LINE公式アカウントのステップ配信は、設定した条件やタイミングに沿って、複数のメッセージを自動かつ段階的に配信できる機能です。新規登録後の挨拶メッセージや、購入後のフォローメッセージなどを自動化でき、ユーザーとの関係構築や売上アップに役立ちます。
この記事では、ステップ配信の基本的な仕組みや設定方法、料金の目安、活用事例まで分かりやすく紹介します。
※こちらの記事は2025年10月29日時点での情報です。
「ステップ配信」とは、あらかじめ設定したシナリオに沿って、ユーザーの行動や登録タイミングに応じて自動でメッセージを配信する仕組みです。
もともとはメールマーケティングで使われていた「ステップメール」が発展したもので、LINE公式アカウントの効果的なコミュニケーション手段として広く活用されています。
LINE公式アカウントのステップ配信では、友だち追加をきっかけに、ユーザーごとに適切なタイミングでメッセージの自動配信が可能です。
例えば、下記のように友だち追加を起点としてメッセージを自動配信できます。
このように時間差で情報を届けることで、ユーザーの興味を段階的に高め、購買や来店など、具体的な行動につながりやすくなります。
また、ステップ配信では「オーディエンス機能」を活用して、配信対象を細かく設定することも可能です。
例えば、「特定のリンクをクリックした人」や「過去にクーポンを利用した人」の行動データをもとにセグメントを作成すれば、興味度の高いユーザーに絞った配信を実現できるでしょう。
LINE公式アカウントの管理画面は、配信結果を分析する機能も充実しています。
開封率・クリック率などのデータをもとに、どのタイミングやメッセージが効果的だったのかを可視化して次回のシナリオ設計に活かせるため、配信コストを抑えながら、より高い反応率を得ることができます。
LINE公式アカウントのステップ配信を活用すれば、これまで手動で行っていた顧客フォローやキャンペーン告知を自動化できるため、業務効率化や販促効果の向上を同時に実現できます。
ここでは、企業や店舗がステップ配信を導入することで得られる主なメリットを紹介します。
ステップ配信の最大のメリットは、メッセージ送信を自動化できる点です。
一度シナリオを設定すれば、「友だち追加後3日目にクーポンを配信」「1週間後にアンケートを送信」といった流れを自動で実行できます。
例えば飲食店の場合、初回来店後に「次回予約で使える割引クーポン」を自動送信することで、スタッフが手動で案内しなくても再来店を促すことが可能です。
また、特定の時間帯や曜日に合わせて配信できるため、営業時間外でも顧客へのアプローチが途切れることはありません。
送信漏れや対応遅れのリスクも減り、少人数のチームでも効率的な顧客対応を行えるのが大きな魅力です。
LINEステップ配信では、ユーザーの属性や行動データをもとに配信内容を細かくカスタマイズできます。
例えば、「リンクをクリックしたユーザー」「特定の商品を閲覧したユーザー」などをグループ化し、それぞれに合った内容を配信することが可能です。
美容サロンなら「初回来店から1週間後にトリートメント割引を案内」、ECサイトなら「カート放置ユーザーに再購入クーポンを送付」といった具体的な活用もできます。
ユーザーが反応しやすいタイミングで適切な内容のメッセージを送信できるため、リピーターの獲得や再来店の促進にも効果的です。
ステップ配信は、一斉配信よりも開封率・クリック率を高めやすいのが特徴です。
一般的に、一斉配信ではすべてのユーザーに同じメッセージを同時送信するため、関心の薄いユーザーには届いても開封されにくい傾向があります。
一方でステップ配信は、ユーザーの行動(例:友だち登録や、商品の購入など)に応じて配信されるため、タイミングが最適化されやすく、結果としてメッセージの開封率が向上します。リンクのクリックや商品の購入、サービスの予約など、次のアクションにつながりやすくなるでしょう。
クリック率やコンバージョン率のデータも分析できるため、メッセージ内容を改善しながら、より効果的な配信設計が可能です。
続いては、LINE公式アカウントのステップ配信の基本的なやり方を説明します。
まずは、LINE公式アカウントの管理画面にログインし、左側メニュータブの「ホーム」から「ステップ配信」を選択します。
画面から「テンプレート使用」または「新規メッセージを作成」を選び、配信内容を作成しましょう。
「テンプレート使用」では、目的別に用意されたシナリオを活用でき、初めての方でも短時間で設定できるのが特徴です。
例えば、以下のようなテンプレートが用意されています。
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テンプレートの種類 |
内容 |
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フォローアップ |
短期:友だち追加後3日目にお店の紹介メッセージを配信 長期:30日後にお礼としてクーポンを配布 |
|
再来店の促進 |
短期:来店5日後に再来店割引を配信 長期:1ヶ月後に限定キャンペーンを案内 |
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レビュー・チャットの依頼 |
商品購入後に感想をチャットで送ってもらうメッセージを自動配信 |
|
サービス・商品の宣伝 |
商品の魅力をコラム形式で数日に分けて配信 |
テンプレートを活用すれば、目的に合わせて適切なタイミングでメッセージを送る設計を、簡単に行うことができます。
オリジナルで設計したい場合は「新規メッセージを作成」を選択し、自社のキャンペーンや商品ストーリーに合わせた内容を一から作成しましょう。
次に、基本設定を行います。
以下の項目を設定することで、配信期間や上限数を細かくコントロールできます。
|
項目 |
内容 |
|
タイトル |
管理用のタイトルです。50文字以内で設定しましょう。 |
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タイムゾーン |
日本国内で利用される場合は、デフォルト(UTC+09:00)設定のままで構いません。 |
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有効期間 |
開始日と終了日を選択します。どちらか一方のみでも設定できるほか、有効期間を指定せずに利用することも可能です。 |
|
配信数の上限 |
「先着○名限定!」などのキャンペーンを行う場合は、配信数に上限を設けることもできます。設定しなくても構いません。 |
次に、開始条件をクリックし、「友だち追加」か「オーディエンス」のどちらかを選択しましょう。
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開始条件 |
内容 |
|
友だち追加 |
友だち追加をきっかけとして、ステップ配信を行いたい場合に選択します。 |
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オーディエンス |
特定のアクションを起こしたユーザーに絞り込んでステップ配信を行いたい場合に選択します。 あらかじめ管理画面のオーディエンス機能から、配信対象を作成しておく必要があります。 |
追加経路は、「すべての経路」か「特定の経路」のいずれかを選択します。
「特定の経路」を選択すれば、友だち追加の経路を絞り込むことも可能です。
次は、ユーザーに届けるメッセージ内容を具体的に設定していきます。
「ステップを追加」をクリックし、配信形式を選択しましょう。
|
配信形式 |
内容 |
|
メッセージを配信 |
全員に配信する場合 |
|
条件分岐を追加 |
配信対象を一部のユーザーに絞り込む場合 |
メッセージ配信では、以下の項目を設定します。
プレビュー確認後、問題がなければ「保存」をクリックします。
その後、何日後に配信するかを登録し、ステップ配信の設定は完了です。
「条件分岐を追加」することで、ステップ配信の対象を分岐させることができます。
分岐させる条件は、以下のいずれかです。
属性とは、性別や年齢、エリア、OSなどの区分を指します。
オーディエンスは、前述の通り、特定の条件や行動に基づいてあらかじめグループ分けされたユーザーの集団を指します。
条件分岐を追加することで、友だち追加時に案内リンクをクリックしたユーザーにはAメッセージを、未クリックのユーザーにはBメッセージを送るなど、ユーザーの反応に応じたアプローチが可能です。
LINE公式アカウントのステップ配信は、利用している料金プランによって配信できるメッセージ数が異なります。
以下の3つのプランから選択でき、ステップ配信も通常配信と同じルールでカウントされます。
【LINE公式アカウントの料金プラン】
|
プラン名 |
月額料金 |
メッセージ配信数/月 |
追加メッセージ |
|
コミュニケーションプラン |
0円 |
200通まで |
不可 |
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ライトプラン |
5,000円(税別) |
5,000通まで |
不可 |
|
スタンダードプラン |
15,000円(税別) |
30,000通まで |
〜3円(税別)/通 |
※料金は2025年10月時点での情報です。
無料の「コミュニケーションプラン」でもステップ配信は利用できますが、月間200通が上限です。ステップ配信も、通常の一斉配信と同じく、「1ユーザー1通」ごとにカウントされます。
そのため、例えば1ヶ月の間に100人の友だちに対して「お礼メッセージ」と「商品紹介」の2通を送ると、それだけで200通です。
上限を超えると自動的にメッセージ配信が停止するため、配信数をしっかりと管理しておきましょう。
ステップを複数段階に設定すると配信通数が増えるため、ユーザー数が増えた段階で有料プランへの切り替えを検討するのが現実的です。
一方で、チャット機能による1対1の個別メッセージや自動応答は、メッセージ数のカウント対象外です。上限を超えても顧客対応や質問対応を続けられるため、小規模事業者や開業初期の店舗でも安心して運用できます。
LINE公式アカウントでステップ配信を行う場合、友だち数が少ないうちは無料プランで十分ですが、キャンペーンや再来店促進を積極的に行う場合は、ライトプラン以上の導入を検討してはいかがでしょうか。
配信数に余裕を持たせることで、反応データの分析やテスト配信も行いやすくなり、効果的なステップ配信運用につながります。
続いては、LINE公式アカウントのステップ配信を運用する際に注意しておきたい4つのポイントを紹介します。
どれも運用効率や配信効果に直結する重要な項目のため、あらかじめ理解しておくことで、トラブルや無駄なコストを防ぎ、より効果的な配信ができるでしょう。
前述の通り、LINE公式アカウントのステップ配信は、料金プランによって配信できるメッセージ数が異なります。
「1ユーザー1通」ごとにカウントされるため、配信シナリオを多段階に設定すると上限に達しやすくなるでしょう。
例えば、100人のユーザーに「友だち追加のお礼→商品紹介→限定クーポン」の3段階で配信すると、それだけで300通分を消費します。
無料のコミュニケーションプラン(月200通)やライトプラン(月5,000通)では、上限を超えると追加配信ができません。
一方、スタンダードプラン(月30,000通〜)では、上限を超えた分も1通あたり最大3円(税別)で追加配信できます。
月途中でプランを変更することも可能ですが、急な増加に備えて余裕を持ったプラン選びをしておくと安心です。
配信通数を節約したい場合は、反応の高いユーザー層をオーディエンスで絞り込むと良いでしょう。
ステップ配信の開始条件は、「友だち追加」と「オーディエンス」の2種類のみです。
「購入完了後に配信」や「特定商品の予約後に配信」といった複雑な条件設定は、標準機能ではできないため、LINE公式アカウントの拡張ツールが必要になります。
ユーザーがLINE公式アカウントをブロックすると、ステップ配信を含めたすべてのメッセージが届かなくなります。
ブロックを解除したとしても、ブロック中に配信されたメッセージが遡って配信されることはありません。
ブロックを防ぐためには、「配信頻度を高くしすぎない」「宣伝ばかりではなく有益な情報も届ける」「トーク内容を個別化する」など、ユーザーが読みたいと思えるメッセージ設計を意識することが重要です。特にステップ配信では、友だち追加の直後に信頼関係を築くことが、ブロック率を下げることにつながるでしょう。
関連記事:LINE公式アカウントがブロックされるとどうなる?ブロックの確認方法やブロック率を下げるコツを紹介
LINE公式アカウントの条件分岐は、「属性(年齢・性別・地域・OS)」または「オーディエンス」です。「過去30日以内に購入した人」や「特定商品の閲覧履歴がある人」などの条件分岐は、標準機能では設定できないので注意しましょう。
より細やかな条件で絞り込んで配信したい場合には、外部ツールとの連携を検討してください。
LINE公式アカウントのステップ配信は、業種やサービス内容に合わせて柔軟に設計できる点が魅力です。
ユーザーの行動や興味に応じてメッセージを自動で届けられるため、売上アップだけでなく、リピーター獲得や顧客満足度の向上にもつながります。
ここでは、実際に成果を上げている業種別の活用事例をいくつか紹介します。
会員制ジムでは、LINEステップ配信を活用して「入会後の離脱防止」や「利用頻度の維持」を実現しているケースが多く見られます。
【活用事例】
ステップ配信に「動画リンク付きメッセージ」や「イベント参加リンク」を組み合わせることで、アクション率の向上が期待できます。
会員との接点を増やすことで、退会率の低下や来店回数の増加など、継続率向上につながるでしょう。
ECサイトを持つヘアサロンでは、店舗とオンラインの両面で顧客との関係性を育てることが重要です。LINEステップ配信を使えば、初回来店から再来店、商品のEC購入までの導線を自動で作ることができます。
【活用事例】
初回にアンケートを取り、ユーザーごとの悩みに寄り添った内容を段階的に配信することで、信頼関係を構築できます。LINE経由でECサイトへの誘導リンクを設置すれば、店舗とオンラインの両方で販促効果を高められるでしょう。
化粧品販売会社では、「購入後フォロー」や「ブランド育成」を目的としてLINEステップ配信を活用しています。
一度商品を購入したユーザーに対して、再購入を促すだけでなく、使用方法やお手入れのコツを伝えることで、ブランドロイヤリティを高められるでしょう。
【活用事例】
また、LINE公式アカウントをInstagram広告などと連携させ、友だち追加後の自動配信につなげることで、新規顧客への導入ハードルも下げられます。
特に化粧品業界では「使用方法を動画付きで配信する」など、ビジュアル重視のコンテンツが反応率向上につながる傾向にあります。
LINE公式アカウントのステップ配信は、ユーザーの行動や興味に合わせて自動的にメッセージを送ることで、販促効果を最大化できる便利な機能です。
例えば、友だち追加直後のユーザーに「初回限定クーポン」を送り、数日後に「人気商品の紹介」や「レビュー投稿のお願い」を配信するなど、自然な流れで購入や再来店を促せます。
また、属性情報(性別・年齢・地域など)や行動履歴にもとづいてメッセージ内容を工夫すれば、ユーザーにとってちょうど良い情報を届けることができ、結果として開封率やクリック率の向上、リピーターの増加が期待できます。
ただし、LINE公式アカウントの標準機能のトリガーは、「友だち追加」と「オーディエンス」の2種類のみです。
「商品購入後」や「サービスの予約完了後」などの複雑な条件を起点にステップ配信を行いたい場合は、LOOPASSのようなAPIを活用した外部ツールの導入も検討しましょう。
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