※こちらはExchangeWireより転載した過去の記事となります。
※執筆者の肩書きや部署、社内の体制含め、内容は全て取材時点のものであり、当時から変更となっている可能性がございます。
デジタルマーケティングを取り巻く環境は、変化が激しく複雑性が日々増しています。
それに伴い様々な手法が開発され、広告運用の自動化が進む中でも「消費者起点で考えること」が重要であることは揺るぎません。
この点において、非常に重要な手段を担うのが「マーケティングリサーチ」です。
マーケティングリサーチとは、マーケティング等に活かすために消費者のインサイトを正しく捉える行為の事を指します。
(※参考|日本マーケティング・リサーチ業界.マーケティング・リサーチについて)
消費者の声を収集し分析することによって、その実態やニーズを踏まえたマーケティング活動を行うことが可能になります。
消費者起点のマーケティング活動を行い、目標に対するアクションや成果を出すための意思決定の精度を高めていくためには、リサーチは欠かせません。
その他、クライアントと代理店の間で同じターゲット像の認識を持つ事で、共通の「市場を見渡す地図」を作り戦略立案をする際や、抱えているビジネス課題を客観的に捉える事で既存の施策の枠組みに捉われる事なく打ち手を検討する際に役立てるなど、利用目的は多岐に渡ります。
リサーチを実施し、マーケティングに活かすまでの手順は以下の通りです。
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リサーチをマーケティングに活かすという観点においては、②/③の「データを取得し分析・考察する」だけではなく、①/④の「課題の解決に適した調査企画をし、取得したデータを正しく施策に落とし込む」の部分がより一層重要です。
しかしそれぞれの工程において必要となるスキルセットやノウハウは異なるので、1人の担当者が①~④を全て担うのは簡単なことではありません。
そこでセプテーニでは、これらの工程を一気通貫で行いクライアントのビジネス成長に貢献するための体制を作るべく、かねてより社内に存在したリサーチ専門組織とコミュニケーションプランニング専門組織を一体化させた「Septeni Insight Lab.(セプテーニインサイトラボ、以下インサイトラボ)」を2021年に発足しました。
マーケティングリサーチにおいてよく挙がる課題として
などがあります。
Septeni Insight Lab.では、リサーチを実施する際の調査設計に専門性を持つリサーチ組織と、リサーチ結果を分析し施策へ繋ぐ事を得意とするコミュニケーションプランニングの組織が一体化しています。これにより、各工程での認識齟齬や目的と手段のズレをなくし、アクションプランの活用に対して最適なリサーチが実現できます。
Septeni Insight Lab.の発足により、社内やクライアントからのリサーチのニーズが急増し、相談件数は2020年対比で約200%になります。
セプテーニで行っているリサーチ目的には大きく2パターンがあります。
「①特定クライアントの課題を深掘りするパターン」と「②社内の知見蓄積のために業種横断で情報を取得するパターン」です。
今回は②について次の章で実例をご紹介します。
過去インサイトラボでは「脱毛」「人材」「コスメ」「健康食品」「ゲーム」「恋愛系マッチングサービス」6カテゴリーの業界横断調査を行ってきました。
今回は、2022年3月に新たに行った金融業界調査での取得データについてご説明します。
〇調査日:2022年3月
〇対象領域:銀行、キャッシュレスサービス、クレジットカード、生命保険、
損害保険、カードローン、投資
〇調査項目:ブランド認知度、利用状況、お金に対する消費者価値観
〇調査対象:18歳~69歳の男女(4200人)
本記事をお読みになっている皆様が「実際にどのような調査データを取得しているのか」をイメージしやすいように、実際に取得したデータの中から2項目提示しながら、それぞれ注目した箇所についてご説明いたします。
これらのファクトに世代別の価値観や実際の広告配信における獲得傾向等を掛け合わせることによって、仮説を立てることができます。
ミクロな視点では広告クリエイティブの検証、マクロな視点であればプロモーションの方針策定に至るまでリサーチデータは幅広い目的で活用することが可能です。
実際の金融業種のマーケティング担当者が抱えている課題は多種多様です。
その背景として金融業界には銀行・証券・保険のように多くの業態があることに加え、銀行一つとっても口座開設・ローン・資産運用のようにニーズが全く異なる商品を扱っているからです。
担当しているサービスに閉じたデータ(fact)は持ち合わせていても、サービスを跨いだ横断的なデータがない、または必要性を感じていないケースが多いです。今回の横断調査では、そこに着目し、ライフサイクルにおいて切っても切り離せない「お金」にまつわるデータの解像度を高めることで、今までとは違うデータ・切り口でのアプローチに繋がる可能性を感じました。
具体的には、デモグラ別で利用している銀行口座×保険会社×クレジットカード×決済方法等の傾向がわかれば、よくある趣味趣向等の傾向ではなく、金融サービス利用傾向から消費者の解像度を高めることができるとわかったのです。
今まではサービス単位で区切られていたデータを、今後は横断的にリサーチすることによってお金に関連するサービス全体の傾向が分析できるようになります。
リサーチを起点に課題抽出から解決までのアプローチができるだけでなく、継続的に同じ視点でのリサーチを実施していくことで、時系列変化も含めて捉えることができるようになると期待しています。
本コラムでは改めてマーケティングリサーチを「活用」することの難しさ、それを解決するために立ち上がったインサイトラボの取り組み、最後に実際に取得した金融業界横断調査の内容をご紹介いたしました。
セプテーニではマーケティングリサーチを通じてより本質的な課題を明らかにし、ファクトに基づくプランニングと実行で企業様の成果の創出に貢献しております。
このようなお悩み・ご要望をお持ちのご担当者様は、是非一度当社にお問い合わせください。