LINE公式アカウントを活用した効果的なマーケティング手法として、LINEスタンプの無料配布が注目されています。
LINEスタンプは、ユーザーの日常的なコミュニケーションで繰り返し使われるため、自然に企業名やサービスを想起させる効果が期待できるでしょう。
一方で、「無料」はあくまでユーザー側のメリットであり、企業側としては費用がいくらかかるかも把握しておきたいところです。
この記事では、LINEスタンプを無料配布で得られる効果やメリット、費用の目安を紹介します。
※こちらの記事は2025年9月29日時点での情報です。
企業が無料配布できるLINEスタンプは、「LINEプロモーションスタンプ」と言い、LINEヤフー社が提供する正式な広告サービスです。
企業は広告費を支払うことで、ユーザーにスタンプを無料で配布したり、「友だち追加」や「アンケート回答」などの条件を満たしたユーザーに配布したりすることが可能になります。
単なる販促ツールにとどまらず、企業とユーザーをつなぐコミュニケーション手段としても活用できるのが特徴です。
LINEプロモーションスタンプは、個人や企業が自由に販売できる「LINEクリエイターズスタンプ」と異なり、売上収益を得るのではなく広告費を支払って無料配布する仕組みです。
企業がLINEプロモーションスタンプを利用するメリットには、以下のようなことが挙げられます。
LINEスタンプは何気ない日常で使用されるため、配布した企業のロゴやキャラクターが自然とユーザーの目に触れる機会が増えます。
そうすることで企業名や商品を思い出すきっかけになり、来店や商品購入につながりやすくなるのです。
テレビCMやチラシと違い、ユーザー自らが積極的に使うため、好意的なイメージとともに認知度が広がります。
LINEスタンプを無料配布する際には、ダウンロード条件に「友だち追加」を設定できるため、効率的にLINE公式アカウントの友だち数を増やせます。
実際に、無料スタンプをきっかけに数百万人規模で友だち数を増やした事例もあるほどです。
友だちになったユーザーには、プッシュ通知でキャンペーン情報や新商品の案内を届けられるため、継続的なマーケティングチャネルとして活用できます。
企業が無料配布するLINEスタンプが「かわいい」「使いやすい」と感じられると、ユーザーは日常的に利用し、結果として企業との接点が増えます。
繰り返しスタンプを目にすることで親近感や信頼感が育まれるため、通常の広告を超えてファン化につながる効果も期待できるでしょう。
期間限定スタンプを配布することで「今だけ」という特別感を演出し、ユーザーの参加意欲を高める戦略も可能です。
LINEプロモーションスタンプには、複数のプランがあります。
主なスタンプの種類は、以下の4つです。
【定額プラン】
【従量課金プラン】
定額プランは、配布にかかる費用があらかじめ決まっており、リーチ数に関わらず一定の金額で実施できます。
一方で、従量課金プランはスタンプのダウンロード数に応じて料金が変動するため、費用対効果を重視したい企業に適しています。
続いては、それぞれのプランについて詳しく見ていきましょう。
スポンサードスタンプは、より多くのユーザーにリーチできる定額プランです。
スタンプショップに掲載されるため、多数のLINEユーザーに自然とリーチできるのが魅力です。
ダウンロード数に制限がないため、人気キャラクターや企業独自のデザインを活用すれば、数百万人単位の利用が見込まれるでしょう。
大規模なキャンペーンや全国的にブランドを浸透させたい企業向けの施策と言えます。
【スポンサードスタンプの概要】
料金 |
(静止画・8種類)3,500万円(税別) (静止画・16種類)4,000万円(税別) |
ダウンロード数の制限 |
なし |
配布期間 |
4週間(延長不可) |
スタンプの利用期限 |
ダウンロードから180日 |
スタンプショップへの掲載 |
あり |
出典:LINEヤフー「スポンサードスタンプ価格プラン(2025年10月〜2026年3月期)」
スタンプショップには掲載されないため、自然流入での拡散効果は小さいものの、自社の公式SNSや特設ランディングページ、メールマガジンなどを活用してダウンロードURLを告知できます。
自社のLINE公式アカウントでスタンプを送信すれば、ユーザーがタップするだけでダウンロードページに移動できるため、直接的な誘導が可能です。
特定のファン層や既存顧客に向けて効率的にアプローチしたい場合に適したプランと言えるでしょう。
【ダイレクトスタンプの概要】
料金 |
(静止画・8種類)1,000万円(税別) (静止画・16種類)1,500万円(税別) |
ダウンロード数の制限 |
なし |
配布期間 |
12週間(料金追加で最大24週間まで延長可能) |
スタンプの利用期限 |
ダウンロードから180日 |
スタンプショップへの掲載 |
なし |
出典:LINEヤフー「ダイレクトスタンプ価格プラン(2025年10月〜2026年3月期)」
スポンサードミッションスタンプは、スポンサードスタンプと同様に、ダウンロード数に制限がない定額プランです。
大規模なユーザーへの認知拡大が見込めるうえに、スタンプのダウンロード条件に「友だち追加」だけでなく「アンケート回答」や「ID連携」などを組み込めるため、マーケティング施策に直結するデータを収集できます。
ID連携を条件とすれば、会員登録やECサイトの利用促進にもつながり、スタンプをきっかけとしたクロスチャネル施策を展開できるでしょう。
ただし、API連携やシステム開発が必要なため、技術的な準備や開発コストが発生する点に注意が必要です。料金も通常のスポンサードスタンプと比較して高めに設定されています。
【スポンサードミッションスタンプの概要】
料金 |
(静止画・8種類)4,000万円(税別) (静止画・16種類)4,500万円(税別) |
ダウンロード数の制限 |
なし |
配布期間 |
4週間(延長不可) |
スタンプの利用期限 |
ダウンロードから180日 |
スタンプショップへの掲載 |
あり |
出典:LINEヤフー「スポンサードミッションスタンプ価格プラン(2025年10月〜2026年3月期)」
CPDスタンプは、従量課金制のプランで、ダウンロード数に応じて広告費が変動するのが特徴です。スタンプショップへも掲載されるため、多くのユーザーへのリーチが期待できます。
企業側でダウンロードの上限値を任意に設定できるため、かけるコストを調節しやすいというメリットがあります。
中小企業や特定のキャンペーンに合わせて「まずは限定的に配布してみたい」という場合に有効です。
ただし、利用できるLINEスタンプは静止画8種類のみとなっており、16種類やアニメーションスタンプは選ぶことができません。
また、ユーザーが利用できる期間が「ダウンロードから90日」とほかの定額プランと比べて半分の期間となっています。
短期間での掲載は限定感を演出する一方で、長期的なブランド露出には不向きな場合もあるため、キャンペーン目的や短期集中の施策に活用するのがおすすめです。
【CPDスタンプの概要】
料金 |
(静止画・8種類)600万円(税別)〜 |
ダウンロード数の制限 |
10万~30万ロット(1万単位で発注可能) ※指定掲載期間内で消化完了しない場合、ダウンロード数×単価60円での請求 |
配布期間 |
最長4週間(延長不可) |
スタンプの利用期限 |
ダウンロードから90日 |
スタンプショップへの掲載 |
あり |
出典:LINEヤフー「CPDスタンプ(スタンプショップ掲載あり)価格プラン(2025年10月〜2026年3月期)」
企業のLINEスタンプ作成にかかる費用は、大きく以下の2つに分けられます。
媒体費が全体の大部分を占めますが、デザインを外注したり、入稿や配信設定を制作会社に任せたりすると追加コストが発生します。
LINEプロモーションスタンプの媒体費の目安は、以下の通りです。
スタンプの種類 |
費用 |
スポンサードスタンプ(定額) |
3,500〜4,000万円 |
ダイレクトスタンプ(定額) |
1,000〜1,500万円 |
スポンサードミッションスタンプ(定額) |
4,000〜4,500万円 |
CPDスタンプ(従量課金) |
600万円〜 |
また、スタンプそのものの制作費は、デザインや制作方法によって異なります。
スタンプの制作方法 |
費用の目安 |
自社制作 |
0円 |
クラウドソーシングに外注 |
数万円 |
制作会社に外注 |
数十万円〜 |
LINE スタンプ クリエイターリパッケージ※ |
50万円(Net価格・税別) |
※LINEヤフー「クリエイターリパッケージ スペック詳細(2025年10月-2026年3月期)」
このように、企業がLINEスタンプを無料配布するためにかかる費用は、決して安くはありません。
しかし、LINEスタンプはユーザーの会話のなかで繰り返し使われるため、広告としての接触回数が圧倒的に多く、テレビCMやバナー広告に比べても費用対効果が高いと評価されています。
スタンプ配布をきっかけにアンケート回答や会員登録を促せるなど、認知度アップに加えて顧客データを獲得することも可能です。
効果を試したい企業はCPDスタンプを選び、費用を抑えながら配布効果を検証してはいかがでしょうか。
LINEスタンプの無料配布は、数百万〜数千万円の多額の広告費用がかかる施策のため、より高い効果が得られるよう、自社の目的に合ったLINEスタンプを正しいステップで作成することが重要です。
ここからは、LINEプロモーションスタンプの活用を検討中の企業に向けて、効果的なLINEスタンプの作り方を順序に沿って紹介します。
まずは、スタンプを配布する目的やターゲットを明確にしましょう。
新商品の認知度向上やキャンペーン参加者の獲得、会員登録の促進など、目的に応じてデザインや配布条件が変わってきます。
また、ターゲット層も重要です。若年層向けであればポップでかわいいデザイン、ビジネス層であればシンプルで使いやすいスタンプが好まれる傾向があります。
「女性のみ」や「男性のみ」をターゲットに配布できる「スポンサードターゲティングスタンプ」プランを選択すれば、通常のスポンサードスタンプより費用を抑えつつ、効率的に狙った層へアプローチができます。
【スポンサードターゲティングスタンプの概要】
料金 |
【みなし女性属性】 (静止画・8種類)2,500万円(税別) (静止画・16種類)3,000万円(税別) 【みなし男性属性】 (静止画・8種類)2,000万円(税別) (静止画・16種類)2,500万円(税別) |
ダウンロード数の制限 |
なし |
配布期間 |
4週間(延長不可) |
スタンプの利用期限 |
ダウンロードから180日 |
スタンプショップへの掲載 |
あり |
出典:LINEヤフー「スポンサードターゲティングスタンプの概要価格プラン(2025年10月〜2026年3月期)」
スタンプを配布するには、LINEヤフー社が行う広告主審査を通過する必要があります。
新規のユーザーに限り、与信審査が行われますので覚えておきましょう。
その後、クリエイティブ審査やキャラクター審査が行われます。
これらの審査では、デザインに公序良俗に反する要素がないか、著作権や商標権を侵害していないか、ガイドラインに準拠しているかなど、LINE独自の基準で判断されます。
審査に通らなければ配布できないため、制作段階から「LINEプロモーションスタンプ審査ガイドライン」や「LINE公式アカウントデジタルコンテンツ配布系個別規約」を確認しておくことが重要です。
自社にスタンプをデザインできる人材がいない場合、外部のプロに依頼するのが一般的です。
クラウドソーシングやスキルマッチングサービスを利用して個人のクリエイターを探す方法や、LINEスタンプ制作を専門とする企業に依頼する方法があります。
LINEヤフー社が提供する「LINE スタンプ クリエイターリパッケージ」を利用すれば、既存の人気クリエイターズスタンプを期間限定で買い取り、自社のプロモーションスタンプとして配布できます。
独自キャラクターを持たない企業や制作コストを抑えたい企業にとって有効な手段です。
クリエイターや制作会社が決まったら、正式にデザインを発注します。
依頼時には「スタンプの利用シーン」「想定するユーザー層」「企業イメージをどう表現したいか」を具体的に伝えると、満足度の高い仕上がりになるでしょう。
また、スタンプの仕様はLINEプロモーションスタンプの「制作ガイド」に沿う必要があり、サイズ・フォーマット・色数制限など細かいルールがあるため、制作段階で確認しておくことが大切です。
制作が完了したら、LINEヤフー社が定めるスケジュールに従って入稿と配信設定を行います。
納品については、LINEプロモーションスタンプの「納品ガイド」を参照しましょう。
納品期日を過ぎると予定していたキャンペーンに間に合わなくなるため注意してください。
制作会社のなかには、入稿作業や配信設定まで一括で代行してくれるところもあるため、自社にノウハウがない場合は外注を検討すると安心です。
審査を通過し、配信開始日時を迎えると、スタンプショップや自社特設ページを通じてユーザーがダウンロードできるようになります。
スタンプショップに掲載されないダイレクトスタンプの場合は、自社SNSやWebサイトで積極的に告知しましょう。
企業が無料配布できるLINEスタンプは、「LINEプロモーションスタンプ」と呼ばれるLINEヤフー社の公式サービスです。
ユーザーは友だち追加や条件を満たすことで無料ダウンロードできる仕組みで、日常の会話に繰り返し登場するため、高い広告効果が見込めます。
プランは複数あるため、自社の目的に合わせて選択可能です。
ブランドや商品キャラクターをスタンプ化することで親近感を持ってもらえたり、友だち数増加によって継続的に情報発信できたりと、広告以上の効果を得られるでしょう。
企業名・ブランド名の認知拡大や、ターゲット層のユーザーとの関係構築など、さまざまなメリットが期待できるため、多くの企業が導入しています。
ぜひ、自社のプロモーションへの活用を検討してみてはいかがでしょうか。