前編では、留学エージェント「スマ留」を運営する株式会社リアブロード(以下、リアブロード)が直面した、広告コストの高騰で顕在化したCROの必要性と、株式会社ビービット(以下、ビービット)と株式会社セプテーニ(以下、セプテーニ)の行動分析によるサイト課題の抽出プロセスについてお伝えしました。
ユーザー行動の分析から見えてきたのは、納得するまで比較検討を重ねるサイト訪問者の姿と、予約の手前に潜む「見えなかった離脱」の要因でした。
後編となるこの記事では、導き出された分析結果をどのように具体的なサイト改善施策へと落とし込んでいったのかに迫ります。予約フォームや料金シミュレーションの改修などを通じて、最大CVR1.27倍改善を実現した施策内容と、セプテーニを含めた3社連携による今後の展望について伺いました。
▼前編についてはこちらをご覧ください
最大CVR1.27倍改善!スマ留が実証した、セプテーニ×ビービットによるサイト改善の突破力 -前編-
―分析結果をもとに、具体的にどのような施策を実施されたのでしょうか。
Septeni Japan株式会社 第2営業領域第5営業部 鈴木 萌恵
鈴木(セプテーニ):3ヶ月にわたり、複数のテーマでの取り組みを並行して進めました。なかでも最初に着手した予約フォームの改善が大きなインパクトを生み、そこで得た手応えをもとにシミュレーション改善、フォームの追加改善、LP経由トップ流入者の行動改善へと展開しました。
―まず予約フォームの改善内容から伺えますか。
山際氏(ビービット):ヒューリスティック分析で特定した、「申し込み前の不安を解消するための情報不足」「情報収集段階のサイト訪問者の心理とフォーム表記内容のズレ」「具体的なプランが未定の訪問者にはハードルの高い入力形式」の3つの課題に対し、改善方針を整理しました。
1つ目は、相談する前の不安を解消する場として、予約フォームを機能させること。
2つ目は、サイト訪問者の検討深度に応じた段階的な受け皿を提供すること。
3つ目は、自信を持って次に進めるように後押しをすること。
まずはこれら3つの方針で目線を合わせたうえで、実際の取り組みとしては1つ目の方針を具現化するところから進めました。カレンダーページのファーストビューにカウンセリングで解消できる悩みや相談後のステップ、所要時間を可視化する画像の追加を提案しています。
外山氏(リアブロード):実はファーストビューの訴求画像は、私が2019年にジョインした時点で一度導入していたのです。ただ、当時は画像を外した方がCVRが高く、そのまま手をつけていませんでした。今回ビービットのご提案を受けて再挑戦したのですが、見せ方によって結果はまったく変わるのだと実感しました。
―具体的にはどのような違いがあったのでしょうか。
外山氏(リアブロード):最初は「こんなお悩みありませんか」という切り口で導入したのですが、その後よりポジティブな表現に切り替えたところ、指標がさらに改善しました。伝えている内容は同じでも、表現の仕方一つでここまで数字が動くのかと。
株式会社リアブロード マーケティング部 高久 凜氏
高久氏(リアブロード):結果としてCVR1.18倍の改善につながっています。大がかりな改修ではなく、画像の追加や表記の見直しといった限定的な変更でこれだけのインパクトが出たのは大きな発見でした。
しかも予約フォームの改善は、自分が担当しているオーガニック経由だけでなく、広告やアフィリエイトなど全チャネルの訪問者に効果が及びます。同じ時期に広告チームでCVRの急な上振れが話題になっていたそうで、原因を辿ったらこちらのフォーム改修だったという場面もありました。
外山氏(リアブロード):一度実装すれば全チャネルの指標が底上げされるという継続性は、この取り組みの大きな強みだと感じています。
―料金シミュレーションページの改善についてはいかがですか。
「納得できるプランに出会えない」という課題に対しては、料金シミュレーション結果画面に、期間を変更した場合の料金比較を表示する施策を提案しています。予算ベースでプランを比較しやすくすることで、検討初期のサイト訪問者の意思決定を支援する狙いです。
鈴木(セプテーニ):ビービットの分析結果を受け、リアブロード様も交えて日々議論を重ねています。セプテーニがまだ理解しきれていない商材の特徴や運営企業ならではの視点をリアブロード様から伺い、ビービットの分析をさらにブラッシュアップしていく。
3社が連携して戦略方針を磨き、セプテーニが構成やビジュアルの方向性をまとめるという進め方だったので、施策の精度は回を重ねるごとに上がっていった実感があります。
外山氏(リアブロード):定例会議以外でのやり取りも非常にスムーズで、ここまで密に寄り添って進めてくれるパートナーは多くありません。パッケージ型の支援というと仕様に沿った対応しかできない印象を持たれがちですが、今回は柔軟にカスタマイズして対応いただけた点も大きかったですね。
―予約フォームの追加改善にも取り組まれていますね。
山際氏(ビービット):はい。サイト経由訪問者に対する予約フォームの追加改善に取り組みました。具体的には、キャンペーンページのCTAボタンなどの変更と、料金シミュレーション結果画面から「スマ留が選ばれる理由」ページへの導線追加を実施しています。
鈴木(セプテーニ):CTAボタンの変更は2週間でCVR1.27倍の改善という成果が出ています。
―LP経由でトップページに流入する訪問者の行動改善についても教えてください。
株式会社ビービット UXグロース部 山際 萌音氏
山際氏(ビービット):LP経由で本体サイトのトップページに流入する訪問者の行動を解析し、トップページのコンテンツ配置変更を施策として立案しました。こちらは現時点(2026年4月)では実装作業中の段階です。
―これらの施策全体の成果を教えてください。
鈴木(セプテーニ):3ヶ月の取り組み全体で、CV数を大きく増加させることができました。まだ効果検証が完了していない施策も含め、すべての実装・検証が終われば、さらなる成果の上積みが見込めると考えています。
外山氏(リアブロード):期待以上のインパクトでした。過去の施策と比較しても類を見ないほどのCV純増であり、しかもそれがサイト改善という1つの施策から生まれている。
高久氏(リアブロード):この施策で純増できたCV数は、広告やアフィリエイト経由の獲得数に対しても10%以上の上積みに相当します。広告のCVRを多少改善した程度では到底届かないボリューム感であり、それがサイト改善によって実現できたことは、社内でも大きな反響がありました。
―3ヶ月の取り組みを経て、今後はどのような方向に進んでいくのでしょうか。
鈴木(セプテーニ):3ヶ月の成果を受けて、半年間のお取引継続が決まりました。これまではサイト全体を対象に、即効性の高いテーマから取り組んできましたが、今後は短期留学、ワーキングホリデー、ジュニア留学といったターゲットごとのサイト上での行動に即した設計を進めていきます。
山際氏(ビービット):留学市場には年間を通じて需要の波がありますので、繁忙期のピークを迎える前に注力すべきターゲットの分析を先んじて進め、シーズンに間に合う形でサイトを最適化していくイメージです。
外山氏(リアブロード):国一覧ページや詳細ページなど、一度作ったきり手をつけられていないページがまだまだあります。サイト訪問者の動きを加味しながら再設計していけば、サイト全体のパフォーマンスはさらに上がっていくはずです。
広告だけでは効率悪化が避けられないなかで、広告以外のアプローチで改善を積み上げることへの社内の期待値は高い。やり切ったと言えるところまで、プロジェクトとして継続していきたいと考えています。
―3社の連携体制にも変化がありそうでしょうか。
株式会社リアブロード 取締役 兼 COO 外山 隆浩氏
高久氏(リアブロード):これまでもSEO領域でスポット的に外部に依頼したことはありましたが、今いるサイト訪問者の体験そのものを見直すという定常的な取り組みは初めてでした。客観的な視点をいただいたうえで施策を打てるのは、実務としても非常に進めやすくなります。
外山氏(リアブロード):当社はダイレクトレスポンス広告に注力してきた背景もあり、社内では長期的な改善施策に対する理解を得づらい面がありました。ただ、広告の効率悪化が業界全体の流れとなる中で、広告以外のアプローチでどう改善を積み上げていくかは私自身も重視しているテーマですし、社内でも役員含めて関心が高まっています。
今回数値で成果を示せたことで、こうした積み重ねの取り組みにもきちんと価値があるのだと伝えていける。それは大きな一歩でしたね。
高久氏(リアブロード):個人的にも、ユーザー体験の重要性を実感できたのが一番の収穫です。予約に至るまでに訪問者がサイト上でどう行動し、どこで迷い、何を気にしているか。その知見はLINEのシナリオ設計や広告の訴求順序にも応用できると感じています。
山際氏(ビービット):今回の取り組みは、小さな改善を積み重ねて大きな成果を作っていくアプローチです。年間で伴走するからこそ、課題を一つひとつ潰しながら次に狙うべきポイントを定めていくという循環を回していける。
将来的には、USERGRAMを活用した分析・改善のアプローチをリアブロードさんご自身でも実践できるよう、活動の定着もご支援していきたいですね。サイト側の伸びしろはまだまだ十分にありますので、ここからが楽しみです。
鈴木(セプテーニ):セプテーニも回を重ねるごとに事業理解が深まってきています。しっかり数字としてお返ししていけるよう、引き続き取り組んでいきたいですね。