2025.7.03

TikTok for Business Japan Agency Awards 2025にて、セプテーニがW受賞!「Best Planning Award」を受賞した専門組織「ショート動画開発部」のノウハウと今後の展望

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Septeni FOCUS 編集部

2025年4月、TikTok for Businessが主催する「TikTok for Business Japan Agency Awards 2025」において、株式会社セプテーニ(以下、セプテーニ)は、Growth Sales部門のBest Performance Awardの受賞に加え、セプテーニの縦型動画・ドラマ領域 ショート動画開発部が、Strategic Sales & Solutions部門のBest Planning Awardを受賞した。

 

今回の取材では、セプテーニの縦型動画に対する取り組みや、そこから見えてきたクリエイティブ制作におけるナレッジについてSepteni Japan株式会社 飯島夢氏に話を聞いた。

TikTok for Business Japan Agency Awards 2025でのW受賞!セプテーニの快挙

まずは簡単に自己紹介をお願いします。

飯島ショート動画開発部の飯島夢です。私は、営業を経験した後、2020年からクリエイティブの企画や制作に携わっています。2024年9月からは、縦型動画に特化した新設組織、「ショート動画開発部」で日々縦型コンテンツと向き合っています。デジタル×縦型に特化してクリエイティブの探求ができていることを刺激的に感じています。

 

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Septeni Japan株式会社
クリエイティブディレクター・プランナー・コピーライター 飯島 夢

2018年にSepteni Japan株式会社に入社後、営業からキャリアをスタートし、2020年よりクリエイティブ職に転身。2024年からは縦型ショート動画を中心に企画・制作。ことばを起点としたコミュニケーションプランニングを得意とする。
受賞歴:2021年「ヤングライオンズコンペティション(通称:ヤングカンヌ)」国内プリント部門ゴールド、宣伝会議主催「第13回販促コンペ」ゴールド、「第59回宣伝会議賞」一般部門協賛企業賞 など

 

―4月に「TikTok for Business Japan Agency Awards 2025」の「Best Performance Award」と「Best Planning Award」をW受賞しましたが、それぞれの賞の概要を教えてください。

 

飯島:Growth Sales部門の「Best Performance Award」は、年間を通じてパフォーマンス広告において高い売上成果を実現し、持続的なビジネスインパクトを創出した広告代理店を表彰するものです。
一方、「Best Planning Award」は、広告代理店の組織に贈られる賞で、TikTokと他メディアやプラットフォームとのコラボレーションのほか、TikTok for Businessの広告ソリューションを活用し、マーケット開拓に寄与した組織が対象となります。今回は私が所属するショート動画開発部が受賞しました。

縦型動画広告に特化したショート動画開発部の強みとは

―ショート動画開発部はどのような部署なのでしょうか?

 

飯島:当部署はショート動画・縦型動画に特化して企画や制作、運用を担う部署です。縦型動画広告の成長を牽引するTikTokにフォーカスする形で、2024年に誕生しました。
ドラマチームと広告チームが1つにまとまったユニークなチームで、広告やドラマを専門に扱うメンバーはもちろんのこと、コピーライティングやデザイン、AIなど、多種多様な専門領域に携わるメンバーが集まっています。

 

―ショート動画開発部のミッションや役割を教えてください。

現代において大きな影響力を持つ「縦型動画」という枠組みのなかで、どのようなクリエイティブ表現ができるのか、その可能性を探求しているのがショート動画開発部です。

 

皆さんのなかには縦型動画について、単なるメディアの一部であるという印象をお持ちの方も多くいらっしゃるかと思います。私自身も以前は同様の認識でしたが、専門チームに在籍し日々縦型コンテンツと向き合う今、考え方が変わったように思います。

現代社会で欠かせないスマートフォンに対応した縦型動画は、私たちにとって距離が最も近い発信元の一つであり、もはやマスメディアと呼んでも過言ではないほど私たちの生活に溶け込んでいます。

 

市場の成長とともに、多くの企業にマーケティング手法として取り入れられるようになった縦型動画ですが、クリエイティブ制作にあたってさまざまなハードルがあると考えています。
例えば、画角内で伝えたい要素が全て収まるように、あらかじめ縦型動画で活用することを前提とした素材の準備や撮影が必要です。また、ユーザー視点で観たいものを深堀り、企画することが求められます。その一連のフローを広告主企業だけで完結させるのはかなり難しく、「縦型動画に特化した提案が欲しい」というご要望をいただくケースが増えております。

 

SacStockとVertical Virtual STUDIOで実現するクリエイティブ制作

―縦型動画に向き合う専門組織は現状少ないですし、組織自体がユニークな存在ですね。ショート動画開発部の取り組みや個性について詳しく教えてください。

 

飯島:私たちは顧客の課題に即した独自のケイパビリティ開発に力を入れています。UGC※風動画の素材にフォーカスした撮影を行っている「SacStock(サックストック)」がその一例です。

SacStock

※ UGC:一般のユーザーがインターネット上で作成・共有するコンテンツのこと

企業の訴求したい内容によっては、広告感が薄く、ほかの投稿になじむUGC風の動画が視聴されやすい傾向にあります。そのため、一般のユーザーが撮影したようなオーガニック感のある素材が重要になりますが、その確保には多くの撮影工数や時間を要することから、クリエイティブ制作における課題の一つとなっています。この素材の準備からサポートできるサービスが「SacStock」です。

 

また、先日ショート動画開発部の新たなケイパビリティに、縦型動画に特化した撮影スタジオ「Vertical Virtual STUDIO」が加わりました。これは、ディスプレイに背景映像を投影し、実際にその場所でロケーション撮影されたものと比較しても、遜色ないほどリアリティのある動画・静止画の撮影ができ、撮影の工数やコストも大幅にカットすることが可能となるスタジオです。


素材の準備はクリエイティブの表現やクオリティを左右する重要なポイントです。これまで培ってきた縦型動画に関する知見を活かして素材準備からサポートできる点はセプテーニの独自性であり強みです。縦型動画の制作時も、この強みを生かし表現の幅を広げています。

 

―「SacStock」の強みをさらに詳しくお聞かせください。

飯島:特徴的なのは、撮影に関する指定事項が少ない点です。通常の撮影では、シナリオはもちろんのこと、画角や撮り方を事細かに指定することが一般的です。一方、「SacStock」の撮影では、シーンのみを指定して、画角や撮り方を事前に細かく指定しません。セプテーニグループの制作会社であるSepteni Ad Creative株式会社(SAC)に所属する撮影メンバーがスタジオのレイアウトやモデルの動き、その場の天候や光の入り具合などを加味しながら、柔軟に撮影していきます。

 

このように条件の指定を少なくすることで、より生活感のある自然な画が撮れやすくなります。また、画角を細かく指定せず、バリエーション豊かに撮影を行うため、スタジオ撮影1回あたりの撮影パターン数の多さは強みの一つです。

専門組織ならではの社内外からの評価

―ショート動画開発部に対して、社内やクライアントからは実際どのような評価及び反響がありますか?

飯島:「日々縦型動画と向き合っているからこその、独自性のあるアイデアだね」と社内外から評価いただくことが多いです。「縦型」という縛りがあるなかで画面の使い方やクリエイティブ要素の足し引きなどについての研究が、このような声につながっているのだと思います。

 

多くのクリエイティブディレクターは、複数のメディアを検討し、「今回のクリエイティブ表現はどのメディアに適しているのか」、「どのメディアとシナジーを生めるのか」という視点で企画を立てるケースが多いと思います。幅広いメディアを扱う分、特定のメディアに特化した知見はなかなか蓄積されにくいのではないでしょうか。

 

一方で、私たちショート動画開発部は、「縦型動画」という特定のフォーマットを用いてどのような表現ができるかを追求しています。そして、当社の各案件に携わるディレクターやクリエイティブプランナーが縦型動画に対して高いレベルの知見を持てるよう、当部署主体で社内へのナレッジ共有も行い、アイデアの幅を広げ発展させています。 

縦型コンテンツ制作のポイントとクリエイターに求められるスキルとは

―これまでのクリエイティブ制作で蓄積されたナレッジを紹介いただきたいです。縦型コンテンツの制作において、どのような点が重要なのでしょうか?

飯島:「広告を作って宣伝する」という考え方ではなく、「視聴者に楽しんでもらえるコンテンツとしてクリエイティブを作る」という意識が何よりも大事です。近年ショートドラマが人気を集めていることからも分かるように、縦型動画で多く視聴されているものはすべて、ユーザーがより自然に受け入れ、楽しんだり学んだりできるように「コンテンツ化」されているように思います。

 

生活者に見られるコンテンツを作るには、2つの要素がポイントになります。1つは視聴者に「私のもの(こと)だ」と思わせること、もう1つは気持ちの良い読後感を作り出すことです。
動画の冒頭で「私のものだ」と思わせ目に留めてもらう仕掛けを作ること、視聴後に「わざわざ時間を使って観て良かった」と感じてもらうコンテンツの中身を作ること、この2つの両立がとても大事です。コメントしたい、誰かに教えてあげたい、など価値を感じてもらえるクリエイティブを目指しています。

 

―では、縦型コンテンツに特化したクリエイターに必要なことは何でしょうか?

飯島:広くアンテナを張りトレンドや世の中の動きをキャッチすることです。例えば、TikTokを扱うからといって、TikTokにだけ詳しければ良いわけではありません。人々が今、何に心を動かされ、何に対して怒りを抱いているのか。そのリアルな感情を捉えるためには、TikTokのみならず、他メディアや広告以外の事例も含めて広く情報をキャッチアップし、クリエイティブの表現に落とし込む意識が大切です。
消費者の興味や関心は日々変動しています。トレンドの移り変わりは非常に早く、1つのフォーマットが流行しても、しばらくするとすぐに時代遅れなものになってしまいます。

 

そのためクリエイターは、既出の表現にはどのようなものがあるのかを理解したうえで、今ブランドが何を発信すれば面白さや新鮮さにつながるのかをしっかり判断していくことが大事です。
また、外部パートナーとの連携も新しいクリエイティブを生む一つの方法です。TikTok特有のミームに精通しているクリエイターと手を組んだり、場合によってはTikTok側と一緒に企画したり、キャスティング会社の方と一緒にTikTokerを活用した企画を考えたりするなど、多くの方と企画を磨き上げることで新たなシナジーを生むことができます。

 

―外部との連携はとても重要であると感じる一方で、連携を実現する土壌がなく遂行できないケースも予想できます。セプテーニには組織としてそれを促す環境ができ上がっているのでしょうか?

飯島:はい、当社では外部のパートナーとの協業に非常に力を入れており、TikTok関連の外部パートナーもとても多いです。また、パートナーそれぞれの得意分野を把握しているため、協業時は適切なパートナーと連携することができます。

 

例えば、国内大手マルチチャンネルネットワーク(MCN)※ との豊富な協業実績を活かし、広告主企業のニーズに合わせたクリエイターの選定・提案・ディレクションが可能です。外部企業とのネットワークの強さもセプテーニの特長だと思います。
※マルチチャンネルネットワーク(MCN): 主にYouTubeなどの動画共有プラットフォームで活動するクリエイターを支援・管理する組織

 

―最後に、縦型動画市場に身を置くショート動画開発部の今後の展望をお聞かせください。

飯島:ショート動画というフォーマットは、普段は堅苦しく感じ距離を置いてしまうような情報や、自分自身からは遠いものと認識されがちな社会課題などと個人との距離を縮め、より身近に感じてもらうための手段にもなると考えています。

 

今後も、こうしたショート動画ならではの特徴や魅力をうまく活用しながら、社会に新しい価値を生み出せるようにチャレンジしていきたいです。

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執筆者

Septeni FOCUS 編集部

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