「広告運用の最適化はやり切った」「LPの改善も繰り返してきたが、CVRがなかなか上がらない」——広告チューニングだけではCPA(顧客獲得単価)が下がらないフェーズにおいて、次なる一手を見出せずにいる企業は多いのではないでしょうか。
そんな限界を突破し、広告をクリックした“その先”の体験までを一気通貫で支援すべく、Septeni Japan株式会社(以下「セプテーニ」)は2025年2月にUXコンサルティングを牽引する株式会社ビービット(以下「ビービット」)と資本業務提携を締結。両社の知見をかけ合わせ、共同で提供する「CROパッケージ」では「1施策でCVR改善がみられる確率90%」という、大きな実績を挙げています。
なぜ、やり尽くされたと思われがちなCRO領域で、これほどの成果を生み出せるのか。
この記事では、この協業プロジェクトを牽引するビービットの生田 啓氏・神保 菜津紀氏、セプテーニの石脇 健太・前田 淳志に話を伺いました。圧倒的な成果を生み出す、両社のパートナーシップの裏側に迫ります。
石脇(セプテーニ):まず大前提として、セプテーニの経営理念の根幹には「顧客」というキーワードがあります。デジタルマーケティングを手段とし、お客様の事業成長を支援するパートナーとして向き合っていくことを目指しており、ビービットさんの理念と非常にシナジーを感じたのがもっとも大きな理由です。
私たちは新規顧客獲得に強い自負がありますが、ビービットさんは顧客体験(UX)改善のプロフェッショナルです。デジタルマーケティングにおいて、新規顧客獲得と顧客体験の向上は分断されがちですが、両者をかけ合わせることで、顧客に更なる価値を提供できると確信しました。
実は、初期の構想では「新規顧客獲得後のCRM領域やLTV(顧客生涯価値)の改善」を協業のメインテーマに掲げていました。しかし、両社でお客様に最大限提供できる価値についてディスカッションした結果、まずは私たちが長年取り組み、強みとしている「新規顧客獲得」を起点とし、CRO(コンバージョン率最適化)にフォーカスしてスタートしよう、という結論に至ったのです。
石脇(セプテーニ):「施策を打てばほぼ当たる」といっても過言ではないほど、非常に大きな成果が出ています。指標として、セプテーニではCVRが現状から少しでもプラスになった場合(現状比1.01倍以上)を「勝ち施策」と定義しています。さらに、CVRが1.1倍以上に向上した場合は、クライアントの事業成長に大きなインパクトをもたらす成果と捉え、我々の中でも重要な基準として個別に集計を行っています。
この基準に照らし合わせると、これまで実施したビービットさんとの協業での勝率は90%、さらにCVRが1.1倍以上に向上した確率も80%に達しています。これは純粋にすごいインパクトだと現場でも感じています。
生田氏(ビービット):デジタル広告業界はすでに25年以上の歴史があり、そこからさらに改善の伸びしろを見つけていくこと自体が挑戦でした。しかし、実際に多くの施策で改善結果が出ており、私たちにとっても非常に嬉しい驚きとなっています。
生田氏(ビービット):お客様に「この取り組みでCVRの1.1倍から1.2倍ほどの向上が期待できます」とお伝えすると、最初は「本当にまだそんなに伸びる余地があるのですか?」という反応をいただくことがほとんどです。CRO施策ではお客様も考えうる施策をやり尽くしているケースも多く、まだ伸びしろがあることに大変驚かれます。
石脇(セプテーニ):先日施策を実施したお客様に結果をご報告するお打ち合わせがありましたが、「非常に満足している」「自分たちでは気付けない改善点を提示してもらっている」といったお言葉をいただき、実際に高く評価いただいています。
生田氏(ビービット):大きな理由は、「どこで離脱したのか」という結果ではなく「なぜ離脱したのか」という真因をデータから明確に読み解けているからです。私たちビービットはユーザーの行動を分析することを非常に得意としています。特にCROやLPOにおいては、お客様が離脱するのをいかに防ぎ、CVへ導くかが重要になります。その際、「なぜ離脱したのか」という理由を、単なる推測ではなく行動データから読み解くことができます。
神保氏(ビービット):ビービットはユーザー一人ひとりの行動を時系列で順を追って確認できる「USERGRAM(ユーザグラム)」というツールを使用しています。このツールにより、サイト流入からCVに至る過程で「どこで多くの離脱が生じているのか」や、「どのページが多く見られているのか」を定量的に把握することが可能です。
そのうえで、誰が、どのような順で、どれくらいページを見ているのかを一人ひとりの行動から時系列で追っていくことで、「なぜそこで離脱したのか」「なぜそのページを見たのか」といった背景にある真因を定性的に解き明かしていきます。
LPの改善ポイントを探る際も本アプローチは非常に有効です。LPで離脱したユーザーの中には、二度とサイトを訪れない方もいる一方で、再びサイトにアクセスして熱心に情報を探している方も一定数いらっしゃいます。このような方々の一連の行動を見ることで、「LPでは情報が足りなかったけれど、本当はこういう情報が知りたかったのだな」「その情報がLPになかったから離脱したのだな」という背景が明らかになります。
石脇(セプテーニ):分かりやすい分析例として、4象限を用いた分析手法があります。縦軸を「CVしている人・していない人」、横軸を「LPだけを見ている人・本体サイトも見ている人」としてユーザーを分解すると、非常に明確な傾向が見えてきます。
通常の手法では、これを全体の総合値として分析します。例えば、1万人の訪問者に対してCV数が150件であれば、「CVRは1.5%である」という全体像の把握にとどまります。しかし、これを4象限を用いて分解してみると、例えば「実は本体サイトも見た人はCVRが30%ほどと高い一方で、LPだけを見ている人はCVRが1%である」といった事実が明らかになります。
ここから、「本体サイトへ遷移したユーザーは、具体的にどの情報を見に行っていたのか」を行動ログから深掘りしていきます。そうすることで、LPには何の情報が足りていないのか、本体サイトとのギャップからユーザーの離脱理由を明確に理解し、LPの改善策へと直結させられる点が大きな強みですね。
前田(セプテーニ):昨今は生成AIを活用し、大量のデザインやコピーを作って高速でPDCAを回す手法が主流になりつつあります。しかし、ユーザーがそもそも「情報の順番」や「導線」に違和感を覚えて離脱しているのなら、コピーのバリエーションを何百個作っても根本的な解決にはつながりません。
そういった「本質的なユーザーの悩みや不安」を解決するためには、やはりサイト訪問者一人ひとりの行動を深く探る必要があります。ビービットさんとの協業により、「USERGRAM」を活用することで、従来の手法だと途方もない手間のかかる分析を実行できる点こそが、非常に有益なポイントだと感じています。
前田(セプテーニ):具体的な3つの事例をご紹介します。
神保氏(ビービット):まず、美容医療を提供する品川美容外科様の事例です。LPのどこに課題があるのか特定しきれない状況でしたが、USERGRAMで行動を追うと、離脱ユーザーの中に「5ページ以上もWebサイト内を回遊している層が多数いる」ことが分かりました。彼らは検討意欲は高いものの、施術ラインアップの情報量の多さから「自分にはどれが合っているのか」と迷ってしまっていたのです。
前田(セプテーニ):一方で、CVに至るユーザーは、LP下部の「院の強み」と「料金表」を見てスムーズに予約を決めている傾向がありました。そこで、情報配置の見直しとユーザーの迷いを払拭するメッセージの追加を行いました。結果として、1ヶ月でCVRは1.1倍に向上し、CPAも約8%削減に成功しています。
神保氏(ビービット):次に、留学エージェント「スマ留」を展開するリアブロード様の事例です。「料金シミュレーション機能」を何度も使い、条件を変えて比較しているのに予約(CV)に至らないユーザーが多く存在していました。行動ログを深掘りすると、シミュレーション後に「体験談」や「選ばれる理由」のページへ移っていることが分かったのです。つまり、「料金には納得したが、本当に自分が行けるのかという安心感が足りていない」という状態でした。
前田(セプテーニ):これを受け、シミュレーション結果画面から各国の体験記や「選ばれる理由」への導線を新設し、料金に納得したユーザーの不安を払拭する“ひと押し”の設計を行いました。
また、予約フォームのファーストビューには、「カウンセリングで解消できる悩み」をポジティブな表現で伝える訴求画像を追加しました。ユーザーの検討度合いに合わせて心理的ハードルを下げる調整を行った結果、予約フォームのCVRは、CTAボタンの変更だけでも1.27倍の改善につながっています。
なお、このときの施策を起点として、現在はリアブロード様側でもさらに検証を重ねられ、ファーストビューはより最適なデザインへと進化し続けています。
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神保氏(ビービット):最後に、オーディションLPを展開するテアトルアカデミー様の事例です。LP単体ではなくオウンドメディアなどを含めたサイト横断の行動分析を行ったところ、「QAやオーディション関連記事を5本以上読み込んでいた人ほど離脱している」という事実が見えてきました。例えば、良かれと思って掲載していた「元警察官の合格インタビュー」が、かえって「普通の人には受からないのでは?」という不安につながっていたのです。また、応募フォームの「ベストショットを送ってください」という記載がハードルとなり、そこで42%のユーザーが離脱していることも分かりました。
前田(セプテーニ):これを受け、「自撮りでOK」「自宅の壁を背にしてOK」と写真の準備に対する心理的ハードルを下げる具体的な文言を追加しました。さらに、インタビューをより一般的な経歴の方へ差し替え、「未経験・年齢不問」の審査基準を明示する再設計を行いました。こうしたユーザーの不安に寄り添う改善を行った結果、シニア(40歳以上)向けLPでCVR1.36倍、大人(年長〜39歳 ※JUNIOR・YOUTH・ACADEMYコースを統合)向けLPで1.19倍など、展開した合計6つのLPすべてで連続して改善成果に結びついています。
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石脇(セプテーニ):ビービットさんは分析や仮説立案を非常に得意とされています。一方で私たちセプテーニが得意としているのは、分析や仮説によって導き出された課題を解決する実装力です。私たちは長年デジタルマーケティングの実行に向き合ってきたため、クリエイティブの制作部分に大きな強みを持っています。
今回、私たちセプテーニとビービットさんがタッグを組み、両社の強みがうまくフィットしたことで、仮説の立案から実装までの一貫支援をより高い質で提供できるようになりました。これが実際の大きな成果につながっていると考えています。
生田氏(ビービット):いくら素晴らしい分析や提案をしても、それが実際に実装されなければ結果の数字は変わりません。セプテーニさんと協業する以前も、お客様や制作会社様に実装をお願いしていましたが、私たちが意図した「100」の提案が、そのまま「100」としてきれいに実装されるとは限りませんでした。実装しても、結果として数字が上がらないことも少なくなかったのです。
私たちは分析結果や改善案をお伝えする際、「こうしてください」と改修イメージのみを指示するのではなく、ユーザーの行動データや声など、分析の背景からお伝えしています。セプテーニの制作チームの方々はその背景を深く理解したうえで、圧倒的な制作力でその意図にマッチしたクリエイティブを作ってくださいます。お互いの強いコミットメントがあるからこそ、分析がダイレクトに数字へ反映される構造になっています。
神保氏(ビービット):セプテーニさんのお客様理解の深さには非常に助けられています。私たちは徹底して「エンドユーザーの目線」で課題を語りますが、そのままではお客様から、さまざまな事情で「実装できない」とお返事をいただくことも少なくありません。ビービットとお客様だけだと手詰まりになってしまうような場面でも、セプテーニさんが間に入ることで、お客様の実情に合わせてうまく「翻訳」し、折り合いをつけて提案することができています。
前田(セプテーニ):例えばお客様が独自のレギュレーションをお持ちで、表現に制限がある際も、セプテーニが「この表現なら制約を守りながら、ビービットさんの求める実装に近づけることができるのではないか」と具体案をチューニングします。
私たちセプテーニにはデジタルマーケティング企業として物づくりをしてきた経験、実績があります。制作サイドとの関係性が遠い場合だと、コミュニケーションにおいて齟齬が生まれてしまうことも起こりえますが、私たち自身がビービットさんの分析内容を解釈し、制作のプロとして価値を上乗せすることで、「100」の提案を「120」や「150」へとプラスに転じさせることができているのです。理想論で終わらせず、確実に実行できる施策として着地させられる点は、両社協業の強みですね。
前田(セプテーニ):ユーザーの行動データにもとづいたUXの課題抽出から始まり、改善策の提案、実際の制作と実装、検証のセッティング、結果のレビューまで、一連の改善プロセスを一気通貫でご支援します。お客様ご自身での対応や、コンサルティングと制作を別々の会社に依頼することが必要な場合、どうしてもCVR改善に向けた各工程が分断されがちです。両社が密に連携し、これらを途切れることなく「1つのパッケージ」として提供できることが大きな強みです。
神保氏(ビービット):ただ、お客様からすると「実際にやってみないと、自社のサイトで本当に成果が出るのか分からない」と不安に思われることもあるかと思います。そのような状況のお客様向けに、取り組みによる改善の余地を事前に診断する「LP診断パッケージ」もご用意しています。先ほどお話しした「4象限」の枠組みなどでユーザーの実際の行動を整理すると、「LPだけでは満たせていないニーズが本体サイト側にどれくらいあるか」といった事実が明らかになります。このギャップの大きさがそのままLP改善の「伸びしろ」になるため、それを事前に数値化してご提示するのが、この診断パッケージの役割です。
前田(セプテーニ):この記事を読んでくださっているマーケターの方々に、ぜひ一度問いかけたいです。「自社のサイトを離脱したユーザーが、一体何に違和感を覚えて去ってしまったのか、明確なイメージを持てていますか?」と。
おそらく、明確に「ここだ」と答えられる方は意外と少ないのではないでしょうか。細かいユーザー課題を紐解く必要性は分かっていても、自力でやるには途方もない手間がかかるため、つい後回しにしてしまいがちです。私たちが提供しているソリューションは、まさにその壁を突破し、マーケティング自体の解像度やレベルを確実に一段階引き上げることができると考えています。
神保氏(ビービット):私たちの提供するソリューションは、前田さんが仰る「課題の可視化」に加え、その「持続性」も大きな特徴です。
実装したらデータで検証し、新たな課題を見つけてさらに改善する、というサイクルを常に繰り返していきます。マーケティングのレベルが1つ上のステージに上がった後も、そこで終わりではなく、継続的にその高い水準で実行し続けられるサービスです。
ぜひ一度、従来のLP改善手法との違いをご体感いただきたいと思っています。
生田氏(ビービット):ビービットとしても、今回の協業は非常に大きな意味を持っています。私たちはユーザーの行動や心理、状況などの分析に圧倒的な強みを持つ会社ですが、それをいかにしてお客様やエンドユーザー様に「価値」として届けていくかが重要だからです。
先ほどお話ししたCROパッケージは、あくまでLPという「受け皿」の領域での施策です。「ビービットの顧客行動分析」と「セプテーニの実装力」の組み合わせは、多くの領域で通用する強力な武器になります。今後は、メールやLINE公式アカウントといったCRMの領域にも展開していき、協業の幅をどんどん広げていきたいですね。
石脇(セプテーニ):生田さんの仰る通り、私たちは決してCROだけをご支援したいわけではありません。
セプテーニは昨年末に「MXONE(マキシワン)」という新たな統合マーケティング構想を打ち出しました。これは、マーケティング活動のあらゆる「分断」をつなぎ、事業成長を最大化させようという新しいフレームワークであり、全体を「3つのフェーズ」と「6つのコンポーネント」で整理しているのが特徴です。
具体的には、「実行」のフェーズを「TOP・MIDDLE・BOTTOM・REPEAT・LOYAL・LOOP」という6つのコンポーネントに分けています。前半の3つで新規のCVを最大化し、後半の3つでLTVを最大化していくという設計です。
現在、ビービットさんとの取り組みは、このCV最大化に向けたCRO施策が主軸となっています。しかし今後は、この「MXONE」という大きな戦略につなぎこんでいくことで、セプテーニが提供するソリューション全体の価値をさらに高めていきたいと考えています。LTVの向上、ひいてはお客様の事業成長に一気通貫で貢献する支援へと進化させていく予定です。