2026.5.29

最大CVR1.27倍改善!スマ留が実証した、セプテーニ×ビービットによるサイト改善の突破力 -前編-

Septeni FOCUS 編集部

最大CVR1.27倍改善!スマ留が実証した、セプテーニ×ビービットによるサイト改善の突破力 -前編-

留学を検討するサイト訪問者が、国や期間などの条件を何度も変えながら料金シミュレーションにより比較を繰り返す。そしてようやくカウンセリング予約へ——。

 

留学エージェント「スマ留」を運営する株式会社リアブロード(以下、リアブロード)のサイト分析で明らかになったのは、そんな“納得するまで比較検討を重ねるサイト訪問者”の行動でした。

リアブロードでは、留学市場の競争激化に伴い広告コストが高騰するなか、既存のサイトトラフィックからCV数をさらに積み上げていくことが次の成長テーマとなっていました。

 

この成長を後押ししたのが、株式会社ビービット(以下、ビービット)のユーザー行動分析ツール「USERGRAM(ユーザグラム)」と、株式会社セプテーニ(以下、セプテーニ)の実装力を掛け合わせたCROパッケージサービスです。

サイト訪問者一人ひとりの行動を時系列で分析し、既存の集計データだけでは見えなかったサイト離脱の構造的要因を特定。予約フォームや料金シミュレーションなど複数の接点を横断的に改修した結果、最大CVR1.27倍改善を実現しています。

 

この記事では、リアブロードの外山隆浩氏と高久凜氏、ビービットの山際萌音氏、Septeni Japanの鈴木萌恵への取材を通じて、3社連携による取り組みの全貌を前後編でお伝えします。

 

前編となる今回は、リアブロードが抱えていたビジネス上での課題と、サイト訪問者の行動分析によって見えてきた「ユーザー離脱の本当の理由」に迫ります。

広告コストの高騰で顕在化した、CROの必要性

―まずは簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか。

 

外山氏(リアブロード):リアブロードでCOOを務めています。2019年の就任以来、マーケティングチームを中心に事業全体を統括しています。

高久氏(リアブロード):マーケティング部の高久です。2023年に新卒で入社し、主にSEO領域とWebサイトの運用保守を担当しています。

山際氏(ビービット):ビービットの山際です。UXグロース部門に所属し、USERGRAMを活用したWebサイトやアプリのCVR改善支援を行っています。

鈴木(セプテーニ):Septeni Japanの鈴木です。リアブロード様の広告運用を担当しており、今回のCRO施策では全体の進行と改善提案を担っています。

 

―今回の取り組みの背景を教えてください。スマ留のサイトには、どのような課題があったのでしょうか。

株式会社リアブロード 取締役 兼 COO 外山隆浩

株式会社リアブロード 取締役 兼 COO 外山 隆浩氏

 

外山氏(リアブロード):当社はもともと、リスティング広告やアフィリエイト広告を中心としたダイレクトレスポンス広告で顧客を獲得し、成長してきた会社です。ただ、2024年の夏頃にワーキングホリデーの需要が急落する転機がありました。

コロナ禍後の反動で急伸していた渡航需要が、現地での就労先・住居の逼迫をきっかけに一気に冷え込んだのです。各社が営業人員を増やしていた影響もあって入札合戦となり、アフィリエイト広告の単価はコロナ期の2〜3倍にまで高騰しました。

 

高久氏(リアブロード):コロナ禍以降の市場の盛り上がりと共に、競合各社がマーケティングとプロダクトの競争力を強化してきた結果、サイト訪問者による比較検討が当たり前の状況へと変化しました。広告で集客しても、サイト上でスマ留の強みを伝えきれなければCVにつながらないという課題感は日に日に強くなっていました。

 

―サイト改善には以前から着手されていたのでしょうか。

 

外山氏(リアブロード):スマ留は留学先の国と期間だけ決めれば料金が確定するパッケージプログラムを提供しています。

語学学校の空き時間帯や空き教室を活用したサービスで、料金を大幅に抑えられるだけでなく、一度のカウンセリングで金額をお伝えできるというスマ留ならではの強みがありますが、それをサイト上できちんと訪問者に届けきれているかというと、まだ改善の余地がありました。

 

2021年のリニューアル以降、導線設計や訴求ポイントをほとんど見直せていなかったのです。社内の開発リソースにも限りがあり、なかなか着手できずにいたのですが、これを機にテコ入れしようと覚悟を決め、CROに本腰を入れることにしました。

 

高久氏(リアブロード):また、予約フォームに課題があることも認識していました。ただ、使っているツールの制約上、改善案を出しても『フォームごと変えるしかない』という結論に陥りがちで、なかなか施策として前に進められない状態が続いていました。

 

―そうした課題に対し、実際にどのようなアプローチで改善へと進めていくことになったのでしょうか。

【SEPTENI×beBit】CROパッケージ

外山氏(リアブロード):CRO領域に強い会社を探すなかで、ビービットがこの分野に長けていることは以前から知っていました。ちょうどセプテーニとの協業のニュースを目にしたタイミングで相談させてもらったのがきっかけです。

数社にお話を聞きましたが、ビービットのアプローチはサイト訪問者一人ひとりの行動を深く分析するもので独自の視点があり、改めてその優位性を感じました。

 

鈴木(セプテーニ):外山様から「CROパッケージサービスに関心がある」と伺い、リアブロード様の課題に合わせて、ご支援のプランをカスタマイズして設計しました。

 

外山氏(リアブロード):当社は成果主義ですので、特別なプランを組んでいただいた以上、しっかり結果を出して継続につなげることをチームのゴールに掲げていました。毎月必ず施策を動かすことを最優先に、かなりのスピードで進めたプロジェクトです。

 

―プロジェクトは具体的にどのようなアプローチで進められたのでしょうか。

Septeni Japan株式会社 第2営業領域第5営業部 鈴木萌恵

Septeni Japan株式会社 第2営業領域第5営業部 鈴木 萌恵

 

鈴木(セプテーニ):今回はリアブロード様より3ヶ月間で成果を出してほしいというご要望がありました。そのため、3ヶ月の取り組み期間を1ヶ月単位で区切り、毎月1~2つの施策を実施する設計にしました。ビービットが分析結果を共有して施策の方向性が決まったら、セプテーニがデザインを進め、その間にビービットは次のテーマの分析に入る。そして、リアブロード様が実装を進めている間にセプテーニとビービットが次の提案を検討する。3社が途切れなく連携できたことが、このスピード感を支えていました。

ユーザー行動の可視化が突き止めた、“見えなかった離脱”の正体

―分析はどのような手順で進められたのでしょうか。

 

山際氏(ビービット):大きく2つの分析を並行して進めました。1つ目は予約フォームのヒューリスティック分析、2つ目はUSERGRAMを用いた料金シミュレーション機能の定量・定性分析です。USERGRAMの分析ではデータ蓄積に一定の時間を要するため、早期成果創出に向け、ヒューリスティック分析を先行して実施しました。

 

―まず、予約フォームのヒューリスティック分析について教えてください。ビービットのヒューリスティック分析は、一般的なものとは異なるアプローチだと伺っています。

 

山際氏(ビービット):一般的なヒューリスティック分析は、チェック項目に沿ってサイトの使い勝手を評価していくものです。ただ、それだとサイトの表面的な課題は見えても、実際にサイト訪問者がどこでつまずいているかまでは判断しきれません。

ビービットの場合は、サイト訪問者の状況やモチベーションを想定したうえで、コンサルタントがその訪問者の視点に立ち、自分に“憑依”させるようにサイトを見ていきます。「この状態ならここでつまずくだろう」「この表記は意味が伝わりにくいだろう」というように課題を抽出するのです。

 

外山氏(リアブロード):今の“憑依”という表現がまさにそうで、チェック項目ベースの分析だと、結局サイト訪問者の理解が深まらないまま表面的なアウトプットに留まってしまう。ビービットは、データがない段階でもサイト訪問者を仮説立てて、それになりきれる。そこは経験がないと難しいところで、やはりすごいなと改めて感じました。

 

山際氏(ビービット):ありがとうございます。弊社は普段からUSERGRAMで膨大なユーザー行動ログを見ているので、サイト訪問者の心理を仮説として立てる精度が高まっています。
今回もまず、留学を検討している方のなかにもモチベーションのグラデーションがあるのではないかという仮説から出発し、社内でヒアリングを重ねながら最終的に4段階の分類に整理しました。

 

―4段階のユーザー分類をもとに、どのような課題が見えてきたのでしょうか。

 

山際氏(ビービット):予約フォームで最初に目に入るのがカレンダー選択画面なのですが、ここから個人情報の入力に進むステップで大きく離脱していました。分析を進めると、情報収集段階のサイト訪問者と比較検討段階のサイト訪問者、それぞれに特有の心理的障壁があることが分かりました。

 

まず、情報収集段階の訪問者にとっては「相談する前の不安」が非常に大きかったのです。カウンセリングでどんな悩みが解消できるのか、所要時間はどのくらいか、相談後にどんなステップがあるのか。そうした情報が予約フォーム上では一切提示されていなかったのです。

株式会社リアブロード マーケティング部 高久 凜氏

株式会社リアブロード マーケティング部 高久 凜氏

 

高久氏(リアブロード):同じ画面を見ていても、検討段階によってサイト訪問者が感じることは違うのだという視点は、社内の議論ではなかなか出てこないものでしたね。

 

山際氏(ビービット):加えて、比較検討段階のサイト訪問者にとっては、入力項目のハードルが大きなストレスになっていました。留学の意思はあるものの、プランを絞りきれていない訪問者に対して「どこに」「いつ頃」「どのくらいの予算で」と詳細を求められると、「自分にはまだ早い」と感じさせてしまう構造になっていました。予約枠の「△」表示にも課題を感じています。

 

ホテルの予約であれば「早く押さえなきゃ」という焦りにつながりますが、対面で相談を受けるサービスの場合、「エージェントが忙しそうで、自分の話を十分に聞いてもらえないかもしれない」という不安につながり得るのです。

 

高久氏(リアブロード):「△」表示については、社内ではむしろ「予約の後押しになる」という認識でした。予約サイトやホテルの予約システムを参考にしていたので、疑ってもいませんでした。「本当にすべてのサイト訪問者がそう感じるのか?」という視点をいただいたのは印象的でした。

 

外山氏(リアブロード):社内のメンバーは留学経験があったり日常的にサイトを見ていたりするので、どうしても無意識のバイアスがかかってしまい、サイト訪問者がつまずくポイントに気付きにくいのです。そこを客観的にご指摘いただけたのは、自分たちの視点の気付きにもなって非常に有意義でした。

 

山際氏(ビービット):これらの分析から、最終的に予約フォームにおける課題を、「申し込み前の不安を解消するための情報不足」「情報収集段階のサイト訪問者の心理とフォーム表記内容のズレ」「具体的なプランが未定の訪問者にはハードルの高い入力形式」の3つのポイントに集約しました。

 

―続いて、料金シミュレーション機能のUSERGRAM分析について教えてください。

株式会社ビービット UXグロース部 山際 萌音氏

株式会社ビービット UXグロース部 山際 萌音氏

 

山際氏(ビービット):まず、サイト全体のユーザー行動を定量的に把握し、改善インパクトが大きそうな領域をいくつか候補としてお出ししました。そのうえでリアブロードさんと協議しながらテーマを絞り込んでいます。

 

外山氏(リアブロード):私たちの分析でも料金シミュレーションを使った方のCVRが高いことは把握していたので、その機能をより使いやすくする、あるいは使った後の導線を整理することでCV数向上につなげられるのではないかと議論しながら決めていきました。

山際氏(ビービット):定量データからは、料金シミュレーションの利用者の約半数はLPから本体サイトトップを経由し流入していること、お申込みまで至った訪問者の8割が同一訪問内で予約を完了していることが分かりました。
一方で、シミュレーション利用後に半数の方がオプション追加や条件変更で再検索を繰り返しており、スムーズにCVに至っていない実態も見えてきました。CVを完了した方の4割が3回以上シミュレーションを実施しており、CVしていない方にも同様のパターンが多く見られました。

CVユーザのシミュレーション実施回数-1

外山氏(リアブロード):熱量は高いのに離脱してしまっているということですよね。

山際氏(ビービット):おっしゃる通りです。そこで、サイト訪問者一人ひとりの具体的な行動ログを観察していきました。事前に10名以上の行動を確認したうえで特徴的なパターンをピックアップしています。
1人目は、料金シミュレーションを開始してすぐにオプションを追加して再検索したり、国を変えて同じ期間で検索したりを繰り返していた方です。予算はある程度決まっているものの、その範囲でどの国・何週間がベストかを比較したい。
ただ、現在のシミュレーションの検索軸ではそれが見つけにくい状態でした。

個票1

山際氏(ビービット):2人目は、料金シミュレーションを何度か繰り返した後、「出発までの流れ」「体験談」「スマ留が選ばれる理由」といった複数のページを回遊してから予約に進んでいた方です。
料金には納得しているものの、「本当に自分が行けるのか」という不安が払拭されず、安心材料をサイト内から探しにいっている行動だと読み解きました。

個票2

―分析結果を受けて、リアブロードさんとしてはどのような印象を持たれましたか。

外山氏(リアブロード)

外山氏(リアブロード):自分たちが思っている以上に、サイト訪問者は迷っているんだなと。
カウンセリングを受けていただいてからご成約までは大体1〜2ヶ月と短いのですが、その手前の「カウンセリングに申し込むかどうか」の段階でかなり慎重になっている。その迷いが、想定以上にサイト上の行動に表れていました。

高久氏(リアブロード):料金シミュレーション結果を見た後に体験談を探しに行ったり、サービスへの理解を深めようとしたりする動きが観察されたのは興味深かったですね。
改修前は結果ページにそうした導線を置いていなかったので、サイト訪問者はわざわざ折りたたまれているメニューから探して遷移していました。サイト訪問者が次に気になるであろう情報をこちらから提供できていなかったということです。

外山氏(リアブロード):これまでは料金シミュレーション後の導線を「すぐに予約してください」という訴求のLP1本に絞っていたのですが、それを無視して他のページを見たいサイト訪問者がこれだけいるのであれば、導線設計そのものを見直すべきだと。
情報の届け方を、もっと丁寧に設計しなければならないという気付きがありました。

―こうした分析から、課題はどのように整理されたのでしょうか。

山際氏(ビービット):これらの分析から、料金シミュレーションに関する課題は大きく2つに集約されました。1つ目は、検討初期のサイト訪問者が「これだ」と納得できるプランになかなか出会えないという、料金シミュレーションの検索軸そのものの課題。
2つ目は、料金シミュレーションで料金に納得した後、カウンセリング予約に進むための“一押し”が足りないという、申し込み遷移への促進力の課題です。すなわち、離脱の理由は「納得できるプランが見つからなかったこと」と、「カウンセリングへのハードルの高さ」だったのです。

 

 

 

この記事では、リアブロードが抱えていたビジネス上での課題と、行動分析によって見えてきた「ユーザー離脱の本当の理由」に迫りました。

 

次回の記事では、導き出された分析結果をどのように具体的なサイト改善施策へと落とし込んでいったのかに迫りながら、改修を通じた成果と3社連携による今後の展望についてお伝えします。ぜひご期待ください。

 

 

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執筆者

Septeni FOCUS 編集部

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