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Flux(フラックス).1とは?最新AIモデルの特徴や使い方、料金を紹介

作成者: Septeni FOCUS 編集部|2025.7.29

「Flux(フラックス).1」は、テキストプロンプトを元に高品質な画像を生成できる画像生成AIです。

商用利用が可能なことから、ビジネスシーンにおいても幅広く活用されています。
しかし、比較的新しい生成AIでもあるため、「Flux.1って何?」「ほかのAIと何が違うの?」「どんな使い方ができるの?」など、詳しいことは分からないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、Flux.1の特徴やできること、実際の使い方や料金プランまで分かりやすく解説します。
※こちらの記事は2025年7月24日時点の情報です。

Flux(フラックス).1とは

Flux(フラックス).1は、「Stable Diffusion」の共同開発者らによって設立されたBlack Forest Labs社が、2024年にリリースした最新の画像生成AIモデルです。

従来のStable Diffusionよりもさらに高い描写力とプロンプト解釈能力を誇り、人物・風景・動物・物体など、多様な被写体をリアルかつ精緻に生成できます。長文プロンプトへの忠実な応答や、細部までこだわったビジュアル表現が可能なため、プロのイラストレーターや映像制作関係者からも注目されています。

さらに、Flux.1は用途や処理環境に応じて複数のモデルバージョンが提供されており、有料プランなら個人利用から商用利用まで柔軟に対応できるのも魅力です。

Flux(フラックス).1の特徴

続いては、Flux(フラックス).1の特徴やメリットをさらに詳しく解説します。

多用途な画像作成が可能

Flux.1は、テキストから画像を生成するテキスト・トゥ・イメージ形式のAIモデルで、非常に幅広いスタイルに対応しています。
リアルな写真風のビジュアル、繊細なイラスト、アニメ風キャラクター、ファンタジー系のアートまで、プロンプト次第で多彩な画像を自在に描き出せるのが特徴です。

特に評価されているのが、プロンプトへの忠実度の高さです。色や構図、ポーズ、背景の雰囲気など、細かい指示にも精度高く対応し、ユーザーの意図を的確に反映した画像を出力するため、クリエイターやマーケティング担当者、ゲーム開発者など幅広い業種で活用が進んでいます。

また、生成された画像は細部まで描き込まれており、髪の毛の質感や衣服のシワ、背景の光源表現までリアルかつ美しい仕上がりとなる点でも、高い評価を受けています。

高解像度の画像を生成

Flux.1は、最大2MPの高解像度画像を生成することができ、Webコンテンツはもちろん、ポスターや冊子などの印刷物にも十分対応可能です。

さらに、画像のアスペクト比を柔軟に指定できるため、バナーやSNS投稿用、YouTubeサムネイル、縦長のストーリー投稿など、用途に合わせた出力フォーマットにも幅広く対応します。

従来の画像生成AIでは対応が難しかった特殊比率や構図の調整も、Flux.1であればスムーズに実現できるでしょう。

ハイブリッドアーキテクチャ

Flux.1は、12B(120億)パラメータという大規模モデルで構成されており、拡散モデル(Diffusion Model)とトランスフォーマー(Transformer)を組み合わせたハイブリッドアーキテクチャを採用しています。

拡散モデルが持つ高精度な画像生成能力と、トランスフォーマーの柔軟で長文に強いプロンプト理解力を両立しているため、ユーザーの意図を深く理解しながら、高精細でノイズの少ない画像を短時間で生成することが可能です。

プロンプトの文脈を正確に捉えた自然な構図や光の演出、空気感の再現力は、ほかの画像生成AIと比較しても非常に優れています。
Flux.1は、制作の自由度と精度を両立させたいユーザーにとって理想的なツールと言えるでしょう。

Flux(フラックス).1モデルの種類

Flux(フラックス).1には、利用目的や使用環境に応じて選べる5つのモデルが用意されています。

それぞれに特徴があり、商用利用から個人の創作活動や研究開発まで、さまざまなニーズに対応できるのが魅力です。

モデル名

概要

特徴

 Flux.1 Pro

 高品質な商用対応モデル

・高品質な画像生成が可能
・商用利用可能

 Flux 1.1 Pro

 Flux.1 Proの高速・高機能版

・高速生成が可能
・最大2K解像度
・商用利用可能
・プロンプトの自動最適化に対応

 Flux.1 Dev

 開発者・研究者向けのオープンソースモデル

・オープンソースで自由度が高い
・非商用利用向け

 Flux.1 Schnell

 高速・軽量な個人/ローカル利用向けモデル

・最大2K解像度
・オープンソース
・商用利用可能
・操作しやすい

 Flux 1.1 Pro Ultra

 Proの最上位モデル

・最大4MP解像度
・Rawモード搭載
・商用利用可能

ここでは、Flux.1の5つのモデルについて、用途や特徴を詳しく解説します。

Flux.1 Pro

Flux.1 Proは、商用コンテンツ制作に最適なスタンダードモデルで、安定性と画質のバランスに優れています。
肌の質感や髪の毛の繊細な表現、背景のリアリティなどが高精度に再現され、広告・出版・Webデザイン・SNS用素材など、実務ベースの現場で幅広く活用されています。

また、APIによる外部システムとの連携も可能で、制作フローの自動化や大量生成にも適応可能です。商用利用に必要なライセンスが明確に設定されているため、安心して導入できる点も支持されています。

Flux 1.1 Pro

Flux 1.1 Proは、Flux.1 Proのアップグレード版として2024年10月に登場したモデルです。

従来のFlux.1 Proと比較して最大6倍の高速生成が可能となり、短時間で高精度な画像を大量生成できるようになりました。
また、最大解像度は2Kで、人物の表情やポーズ、背景についても、自然で安定した描写が可能です。

さらに、プロンプト最適化機能により、入力文から自動で理想的な構成に変換されるため、AI初心者でも扱いやすく、日本語入力による細かな指示にも的確に応えてくれるでしょう。

Flux.1 Dev

Flux.1 Devは、開発者・研究者・個人クリエイター向けに設計されたオープンソースモデルです。
ソースコードと学習済みモデルが公開されており、自分自身でのカスタマイズや追加学習が可能なため、自由度の高さが魅力です。

大規模言語モデル(LLM)を軽量なモデルに調整できるLoRA(Low-Rank Adaptation)を活用することで、特定のキャラクターや独自の画風を学習させるファインチューニングが可能です。

また、ControlNetを使えばポーズ・構図・背景配置などの高度な制御も可能なため、実験的なプロジェクトや、オリジナルアートの創作活動にもぴったりでしょう。
ただし、Flux.1 Devは非商用ライセンスとなっており、企業の広告制作や有償サービスへの組み込みには利用できません。

Flux.1 Schnell

Flux.1 Schnellは、「速さ」と「軽さ」を重視したモデルで、スペックに制限のあるPC環境やラップトップでもスムーズに動作するのが特徴です。

画像生成は最短1ステップ、通常でも4ステップ以内と非常に高速で、SNS用画像の即時作成、ライブ配信中のリアルタイム生成、軽量なWebアプリでの実装などにも適しています。

最大2Kの高解像度出力に対応しているため、クオリティを保ちながらスピードを重視する用途に最適です。写実系、アニメ調、イラスト系など幅広いスタイルにも対応しており、出力の安定性と精度でも高い評価を得ています。

さらに、Flux.1 Schnellは商用利用も可能なライセンスが提供されているため、個人事業主や小規模チームにも導入しやすいモデルといえるでしょう。

Flux 1.1 Pro Ultra

Flux 1.1 Pro Ultraは、Fluxシリーズの最上位に位置付けられるプレミアムモデルで、最大4MPの超高解像度出力と、平均10秒前後の高速生成処理を両立しています。

Flux 1.1 Pro Ultraには、「Ultraモード」と「Rawモード」という2つの特別機能があり、Ultraモードではテクスチャーや陰影、微細な質感まで緻密に描写し、Rawモードでは写真に近い自然な質感を再現できます。

広告バナーや商品ビジュアル、出版物などにはもちろん、複雑なプロンプトにも対応できる高い言語理解力で多様なアスペクト比や構図指定にも柔軟に対応しています。

写実系・アニメ系・グラフィック風など自在に切り替え可能で、API連携・商用利用にも対応しているため、大規模プロジェクトやプロフェッショナルな制作現場への導入が進んでいます。

Flux(フラックス).1の使い方

Flux(フラックス).1の代表的な利用方法としては、オンラインプラットフォーム「fal.ai」を使う方法と、ローカル環境にインストールして使う方法があります。

用途やスキルに応じて、最適な使い方を選びましょう。

fal.aiで利用する

まずは、Black Forest Labsが提供する Webプラットフォーム「fal.ai」で利用する方法を説明します。

 

1. fal.ai にアクセスし、アカウントを作成またはGoogleアカウント・GitHubアカウントでログインする

2.使用したいモデル(Pro、Ultra、Schnellなど)を選択する

3. プロンプトを入力し、縦横比を選択する
4. Runボタンをクリックし、画像生成を実行する

5. 10秒ほどで、生成された画像が表示される

fal.aiでFlux.1を使う最大のメリットは、インストールが不要で、初心者でも手軽に使い始められることです。
ブラウザ上で操作できるため、特別な知識や設定も必要ありません。

また、常に最新のモデルが反映されているため、新機能や高性能なバージョンをすぐに試すことも可能です。商用利用可能なモデルも選択できるため、ビジネスシーンでの活用がしやすいでしょう。

ただし、無料プランでは画像生成の枚数や解像度に制限があります。
より多くの画像を生成したい場合や高品質な出力が必要な場合には、有料プランへの切り替えを検討しましょう。

ローカル環境で利用する

より自由度の高い使い方をしたい方には、ローカル環境での利用がおすすめです。
ここでは2つの代表的なインターフェース、「Stable Diffusion WebUI Forge」と「ComfyUI」を使った方法を紹介します。

Stable Diffusion WebUI Forgeの設定方法

Stable Diffusion WebUI Forgeは、高速・省メモリに最適化されたStable Diffusion向けのGUIで、Flux.1モデルにも対応しています。

1. 「Stable Diffusion WebUI Forge」をPCにインストールする
2. Hugging FaceのページからFlux.1モデルのckptファイルをダウンロードする
3. ダウンロードしたファイルを「data > models > StableDiffusion」フォルダに移動しておく
4. Stable Diffusion WebUI Forgeを開いて、UIの項目で「FLUX」を選択する
5. プロンプトを入力し、モデルを選択して「Generate」をクリックすると、画像が生成される

Stable Diffusion WebUI Forgeは設定の自由度が高く、拡張機能の追加やLoRA、ControlNetといった高度な制御機能にも対応しています。
生成結果を細かくチューニングできるため、実験的な開発や研究用途に役立つでしょう。

ComfyUIの設定方法

ComfyUIは、ノードベースで処理フローを組み立てられるオープンソースのGUIツールです。
視覚的に生成手順を構築できるため、画像生成の仕組みを理解したい方や技術者にぴったりでしょう。

 

1. ComfyUIをPCにインストールする
2. Hugging FaceのページからFlux.1モデルのckptファイルをダウンロードする
3. ダウンロードしたファイルをComfyUIの指定フォルダに格納する
4. ComfyUI_examplesから画像をダウンロードする
5. ダウンロードした画像をComfyUIにドラッグアンドドロップする
6. 「CLIP Text Encode」の部分にプロンプトを入力する
7. 「Queue Prompt」をクリックすると、画像が生成される

 

ComfyUIは、処理の流れをノード単位で視覚的に編集できる点が大きな特徴です。

LoRAやControlNet、画像から画像への変換(img2img)といった複雑な処理も視覚的に把握・管理できるため、ワークフローの全体像がつかみやすくなっています。カスタムノードや外部拡張が豊富な点も魅力です。

Flux(フラックス).1の料金

Flux(フラックス).1は、利用目的や生成頻度に応じて選べる複数の料金プランが用意されています。

無料から有料プランまで段階的に設定されており、初めてのユーザーから本格利用したいプロユーザーまで、幅広く対応可能です。

料金プラン

月額料金

クレジット数

無料

0ドル

新規ユーザー:40クレジット

毎日チェックイン:20クレジット

ベーシック

12.49ドル(約1,810円)

月額5,000クレジット

プロ

33.31ドル(約4,820円)

月額13,000クレジット

プロマックス

54.53ドル(約7,900円)

月額21,000クレジット

※2025年6月時点でのレート

Flux.1では、画像生成時に「クレジット」が消費されます。これは各モデルを利用する際の単位のようなもので、モデルの処理性能や出力品質に応じて消費量が異なります。

クレジットは月初にリセットされる仕組みのため、定期的な利用を考えている方には有料プランがおすすめです。

また、画像の解像度やプロンプトの複雑さによっても多少変動する場合があるため、事前に生成前の目安クレジット数を確認すると良いでしょう。

Flux(フラックス).1の活用事例

高精度な画像生成性能と多彩なスタイル表現を兼ね備えたFlux(フラックス).1は、クリエイティブな現場をはじめ、さまざまな業種で実用的に活用されています。

ここでは、特に注目されている5つの活用シーンを紹介します。

Webデザイン・広告バナー作成

短時間で印象的なビジュアルを制作できるFlux.1は、Webサイトのトップ画像やランディングページ(LP)、SNS広告バナーの制作に活用されています。

「モダンなレイアウト」「温かみのある色調」「ブランドカラーに沿った配色」など、プロンプトによって希望のデザインイメージを反映できるのが魅力です。

また、複数案のビジュアルを一括で生成できるため、A/Bテスト用の素材量産や、キャンペーンごとの素早いビジュアル差し替えにも対応しやすく、デザイン業務の効率化につながります。

ゲームのコンセプトアート制作

ゲーム開発初期の世界観やキャラクターデザインの方向性を示す「コンセプトアート」においても、Flux.1は大きな力を発揮します。
プロンプトの指示により、わずか数十秒〜数分で複数のアート案を生成できるため、アイデア出しやチーム内共有のスピードが格段に向上するでしょう。

リアル調・アニメ調・ファンタジー・SFなど多様なスタイルに対応しており、背景美術やキャラクターデザイン、モンスタービジュアルまで、幅広い用途で活用可能です。
初期構想からプレゼン資料用の素材作成まで、制作フローの短縮と質の向上を同時に実現できるでしょう。

コンテンツマーケティング

SNS投稿やブログ記事、メルマガやLPのアイキャッチ画像など、コンテンツマーケティングに欠かせないビジュアル素材制作にも、Flux.1を活用できます。

プロンプトをもとに瞬時に対応し、タイムリーな画像を生成してくれるため、季節ごとのプロモーションやトレンドを反映した投稿もスムーズに行えるでしょう。ブランドカラーやフォント、構図の一貫性も維持しやすく、視覚的な統一感を保ったマーケティング展開が可能です。

小説・ライトノベルの挿絵制作

文章で描かれた物語の世界観を視覚的に補完する挿絵や、カバーアートの制作にもFlux.1が活用されています。
「涙を浮かべた少年」「古びた神殿の中」「近未来都市の夜景」といったプロンプトから、読者の想像を広げる情景描写をリアルに再現できるのが魅力です。

写実的な描写からアニメ風、イラスト調まで対応可能なため、作品の世界観や読者層に合わせて柔軟に使い分けられるでしょう。
複数キャラクターの登場する複雑な構図にも対応できるため、表紙や口絵も作成できます。

ECサイトや商品のイメージ提案

商品イメージをより魅力的に伝えたいECサイトでも、Flux.1の活用は効果的です。
「白いシャツを着たモデルが街中を歩く」「北欧風インテリアに置かれたソファ」「カフェのテラスでバッグを持つ女性」など、簡単なプロンプトを入力するだけで、実際の利用シーンや雰囲気を視覚的に表現してくれます。

商品の魅力を引き立たせて購買意欲を高めるのはもちろん、撮影コストやモデル手配といった負担を大幅に軽減しながら、複数のターゲット層に合わせたマーケティングも可能です。

Flux(フラックス).1をはじめとした生成AIで、ビジネスの幅を広げよう

Flux(フラックス).1は、高精度な描写力とプロンプトへの忠実な応答性を兼ね備えた最新の画像生成AIです。
リアルな写真風からアニメ調、ファンタジーアートまで多様なスタイルに対応しており、高解像度出力や商用利用も可能です。

Webデザインや広告バナー制作、小説やライトノベルの挿絵、ECサイトの商品イメージ提案など、さまざまなクリエイティブ業務の効率化に貢献し、表現の幅を拡大できるでしょう。
API連携を活用すれば制作フローを自動化し、作業効率を大幅に向上させることも可能です。

Flux.1をはじめとする生成AIを活用することで、コストを抑えながら質の高いビジュアル制作が実現します。自社に合った生成AIを取り入れ、競争力のあるクリエイティブを武器に、ビジネスの可能性を広げてみてはいかがでしょうか。