2026.3.23

なぜ企業はショートドラマを選ぶのか?ショートドラマが生む「バズ」のマーケティング効果とは

 

なぜ企業はショートドラマを選ぶのか?ショートドラマが生む「バズ」のマーケティング効果とは

近年のマーケティングにおいては、ユーザーの情報取得手段の変化に伴い、若年層へのリーチの難化が大きな課題となっています。また、デジタル広告においても企業の参入が相次ぎ、1ユーザーにリーチするための獲得競争は年々激化しているのが実情です。そこで私たちセプテーニは、若年層へのアプローチに有効な一手となり得るSNS向けの「ショートドラマ」の制作を2022年より本格的に開始。社内に専門組織「ショート動画開発部」を組成しました。

 

今回の記事では、ショート動画開発部の知見をもとに、ショートドラマで起こす「バズ」がマーケティングにもたらす効果と、セプテーニ独自の「バズ」を戦略的に生み出すアプローチ方法についてご紹介します。

目次

「バズる」とは何か?

そもそも、「バズる」とは何を意味するのでしょうか。語源は英語の"buzz"(ざわめき、うわさ)で、現在のSNSでは「多くの人に拡散され、注目を集める状態」を指しています。「バズる」ことには、物事への注目を一気に集め、状況を一変させる力があります。

 

かつて「バズ」は、タイミングや偶然の拡散に左右される「運の要素が強い現象」と見なされがちでした。しかし、昨今はSNSのレコメンドアルゴリズムにより、「バズ」は偶然によるものではなく、エンゲージメントを起点に拡大していく仕組みによって生み出される現象と認識されるようになりました。

例えば、TikTokの「おすすめ」フィードに表示させるアルゴリズムは、複雑で多岐にわたると言われています。セプテーニでは、過去の運用実績から以下のようなプロセスを辿ると分析しています。

 

  1. 初動検証:投稿後、200~400人程度のユーザーの「おすすめ」フィードに表示

  2. 評価:その中でエンゲージメント(いいね・視聴維持など)の評価を実施

  3. 拡張:高いエンゲージメントを示したユーザーの類似属性のユーザーに配信を拡大

  4. ループ:この評価と拡張のプロセスが繰り返されることで、波及効果が最大化

 

つまり、TikTokで大きな成果を生むためには、単に広く浅く狙うのではなく、「特定のターゲット層」の深い共感や熱量を確実に捉え、そのエンゲージメントを起点に拡散を最大化させるコンテンツ制作が極めて重要です。これはInstagram ReelsやYouTube Shortsにおいても、細かな仕様こそ異なりますが、セプテーニの実績から同様の原理(特定の層での高評価が拡散のトリガーになること)が働いていることが分かっています。

ショートドラマで「バズ」を戦略化する――なぜ重要で、何が得られるか

では、なぜマーケティングにおいて「バズ」が重要視されているのでしょうか。その理由は、若年層に対して効率的なリーチ獲得が期待できるためです。
SNSマーケティング支援を提供するテテマーチ株式会社の調査(※)によると、Z世代の情報収集源は「テレビ番組・テレビCM」が43%なのに対し、「SNS」が62%であり、彼らにリーチする手段としてSNSでの「バズ」は有効だと考えられます。

(※)出典:テテマーチ株式会社「Z世代の消費に対する意識調査」

 

広告やインフルエンサーとのコラボなど、SNSで「バズ」を生み出す手法はさまざまですが、その中でも特にショートドラマは「狙ってバズらせる」ことが可能です。アルゴリズム理解とクリエイティブノウハウがあれば、継続的に、戦略的に「バズ」を生み出せるため、事前にマーケティング施策全体の計画の中に落とし込める点が、ほかの手法との大きな違いです。
市場調査会社のYHリサーチによると、2029年にはショートドラマの世界市場規模が8.7兆円に達すると予測されており※、今後さらに成長が期待される領域です。

(※)出典:YH Research株式会社「縦型ショートドラマの世界市場レポート」

ショートドラマが「バズ」に強い理由

ショートドラマが「バズ」を生み出しやすい理由は主に2つあります。
第一に、完全視聴率の高さです。セプテーニの実績として、ショートドラマの完全視聴率は一般的なショート動画と比較して20〜30%と非常に高く、企業が伝えたいメッセージとユーザーの接触時間が長くなります。
第二に、没入感の高さです。縦型の全画面表示により、ユーザーはストーリーに引き込まれやすく、感情的なつながりを創出しやすいフォーマットです。

ショートドラマによる「バズ」がもたらすマーケティング効果2つ

ショートドラマの「バズ」によって得られるマーケティング効果は、大きく分けて2つあります。

1. 広範囲のリーチ獲得による認知拡大

「バズ」が発生すると、オーガニックな拡散により、広告予算だけでは実現できない層へのリーチを獲得できます。投稿アカウントのフォロワー外への波及効果が大きく、新規顧客層への認知拡大に直結します。

実際に、Z世代の83.7%がショートドラマをきっかけに商品・ブランドを認知したという調査結果※があり、効果が実証されています。

(※)出典:Z総研トレンド通信vol.23『TikTokショートドラマ編』

セプテーニが実施した日本航空(JAL)の事例では、沖縄離島路線の認知度向上を目的にショートドラマを制作し、公開後1ヵ月で1000万回再生を達成し、航空券の予約数を270%(※配信前後7日間の予約数の比較)以上増加しました。

広範囲のリーチ獲得による認知拡大

2. ポジティブな認知によるブランドリフト

単なる認知だけでなく、ドラマを通じて感情的なつながりを創出することで、ブランドへの好意度や利用意向が向上しやすくなります。
セプテーニでは、ブランドリフト効果を定量的に検証しており、実際に、セプテーニがご支援している企業の中にも好意度が平均20〜30%向上した事例が複数確認されています。


例として、ショートドラマ施策を実施した食品メーカーの事例では、ショートドラマを見た人は見ていない人と比べて、商品への好意度(※1)が約1.3倍、利用意向(※2)は約1.5倍に向上したことが分かりました。(※3)

 

※1:「あなたはこの商品について好意を持てますか?」という質問に対し「はい」と答えた人の割合(n=500)
※2:「あなたはこの商品の利用機会があった場合、この商品を利用したいですか?」という質問に対し「はい」と答えた人の割合(n=500)
※3 2025年6月の集計結果
ごっこ倶楽部にて、同食品メーカーのPR用のショートドラマコンテンツを4本作成し、セプテーニにて調査を実施。好意度、利用意向ともに、4本のショートドラマをそれぞれ視聴した人に対して測定した値の平均。

ポジティブな認知によるブランドリフト

出典:株式会社セプテーニのプレスリリース「セプテーニ、TikTokショートドラマを活用した企業PRコンテンツの累計再生回数が1億回を突破

ショートドラマに向き合うセプテーニ独自の体制

ショート動画開発部は、ショートドラマを中心とした縦型動画に特化した専門部隊です。セプテーニは2022年に『ごっこ倶楽部』を運営する株式会社GOKKOへ出資し、早期から独自の制作体制を構築してきました。


現在、セプテーニ内にも監督や脚本家などの制作スタッフが在籍しており、GOKKOと共同制作、研究を重ねてきました。これにより、単なる偶然ではなく、戦略的な「バズ」の創出を実現しています。
私たちが目指すのは、単なる「バズ動画」ではありません。「成果につながるショートドラマ」です。
そのために、セプテーニでは3つの軸を据え、企画・制作から配信、効果測定まで、一貫してサポートする体制を整えています。

1.成果を意識したプランニング

セプテーニは、マーケティング視点からのアプローチを強みとしています。ショートドラマクリエイターとの協業を軸としながらも、マーケティング目標を達成するための戦略設計を行います。
まずは、ショートドラマをマーケティングファネルの中で戦略的に位置づけることが重要です。認知獲得、興味喚起、比較検討など、ファネル別に設計を行います。また、ブランディングなのか、購買促進なのか、アプリダウンロード促進なのかといった目的の定義も明確化します。


さらに、ショートドラマ単体で完結させるのではなく、テレビCM、ディスプレイ広告、SNS運用など、ほかのメディアプランと連携させることで、相乗効果を最大化します。
例えば、セプテーニの強みの一つでもある、デジタル広告と掛け合わせたパッケージも作成しています。TikTokのショートドラマ広告専用のクーポン発行や、Xの広告メニュー「Amplify スポンサーシップ」にて、ショートドラマ制作+広告配信サービスを提供しています。

2.再現性のある、バズるショートドラマの制作ノウハウ

ショートドラマ制作では、各SNSプラットフォームのアルゴリズムを深く理解したうえで、バズりやすい構成やストーリー展開を設計し、強力なクリエイターとの協業体制を構築しています。具体的には以下のポイントを重視しています。
まず、もっとも重要なのが冒頭1〜3秒のヒキです。ユーザーがスクロールを止めて視聴を続けるかどうかは、この数秒で決まります。衝撃的なシーン、意外性のある展開、強烈な感情表現など、瞬時に興味を引く要素が必要です。


次に賛否両論を生む題材の選定。完全に全員が同意する内容よりも、適度に議論を呼ぶテーマの方が、コメント欄での会話を促進し、アルゴリズム上も有利に働きます。ただし、ブランドイメージを損なわない範囲での設計が重要です。

 

そして、媒体と相性の良い題材とキャスト選び。TikTok、Instagram Reels、YouTube Shortsなど、各プラットフォームのユーザー層や文化に合わせ、最適な題材とキャストを選定することが必要です。同じショートドラマでも、媒体によって反応は大きく異なります。

3.効果検証とPDCA

ショートドラマをマーケティング施策として成立させるためには、再生数やいいね数といった表面的なエンゲージメント指標だけでなく、実際のビジネス成果を測定することが不可欠です。セプテーニでは、ブランドリフト調査を実施し、認知度、好意度、購入意向などの変化を定量的に把握しています。


データ集計では、プラットフォームごとの詳細分析を行い、どのような属性のユーザーがどのシーンで離脱したのか、どのシーンがもっとも共感を生んだのかを可視化します。この分析結果をもとに、次回施策の改善点を明確化し、PDCAサイクルを高速で回していきます。
また、分かりやすいレポート形式で、投資対効果(ROI)やブランド価値向上への寄与度を示します。継続的な改善と学習により、「バズ」の再現性を高めていきます。

どのような企業に向いているのか

ショートドラマは特にトップファネル施策として効果を発揮しやすい手法です。認知拡大、ブランドイメージの向上、潜在顧客へのアプローチが主な目的となります。
親和性が高い業種としては、化粧品・美容、ファッション、飲料・食品、エンターテインメントなどが挙げられますが、適切なストーリー設計により、ほぼすべての業種で活用いただくことが可能です。
ショートドラマを活用したマーケティング施策は、特に以下のような課題を抱える企業様に最適です。

 

  • 若年層へのリーチに苦戦している

  • ブランド認知度を効率的に高めたい

  • 従来型広告の効果が低下している

  • SNSマーケティングを強化したいが方法が分からない

今後の展望~マーケティング効果の科学的検証~

セプテーニは2025年11月、電通・GOKKO・emoleとともに、ショートドラマ領域に特化したマーケティングソリューションサービスを提供する「ショートドラマ・マーケティング・ラボ」を発足しました。ショートドラマをマーケティング手法として体系化し、ショートドラマの企画・制作にとどまらず、認知度や利用意向の向上などのマーケティング成果の創出ならびにその定量的な可視化までをワンストップで提供し、エンターテインメントとマーケティングを融合させた新しいブランド体験の創出をリードしていきます。

今後の展望~マーケティング効果の科学的検証~

各企業が抱える固有の課題に対して、最適なソリューションを提供し続けること。それが私たちの使命です。ショートドラマという新しいマーケティング手法を通じて、皆様のビジネス成長に貢献できることを楽しみにしています。

 

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執筆者

 

縦型動画・ドラマ領域 ショート動画開発部 プロデューサー  上田颯
新卒入社後一貫してドラマ事業に従事。ショートドラマを起点としたクリエイティブプランニングから、納品時のクリエイティブディレクションまでを、企業の課題に沿って総合的にプロデュースしている。