2025.7.24

Gemma(ジェマ) 3とは?Gemma 2から向上した性能や使い方を紹介

  • AI

Septeni FOCUS 編集部

Gemma(ジェマ) 3とは?Gemma 2から向上した性能や使い方を紹介

2025年3月12日、Googleが開発した軽量オープンウェイト言語モデル「Gemma(ジェマ)」シリーズに、新たな進化版「Gemma 3」が登場しました。前モデルのGemma 2と比較して、性能面や使いやすさがどのように向上したのか気になる方も多いのではないでしょうか。

 

この記事では、Gemma 3の特徴や進化したポイント、具体的な使い方について分かりやすく紹介します。

※こちらの記事は2025年7月15日時点の情報です。

Gemma(ジェマ)3とは

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Gemma(ジェマ)3は、Googleが2025年3月12日に発表した最新のAIモデルです。
Gemmaシリーズは、同社の大規模言語モデル「Gemini(ジェミニ)」と同じ研究成果およびインフラにもとづいて開発されていますが、オープンソースとして提供されている点が大きな特徴です。 

Gemma 3は、従来よりも推論性能や効率性がさらに向上し、軽量化によりノートPCやローカルサーバーなどリソースが限られた環境でも動作可能なため、セキュリティ面でも安心です。

また、事前学習済みモデルとファインチューニング済みモデルの両方が提供されており、利用者の目的に応じて使い分けることができます。開発者は独自の用途に合わせてカスタマイズや再学習ができるため、アプリケーション開発や研究分野において、より高い柔軟性を発揮するでしょう。

「Gemma」という名称はラテン語で「貴石(きせき)」を意味しており、価値のある洗練されたAIモデルであることを象徴しています。
Gemmaシリーズは、Metaの「Llama(ラマ)」シリーズと同様に、商用利用や研究開発に活用できる軽量なモデルとして注目されており、オープンソースAI開発に関心のあるユーザーにとって有益な選択肢の一つです。

Gemma(ジェマ) 3とGemma 2の違い

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Gemma(ジェマ) 3は、Googleが提供するオープンAIモデルの最新版であり、前バージョンのGemma 2と比べて多くの点で機能や性能が強化されています。特に、マルチモーダル対応やコンテキストウィンドウの拡張、多言語対応の強化といった進化は、AI開発において重要なポイントです。

マルチモーダル入力に対応

Gemma 3は、マルチモーダルAIとしてテキストとは異なるタイプの情報(モダリティ)である画像も統合して処理できるようになりました。
人間が視覚・聴覚・言語など複数の感覚を組み合わせて情報を理解するのと同じように、多様なデータソースを組み合わせた判断・出力が可能です。

例えば、Gemma 3では以下のような高度なタスクの処理ができます。

  • 画像に含まれるテキストの読み取りと要約
  • 商品画像から商品の特徴を自動抽出してキャプションを生成

これにより、教育や医療、マーケティングなど、画像とテキストを組み合わせた幅広い分野での応用が期待されています。

128Kのコンテキストウィンドウ

コンテキストウィンドウとは、AIが一度に読み取り・処理できるトークン(単語や記号の単位)の長さを示します。
Gemma 3では、従来のGemma 2が対応していた8,000トークンから、大幅に拡張された128,000トークンに対応し、16倍となっています。

この拡張により、長文のドキュメントや複雑なコード、複数の会話ログなど、大量の情報を一括で処理・分析できるようになりました。
具体的には、以下のようなケースで活用できます。

 

  • 書籍レベルの長文要約
  • 複数のPDFを横断的に読み込んでレポートを作成
  • 過去の会話履歴を踏まえた自然なチャット応答

グローバル展開が加速

Gemma 3は、対応言語が大幅に拡大され、140以上の言語をサポートするようになりました。これにより、国や地域を問わず、世界中のユーザーに向けた多言語対応のアプリケーションを構築することが可能です。

 

例えば、グローバルECサイトでの商品説明を自動翻訳で自然な表現に整えたり、多言語対応可能なチャットボットの開発も容易になります。

 

また、翻訳性能そのものも向上しており、一度英語などに翻訳したテキストを再度日本語に訳し直しても、自然な意味が保持される精度になっています。実用面で非常に重要な進化ポイントであり、グローバル展開を考えている企業にとって、強力なサポートツールとなるでしょう。

Gemma(ジェマ)3の使い方

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ここからは、Google AI StudioでGemma(ジェマ)3を試す手順を紹介します。

 

1. AI Studio を開きます。

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2. 右側の「Run setting」パネルのモデルフィールドで、サイズの異なる Gemma モデルを選択します。

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3. 中央パネルの下部でプロンプトを入力し、「Run Ctrl」を選択します。

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また、2025年3月13日より、Google CloudのVertex AI Model GardenでもGemma 3が利用できるようになっています。
Vertex AI Model Gardenでは、Hugging FaceのPEFT(LoRA)を使用して、Gemma 3を数ステップでファインチューニングし、デプロイすることが可能です。

Gemma(ジェマ)3の料金

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Gemma(ジェマ)3は、Google AI Studioを通じて無料で利用できます。オープンソースとして提供されているため、ソースコードや事前学習済みモデルを誰でも自由にダウンロードして使用することが可能です。

商用利用でも追加のライセンス費用は不要です。企業が自社製品や独自アプリケーションに活用する場合も、Gemmaの利用規約を遵守したうえで、基本的には無料で利用できます。

一方、Google CloudのVertex AIでGemma 3を利用する場合は、クラウドリソースの使用量に応じた料金が発生するため、用途によってはコスト管理に注意が必要です。

Gemma(ジェマ)3の活用アイデア

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続いては、ビジネスシーンにおけるGemma(ジェマ)3の具体的な活用方法を紹介します。
Gemma 3は高精度な自然言語処理機能に加え、マルチモーダル対応や柔軟なカスタマイズ性を備えているため、さまざまな業務に応用可能です。

ブログ記事などのコンテンツ制作支援

Gemma(ジェマ)3は、文章生成や構成の提案など、コンテンツ制作業務の効率化に優れた効果を発揮します。
特に、SEO対策やWebマーケティングの分野では、執筆者の補助ツールとして高い評価を得ています。

 

  • ニュース記事、ハウツー記事、レビュー記事、SEO記事などの草案作成やリライト
  • キーワードを入力するだけで記事構成や見出し案を自動生成
  • 既存記事の文体に合わせたトーン調整や文章の自然化
  • SNS投稿用のキャッチコピーや、LP用の見出しの自動提案
  • メルマガや広告のA/Bテスト用に異なるバージョンの文章を生成
  • ターゲット属性に合わせた商品説明文やサービス紹介文の作成

 

Gemma 3は、特に大量のコンテンツを短時間で制作する必要がある場合に、強力な支援ツールとなるでしょう。
自動生成された文章をもとに、編集者の手で仕上げを行うことで、オリジナリティと品質を保ちながら、作業時間を大幅に短縮することが可能です。

また、Gemma 3は複数のスタイルを理解・模倣できるため、「丁寧な説明口調」「カジュアルな会話口調」など、用途やメディアに応じた文章の最適化もできます。

例えば、企業がBtoB向けに配信するプレスリリースと、BtoC向けのSNS投稿では異なる表現が求められますが、Gemma 3なら柔軟な対応が可能です。

ゲームデザインのブレーンストーミング支援

Gemma 3は、ゲーム開発の初期段階におけるブレーンストーミングにも活用できます。
ブレーンストーミング(ブレスト)は、複数人で自由にアイデアを出し合い、新しい発想を生み出す話し合いの手法で、ゲーム業界では企画やキャラクター設定、世界観の構築などにおいて頻繁に用いられています。

 

  • 世界観や背景ストーリーの雛形生成
  • キャラクターの性格、外見、関係性のアイデア提示
  • ミッションやクエストのプロット提案
  • インターフェースやレベル設計の初期案のブレスト支援

 

Gemma 3に対して、「中世ファンタジーの世界観で女性主人公のRPG」「近未来の東京を舞台にしたサバイバルゲーム」などの条件を与えると、それに合ったストーリー構成、登場人物の設定、ゲームシステムのアイデアなどを複数提示してくれるでしょう。

特にインディーゲーム開発者や個人クリエイターにとっては、開発初期の構想段階をGemma 3とともに進めることで、外部リソースに頼らずに多彩なアイデアを得ることができ、作業のスピードと独自性を両立できます。

さらに、Gemma 3のマルチモーダル対応機能を活用すれば、参考となる画像をもとにキャラクターやアイテムの詳細説明を生成するなど、ビジュアルとテキストを組み合わせたクリエイティブ制作も可能です。​

多言語対応のカスタマーサポート

​Gemma 3は、140以上の言語に対応する高度な多言語処理能力を備えているのが特徴です。
この機能を活用すれば、多言語対応のチャットボットやカスタマーサポートシステムを構築することができます。

多言語対応のシステムであれば、顧客が日本語で質問を入力すれば日本語で、中国語で質問すれば中国語で返答してくれるため、各国でそれぞれに別のシステムを構築する必要はありません。
これにより、カスタマーサポートの質を維持しつつ、多言語対応にかかるコストを大幅に削減することができるでしょう。

また、Gemma 3はマルチモーダル対応機能も備えているため、テキストだけでなく画像情報も処理可能です。
顧客が製品の写真を送信した場合、その画像を元に製品情報を提示するなど、視覚的なサポートも可能となり、顧客満足度の向上につながります。

業務質問AIアシスタント

Gemma 3は、社内向けの業務支援ツールとしても優れたポテンシャルを持っています。

企業の内部データや業務システムと連携させることで、従業員からの多様な質問に対し、即座に適切な回答を生成するAIアシスタントを構築することが可能です。​

例えば、Gemma 3を社内のマニュアル、FAQ、社内Wiki、業務システムのデータベースなどと連携させれば、従業員が「経費精算の申請方法は?」「新規プロジェクトの登録手順は?」「今月の営業会議の議事録はどこ?」といった質問を自然言語で入力するだけで、即座に適切な回答を得られるようになります。

特に、新入社員や異動直後の社員など、業務に不慣れな方にとっては、必要な情報へ素早くアクセスできる便利なツールになるでしょう。
調べる時間を減らし、本来の業務に集中できるようにすることで、社内の生産性向上につながります。

Gemma(ジェマ)3をビジネスに導入しよう

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GoogleのGemma(ジェマ)3は、2025年3月12日に発表されたばかりの最新AIモデルで、先進的な自然言語処理能力とマルチモーダル入力対応を兼ね備えた、軽量かつ高性能なAIモデルです。

140以上の言語に対応しており、グローバルビジネスにおける多言語対応の課題にも柔軟に対応し、異なるモダリティのデータを組み合わせて処理できるため、文章だけでなく画像や動画など、視覚情報を含む複雑な業務にも活用できます。

Gemma 3はソースコードが公開されたオープンソースAIであるため、企業が自社のニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできるのも魅力です。コンテンツ制作やゲームデザイン、カスタマーサポートシステムの構築など、あらゆる業務を強力にサポートしてくれるでしょう。

 

業務効率化や生産性の向上、競争力の強化に、ぜひGemma 3を活用してみてはいかがでしょうか。

 

 

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Septeni FOCUS 編集部

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