、プロフィール欄の「+タグを追加」をクリックする
4.追加したいタグ名を入力し、「保存」をクリックする
PC版では、ユーザー情報を一覧で確認しながらタグを付けられるため、多くの友だちを管理したい場合に便利です。
タグ付けの作業はスマホアプリからでも可能で、外出先や急な問い合わせ対応時にも活用できます。
1.タグ付けしたい友だちとのチャット画面を開き、右上の「…」をタップする
LINE公式アカウントのタグ付けは、ただユーザーを分類するだけでなく、メッセージ配信や顧客管理の質を大きく向上させるための重要な機能です。タグを活用することで配信のムダをなくし、反応率の高いコミュニケーションを実現できます。
ここでは、実際にトーク機能でどのようにタグを活用できるのか、具体例を交えながら解説します。
絞り込み配信とは、ユーザーに付与したタグを使って、特定の友だちにだけメッセージを送る機能です。
大量配信によるブロック率上昇を防ぎながら、必要なユーザーにだけ情報を届けられるため、LINE公式アカウントの運用では広く活用されています。
【絞り込み配信でのタグ活用例】
タグが付いたユーザーを含めたり、除外したりすることで、高精度なターゲティングが可能です。
特に除外設定は、配信の無駄打ちを防ぎ、顧客満足度を損なわないために重要なポイントです。
LINE公式アカウントを外部のCRM(顧客管理システム)やECサイトと連携すると、購入履歴・問い合わせ履歴・来店状況を含めた高度な顧客管理ができるようになります。
また、タグを適切に管理すれば、LINE公式アカウントを簡易的なCRMのように活用することも可能です。
例えば、ECサイトの「新規購入」「カート放棄」「定期購入中」などの情報をタグ化することで、細分化したセグメント配信ができるでしょう。
タグ付けと特に相性が良いのが、LINE公式アカウントの基本機能である「ステップ配信」です。ステップ配信とは、友だち追加・商品購入・アンケート回答などの行動をトリガーとして、自動で複数のメッセージを送る機能を指します。
ステップ配信のトリガーに適切なタグを設定することで、ユーザーの状況に合わせたきめ細やかなフォローを自動で実現できます。
【ステップ配信でのタグ活用例】
顧客一人ひとりに合わせたコミュニケーションを継続できるため、購入率向上・再来店促進・顧客満足度向上につながるマーケティング施策になるでしょう。
関連記事:LINE公式アカウントのステップ配信とは?やり方や料金、活用事例を紹介
LINE公式アカウントのタグ付けは便利な機能ですが、運用で失敗しないためには仕組みや制限を正しく理解しておくことが重要です。
ここでは、LINE公式アカウントのタグ付けを使用する際の注意点を3つ紹介します。
LINE公式アカウントのタグ付けは、基本機能として誰でも利用できるものです。
しかし、無料プランでは作成できるタグが最大5個に制限されています。
そのため、「年代」「地域」「購入済み」「来店済み」「イベント参加」など、属性や行動履歴を細かく管理したい場合は、有料プラン「チャットProオプション」への加入がおすすめです。
チャットProオプションに加入すると、タグ作成数は300個、ユーザー1人に付与できるタグ数は30個となり、タグ管理の自由度やサポート機能が大きく向上します。
【無料プランと有料プラン「チャットProオプション」の違い】
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項目 |
無料プラン |
チャットProオプション |
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月額料金 |
無料 |
3,000円(税別) |
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チャット履歴の保存期間 |
6ヶ月 |
5年間 |
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チャット履歴のバックアップ |
不可 |
可能 |
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チャットタグの 作成数/付与数 |
作成:5個 付与:各チャットルーム1個 |
作成:300個 付与:各チャットルーム30個 |
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ノートの作成数 |
各チャットルーム1件 |
各チャットルーム1,000件 |
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追加機能 |
なし |
カスタムフィルター |
引用:LINEヤフー for Business「「LINE公式アカウント」の有料オプションとして新たに「チャットProオプション」の提供を開始」
タグ付けは「チャットが有効になっている友だち」に限定されます。
以下のユーザーにはタグを付与できません。
そのため、タグ付けを活用するには、ブロック率を下げる配信設計が重要です。頻繁な一斉配信や関係のない情報送信はブロック増加につながり、タグ運用の効果が大きく下がります。
また、新規ユーザーの初期タグ付けを自動化するには、リッチメニューのボタン操作やアンケート回答をトリガーにする方法が有効です。
ユーザーから自発的にアクションしてもらうことで、ブロックを避けながら自然にタグを収集できます。
友だち1人(1チャットルーム)に付与できるタグ数には上限があります。無料プランの場合、作成可能なタグは5個ですが、それらを1人のユーザーに複数付けることはできません。つまり実質的には1人あたり1個、最優先の属性だけを付与する運用になります。
細かい属性に分けるよりも「新規」「リピート」「常連(VIP)」のように運用優先度が高い分類だけを採用する方法が効果的です。
また、月ごとに対象者を手動で絞り込んで「対象」「未対象」などのシンプルなタグを使い分けることで、配信や分析を無理なく行えるでしょう。
有料プランでは、1人あたり30個までのタグ付けが可能です。「地域+年代+キャンペーン参加+商品の好み」など、複数のカテゴリにもとづくタグ付けもできるため、多角的な分析を実施できます。
LINE公式アカウントでは、無料・有料に関わらず、タグ付けはすべて手動で行う必要があります。「商品購入ユーザーに自動で購入タグを付ける」「アンケート回答者に自動で回答タグを付与する」といった自動化は標準機能では実装されていません。
そのため、友だち数が増えるほどタグ付け作業が増え、特にチャットProオプションで多くのタグを扱う場合、管理が煩雑になりやすいです。運用負担を軽減するためにもタグ名に統一性を持たせたうえで、定期的に使用していないタグを整理すると良いでしょう。
また、タグ付けの自動化や運用ルールの制定については、「LINEヤフーSales Partner」にサポートを依頼できる場合があります。
パートナー企業が提供するAPI連携ツールを導入することで、標準機能では行えない以下のようなタグの自動化が実現する可能性もあるため、相談してみてはいかがでしょうか。
自動化を取り入れれば、運用担当者の負担を大幅に削減しながら、高精度なセグメント配信が可能になります。
LINE公式アカウントを効果的に運用するためには、ユーザー一人ひとりに適切な「タグ」を付けることが有効です。
タグ付けを適切に行うことで、「クーポンに反応しやすい層」「イベント参加経験のある層」「購入直前の層」など、興味関心や行動履歴に合わせて配信の精度を高められます。
一方で、「手動でのタグ管理が負担」「細かなセグメントを作りたいが運用が追いつかない」といった課題を抱える運用担当者も少なくありません。タグを増やすほど管理が難しくなり、運用ルールが整っていなければ本来の効果を引き出せない場合もあります。
セプテーニグループのミロゴス株式会社は、LINEヤフー社認定の技術支援パートナー「LINE Technology Partner」の一員として、LINE公式アカウントの効率的な運用のための技術的なサポートを提供しています。
ユーザーの行動や外部システムとの連携にもとづく「自動タグ付け」や、マーケティングシナリオに沿ったタグ運用設計など、標準機能では難しい高度な活用についても支援が可能です。
タグを戦略的に活用したい方は、ミロゴスまでお気軽にご相談ください。
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