テキストやデータから高品質な音声を生成する「音声生成AI」は、自然な発音や抑揚を再現できることから、コンテンツ制作やカスタマーサポート、教育分野など幅広い用途で注目を集めています。
この記事では、音声生成AIの基本機能や特徴を分かりやすく解説するとともに、人気ツールやアプリ、具体的な活用事例について紹介します。
※こちらの記事は2025年3月17日時点の情報です。
音声生成AIとは、AI技術のなかでも、特にテキストをもとに音声を生成する生成AIの一種です。
ディープラーニング(深層学習)技術を活用し、大量の音声データを学習することで、人間の声に非常に近い自然な音声を生成します。
特徴的なのは、抑揚やイントネーション、さらには感情表現まで再現できる点です。
例えば、会話調の柔らかい声やナレーション向けの落ち着いた声など、音声生成AIは用途に応じた音声を作り出すことができます。
関連記事:生成AIとは?種類や従来のAIとの違い、活用事例について初心者向けに解説
音声生成AIにはさまざまな機能があり、コンテンツ制作やサービス向上に大きく貢献しています。
ここでは、代表的な音声生成AIの機能について、詳しく解説します。
テキストを自然な音声に変換して読み上げる「テキスト読み上げ」は、音声生成AIの基本的な機能の一つです。
指定された文章を入力するだけで、即座にナレーションのような滑らかな音声を生成することができます。声のトーンやスピード、性別などを細かくカスタマイズできるツールもあり、人間のように感情を込めた読み上げの指示も可能です。
音声生成AIのテキスト読み上げ機能は、以下のようなシーンで活用できます。
活用シーン |
具体例 |
教育分野 |
デジタル教科書やオンライン講座での音声教材 |
ビジネスシーン |
プレゼンテーション資料や広告動画のナレーション作成 |
視覚障害者支援 |
書籍やWebサイトの内容を音声で伝え、情報アクセスを支援 |
公共交通案内 |
駅や空港での案内放送や自動音声アナウンスの作成 |
エンターテインメント |
オーディオブックやポッドキャストコンテンツの制作 |
さらに、多言語対応が可能なツールも多いため、グローバル市場向けのコンテンツ制作(例:外国人観光客向けの案内、多言語対応の製品マニュアルなど)にも適しています。
音声合成機能は、まったく新しい声色を作り出す高度な技術です。
音声生成AIは、さまざまな声のデータを学習することで、新たな声のパターンやトーンを生み出すことを実現しています。
音声生成AIの音声合成機能は、以下のようなシーンで活用できます。
活用シーン |
具体例 |
アニメーション制作 |
キャラクターの個性に合わせたオリジナルボイスの作成 |
ゲーム開発 |
プレイヤーが選択した行動に応じたリアルタイム音声の生成 |
音楽制作 |
ボーカロイドを活用した楽曲の制作や新しい歌声の作成 |
広告宣伝 |
商品やブランドのイメージに合ったナレーションの作成 |
カスタマーサポート |
顧客からの問い合わせに対して自然な音声応答を自動生成 |
音声認識は人間の声を聞き取り、それをテキストデータに変換する技術です。
音声生成AIと音声認識は混同されることがありますが、音声生成AIは「声を作る技術」、音声認識は「声を理解する技術」という違いがあります。
また、音声認識技術は、音声生成AIと組み合わせることで、さらに高度な音声を生成することが可能です。例えば、スマートフォンの音声入力やSiriなどの音声アシスタントは、音声生成AIと音声認識を組み合わせることで、ユーザーとの自然なやり取りを実現しています。
音声生成AIと音声認識は、以下のようなシーンで活用できます。
活用シーン |
具体例 |
カーナビゲーション |
音声認識で目的地を設定し、音声生成AIを使用して運転者にリアルタイムで案内を提供 |
顧客対応チャットボット |
音声認識で顧客の問い合わせ内容を解析し、音声生成AIで適切な応答を提供 |
診療アシスタント |
患者の質問や症状を音声認識で把握し、音声生成AIが回答 |
音声生成AIには、ほかにもさまざまな機能があります。
音声変換
ノイズキャンセリング など
音声クローンは、特定の人物の声をリアルに再現できる機能です。これにより、俳優の声を用いたボイスオーバーや吹き替えの制作も可能となります。
また、音声変換は、人の声を異なる声色に変換する機能です。
アニメのキャラクター風や落ち着いたナレーター風など好きな声色に変換できるため、コンテンツ制作の幅が広がるでしょう。
さらに、音声生成AIのなかには、ノイズキャンセリングの機能を備えたものもあり、録音時のノイズも自動で除去することができます。
ここからは、音声生成AIの代表的なツールをいくつか紹介します。
Text to Speech AIは、Googleの最先端AIテクノロジーが活用されたAPIです。
テキストを自然な音声に変換するのが基本的な機能で、日本語はもちろん、中国語や英語、スペイン語などの50以上の言語と380種類以上の音声から、最適な音声を選ぶことができます。
生成された音声は、MP3やLINEAR16(WAV ファイルで使用されるエンコード)での保存が可能です。基本的には有料のサービスですが、無料トライアルで$300分のクレジットが利用できます。
参考:https://cloud.google.com/text-to-speech?hl=ja
ElevenLabsは、音声クローンの作成や音声の差し替え機能を備えた音声生成AIツールです。
自分の声をサンプル提供すれば、自分とまったく同じ声の音声を出力できます。
さらに、年齢や性別などタイプが異なる声がさまざまな音声ライブラリとして用意されているため、目的や用途に合わせて適切な音声を選ぶことが可能です。
ElevenLabsには、複数の料金プランがあり、無料で試すこともできます。
VOICEVOXは、商用・非商用を問わず完全に無料で利用できるテキスト読み上げ・歌声合成ツールです。
多彩なキャラクターと音声サンプルが用意されており、好きな音声を選択できます。
イントネーションの詳細な調整やハミング機能も搭載しており、用途に合わせてカスタマイズできるのが魅力です。
ReadSpeakerは、45ヶ国以上の言語に対応したAI音声合成ツールです。
テキストを入力するだけで、各言語の自然で感情豊かな音声を生成できるため、教育、ビジネス、エンターテインメントなど、さまざまな分野での多言語対応に活躍します。
交通機関や自治体、ゲーム会社など多数の導入実績があり、法人向けの有料ツールですが無料トライアルも可能です。
Voice Spaceは、AI技術を駆使して独自の音声を作成し、54ヶ国語への音声変換を可能とする総合AI音声サービスです。テキスト読み上げ機能、ボイスチェンジ機能、翻訳機能など、さまざまな機能を備えています。
「館内放送(女性)」「商品紹介(女性)」「関西弁(男性)」など、目的やターゲットに適した音声も簡単に生成できるため、店舗内での案内放送、商品のプロモーション動画、地域特化型の広告など、幅広い用途に活用できます。
Voice Spaceには無料プランがありますが、商用利用はできません。
ビジネスで利用する際は、月額3,000円以上の有料プランを利用しましょう。
AITalkは、精度の高い日本語解析技術を搭載した高品質な音声合成エンジンです。
流暢で自然な音声を生成でき、あらゆる文章をスムーズに読み上げます。
また、日本語だけでなく、英語や中国語、韓国語を含む64ヶ国語に対応しており、グローバルに活用可能です。2,000社以上の導入実績があり、eラーニングの教材作成や電話自動応答システムなどに活用されています。
AITalkは有料ツールですが、試用のための評価アカウント(無料)を申し込むことができます。
CoeFontは、テキストを自然な音声に変換するAI音声プラットフォームです。
「いい声を、いつでも、手軽に、使いたい分だけ。」というコンセプトのもと、誰でも簡単に高品質な音声を作成できるサービスを提供しています。
豊富なAI音声をラインアップしているのが特徴で、有名芸能人や声優、ナレーターの声での出力も可能です。また、自分の声のクローンを生成することもできます。
CoeFontには無料プランもありますが、商用利用はできません。
ビジネスで利用する際は、月額3,300円の有料プランを利用しましょう。
Speechifyは、テキストを音声に変換するAI音声読み上げツールです。
PDF、Word文書、ウェブページなど、さまざまな形式のテキストを自然な音声で読み上げてくれるため、読書や学習を効率的に行うことができます。
写真撮影したテキストの読み上げもできるため、入力の手間がかからないのもメリットです。
モバイルとデスクトップの環境にそれぞれ対応しているため、自宅はもちろん、外出先でも音声を聞くことができます。
基本的な機能は無料ですが、有料プランはさらに高度な機能の利用が可能です。
音読さんは、誰でも簡単に利用できる日本語の音声読み上げソフトです。日本語だけでなく、英語や中国語、フランス語などの多言語にも対応しています。
使い方は非常にシンプルで、音読さんのサイトにアクセスし、読み上げてもらいたいテキストを入力するだけです。音声や速度、高低もカスタマイズでき、読み上げられた音声はMP3データとして保存できます。
音読さんの基本機能は毎月5,000文字まで無料、クレジット表記をすれば、商用利用も可能です。
文字数を増やしたい場合、クレジット表記なしで商用利用したい場合には、月額980円以上の有料プランに加入しましょう。
ここでは具体的な活用事例を挙げ、どのように活用されているのかを詳しく解説します。
音声生成AIの代表的な活用事例である音声アシストは、以下のような製品・サービスに導入されています。
Siri(Apple)
Google Assistant(Android)
Amazon Alexa(Amazon Echo)
これらの音声アシスタントは、スマートフォンやスマートスピーカーに搭載され、日常生活の多くのシーンで活用されています。
例えば「今日の天気は?」と話しかけると、「今日の天気は晴れ、気温は20℃です」など、音声で答えてくれるのが特徴です。自然な会話が可能なため、ただのツールを超えて「相棒」や「パートナー」のような感覚で利用する人も多いです。
企業では、カスタマーサポートに音声生成AIを活用した「AIボイスボット」を導入する事例が増えています。
AIボイスボットとは、音声認識と音声生成の技術を組み合わせた自動音声応答システムです。
顧客からの電話にAIが応答し、顧客の要望をテキスト化して認識・理解したうえで、最適な回答を音声で出力します。
例えば、以下のような対応が可能です。
注文受付・状況確認
住所変更手続き
契約内容確認・変更
請求額の確認 など
定型的な問い合わせに対してAIが自動応答することで、オペレーターは個別対応が必要な案件に集中することができます。
AIボイスボットなら24時間365日のカスタマーサポートが可能なため、顧客満足度の向上も見込めるでしょう。
Google MapsやAppleのCarPlay、従来型のカーナビなどにも、音声生成AIの技術が活用されています。
ナビゲーションシステムは、高速道路の合流地点や渋滞情報を自然な音声で即座に伝えることで、運転中の視覚的な負担を軽減し、安全運転をサポートします。
また、音声認識機能を組み合わせることで、経路変更や目的地設定を声だけで操作することも可能です。
外国人観光客向けに、多言語対応のナビゲーションも登場しています。
テキスト読み上げ機能は、以下のようなアプリ・サービスに導入されています。
Speech Services by Google
Azure Speech Services など
入力したテキストを自然な声で読み上げてくれるのはもちろん、リアルタイムの多言語翻訳も可能です。
ほかにも、書籍や長文テキストを簡単に音声化するオーディオブック、視覚障害者や高齢者向けのアクセシビリティ支援としても活用され、幅広い分野で導入が進んでいます。
言語学習アプリでも、音声生成AIの活用が進んでいます。
例えば、以下のようなアプリが挙げられます。
Duolingo
Talkpal
このような言語学習アプリは、ネイティブスピーカーの発音に近い音声を生成し、ユーザーが正しい発音や文法を身に付けられるようサポートします。
また、音声認識機能を併用することで、ユーザーの発音を評価し、フィードバックを提供することも可能です。
ユーザーは、音声生成AIとのリアルな会話体験を通じて、実践的な言語スキルを身に付けることができ、学習意欲の向上にもつながるでしょう。
近年では、動画編集ツールにも音声生成AIが活用されています。
例えば、以下のようなツールが代表例です。
MyEdit
Canva
PowerDirector
入力したテキストを自動で音声化し、動画にナレーションを追加できるため、プロのナレーターに依頼するコストや時間を削減できるのがメリットです。
商品紹介動画や社内研修資料の動画制作などで活用されています。
音声生成AIは、自然で高品質な音声を効率的に生成できる技術です。
近年では、AIによる音声生成に対する抵抗感も薄れ、ビジネスシーンにおいても積極的に活用されるようになりました。
音声生成AIを活用することで、効率的な顧客対応や高品質な動画制作が可能となり、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。
また、音声生成AIの利用にあたっては、プライバシー保護や倫理的な配慮にも注意しましょう。
今回紹介したツールやアプリも参考に、音声生成AIを効果的に活用し、ビジネスの新たな可能性を開拓してみてはいかがでしょうか。