インタビュー/コラム|Septeni Focus [セプテーニ フォーカス]

CVR1.1倍の舞台裏〜品川美容外科が実証したセプテーニ×ビービットによるCRO施策の真価とは〜

作成者: Septeni FOCUS 編集部|2025.12.23
デジタルマーケティングにおいて、多くの企業が「施策の頭打ち」という共通の壁に直面しています。
ABテストやヒートマップ分析など、考えられる改善策は実施したものの、決定的な成果につながらない。次の一手に確信が持てず、担当者の経験や勘に頼った施策を繰り返す――。こうした状況は、決して珍しいものではありません。
 
品川美容外科を運営する医療法人社団翔友会(以下、翔友会)も、まさにこの課題に直面していました。
しかし、株式会社セプテーニ(以下、セプテーニ)と株式会社ビービット(以下、ビービット)が提供する「CROパッケージ(※)」の導入により、わずか1ヶ月でCVR(コンバージョン率)が1.1倍に向上。明確な成果を実現しました。
※「CROパッケージ」については以下をご覧ください
 セプテーニとビービット、集客からコンバージョンまで一気通貫で顧客体験を最適化する「CROパッケージ」の提供を開始  ~品川美容外科の先行事例ではCVR1.1倍、CPAは92%に改善~
 

その成功のカギは、ビービットのユーザー行動分析ツール・UX改善SaaS「USERGRAM」によるサイト内でのユーザー行動の徹底的な可視化と、セプテーニの一気通貫の実行力にありました。
 
本記事では、翔友会の後藤英典氏と三浦里彩氏、ビービットの小林拓馬氏、セプテーニの中園まどか氏への取材を通じて、従来のCRO提案とは一線を画す「データに基づく確信ある改善」の実現プロセスと成果を詳しくお伝えします。

施策が頭打ちになったとき、次の一手をどう見つけるか

―まずは簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか。

 

後藤氏(翔友会)医療法人社団翔友会 美容グループ WEB マーケティングチーム セクションマネージャーの後藤です。Webサイト全体の管理と代理店との連携を担当しています。広告領域を中心に、SEOやSNS、リスティング広告など、デジタルマーケティング全般の意思決定と推進役を務めています。
 
三浦氏(翔友会)同じく医療法人社団翔友会 美容グループ WEBマーケティングチーム チーフの三浦です。広告LPのコンテンツ企画やLINE配信など、クリエイティブ全般の品質管理を担当。代理店との実務連携も含め、制作から実装まで幅広く統括しています。
 
小林氏(ビービット)株式会社ビービット UXグロース部門の小林です。USERGRAMを活用し、お客様のWebサイトやアプリのコンバージョン率改善を伴走支援しています。今回はセプテーニ社と協業で、医療法人社団翔友会様のデータ取得設計からLPの分析・改善提案までを担当させていただきました。
 
中園氏(セプテーニ)Septeni Japan株式会社 第4営業領域第12営業部の中園です。2023年から翔友会様のデジタル広告支援を担当しています。今回のCRO施策では、ビービット社との協業を推進し、分析結果を実装につなげる役割を担いました。
 

―今回のプロジェクトが発足した経緯について教えてください。翔友会様は当時、どのような課題を抱えていたのでしょうか。

医療法人社団翔友会 美容グループ WEB マーケティングチーム セクションマネージャー 後藤英典

 

後藤氏(翔友会)WEBマーケティングチームは私含めて3名という少人数体制で運営しています。これまでLPのファーストビューのデザイン変更やABテスト、ヒートマップ分析など、考えられる施策は実施してきました。
 
しかし、なかなか大幅な改善に至らない。特に数値で見た場合に、目に見えて良くなったという実感が得られない状況が続いていたのです。
 
三浦氏(翔友会)制作面でも同じ課題を抱えていました。LP制作では、どうしてもデザイナーの主観や確認者の感覚で判断されることが多く、明確な根拠がないまま「こっちのほうが良い」「これでは響かない」といった感覚的な意思決定がなされていたのです。
 
後藤が言うヒートマップ分析もまさにその象徴で、データを見ることはできても、そこから課題を特定して改善策につなげるための専門的な知見が不足していました。
 
後藤氏(翔友会)SNSの普及でユーザーとの接点が多様化する一方、自分たちのWebサイトがその多様なニーズに本当の意味で応えられているのか、確信が持てずにいました。
 
実施した施策が正しかったのかを判断するための客観的なデータが不足しており、次の一手をどこに打つべきか、明確な指針がないまま模索を続けていたのです。
 
 
―次の一手が見えないなかで、どのようにして今回のプロジェクトにつながったのでしょうか?
 
後藤氏(翔友会)ちょうど私たちが「次の一手」を模索していたタイミングで、セプテーニさんから新たなご提案をいただいたのがきっかけです。
ビービットさんとの協業による新しいソリューションだと伺い、詳しくお話を聞いてみることにしました。
 
中園氏(セプテーニ)約2年半にわたりSNS広告をご支援するなかで、翔友会様が「データに基づいた改善サイクルを確立したい」という課題をお持ちであることを強く認識していました。
 
ビービット社との協業で生まれた「CROパッケージ」は、まさにその課題を解決できるソリューションでしたので、これこそが次のブレイクスルーになると確信し、ご提案させていただきました。
 
 
―「CROパッケージ」とは具体的にどのようなソリューションなのでしょうか?

Septeni Japan株式会社 第4営業領域第12営業部 中園まどか

 

中園氏(セプテーニ)「CROパッケージ」は、ビービット社のユーザー行動分析ツール「USERGRAM」を活用し、ユーザー行動の分析からLP制作・実装までを一気通貫で実行するソリューションです。
私たちの強みは、単なる分析レポートで終わらせず、広告で集客したユーザーの体験価値を最大化し、CVR向上という成果につなげる。そこまで伴走できる点にあります。

小林氏(ビービット)その分析の核となるのが「USERGRAM」というツールを用いた分析です。単なる集計データとは異なり、ユーザー一人ひとり(n=1)のWebサイト内行動を詳細に追跡できるのが特徴です。
CVに至ったユーザーと離脱したユーザー、それぞれの行動パターンを個別に見比べることで、「なぜ離脱したのか」という根本原因を突き止められます。


私たちの分析アプローチは、いわば「定量」と「定性」のかけ合わせ。
まずは「USERGRAM」のファネル分析やページ分析機能を使って、「どこで多くの人が離脱しているか」という定量的な観点での問題箇所を特定します。


「USERGRAM」にてその場所で離脱した一人ひとりの具体的な行動(定性)を分析し、「なぜ離脱したのか」という原因を深掘りしていく。
この両輪での分析こそが、的確な改善策を生み出すカギなのです。
 
―この提案を受けて、翔友会様はどのような印象を持たれましたか?


後藤氏(翔友会)は他社からもCRO改善の提案は受けていました。しかし、その多くはヒートマップで「ここがクリックされています」といった表面的な分析に留まり、いわゆる“点”での改善提案ばかりだったのです。
 
それに対し、「CROパッケージ」はまったく異なるアプローチでした。「なぜユーザーはCVに至らないのか」という根本原因を、ユーザー一人ひとりの行動から特定するという深さがあった。
さらに「5%の改善でCVRを125%に向上」という具体的な効果試算が、私たちの背中を押してくれましたね。
これなら“面”での大きな改善が期待できる。このまま同じやり方を続けても頭打ちになるだけだと感じていましたから、「やれることは全部やろう」という気持ちで導入を決めました。

ユーザー行動の可視化が導き出した「確信ある改善」

―実際の分析はどのように進められたのでしょうか?

株式会社ビービット UXグロース部門 小林拓馬


小林氏(ビービット)まず、「品川美容外科」という指名キーワードに地名などが掛け合わさった検索で流入するユーザーの行動分析から着手しました。すると、LPから直接フォームに遷移するユーザーが少ない点、LPから本体Webサイトへ遷移したユーザーのCVRが著しく低い点が課題としてすぐに浮かび上がったのです。


特に驚いたのは、離脱しているユーザーの中に5ページ以上もWebサイト内を回遊する“関心度の高いユーザー”が多数存在していたことでした。

―これだけWebサイト内を回遊しているのに離脱してしまうのはなぜだったのでしょうか?
 
小林氏(ビービット)ここで「USERGRAM」の真価が発揮されます。CVに至ったユーザーと離脱したユーザー、両者の行動について、代表的なユーザーを抜き出して定性・定量の観点で比較分析したところ、決定的な違いが見えてきました。

品川美容外科様は多数の施術ラインナップをお持ちで、サイト内には各施術の説明が存在しておりました。そのため、離脱ユーザーは情報量の多さに圧倒されて、Webサイト内をさまよい、施術法の違いなどを理解できずに混乱して離脱してしまっていたことが観察を通じて発見されました。

 

一方でCVユーザーはWebサイト内で必要以上に迷うことがなく「院の強み」「施術詳細」「料金形態」という3つの情報要素をスムーズに得て理解・納得し、カウンセリングの予約に至っていることが発見されました。これは、ユーザーの体験全体を俯瞰する定性分析を通じて見えてきた示唆であると考えております。
 
中園氏(セプテーニ)特に重要な発見は、LPを75〜90%までスクロールした地点、つまり「院の強み」が表示される部分でのCVRが非常に高かったことです。
CVユーザーの閲覧ページ上位に料金表があったことからも、「当社の強み」と「明朗な料金形態」というコンテンツがCVにつながるカギであることが明確になりました。

―「5%の改善でCVR125%向上」という効果試算は、ここから導き出されたのですね。
 
小林氏(ビービット)その通りです。5ページ以上閲覧するユーザーは購買意欲が高いにもかかわらず、情報が見つけられずに離脱しているだけ。この層へのわずか5%でもCVへ導くことができれば、全体のCVRを125%まで改善できるという試算でした。現実的な改善で、大きな成果が見込めることが示されたのです。

―分析結果を踏まえ、具体的にどのような改善施策を実施したのでしょうか?
 
中園氏(セプテーニ)まず、ユーザーがもっとも知りたいことが示唆された「院の強み」をLP上部へ移動させました。
さらに、「どの施術法を選ぶか決めていなくても、カウンセリングでご提案可能」という一文を追加し、施術法の多様さから生じるユーザーの迷いを解消。「明朗会計」「強引な勧誘はしません」といった、不安を払拭するコンテンツも加えました。

小林氏(ビービット)アンカータップ分析からは、意外な事実も判明しました。症例写真への関心は183クリックと低い一方、「部位から探す」は708クリック、「人気メニュー」は1,266クリックと多くのユーザーが高い関心を示していたのです。また、現在はアンカーには設定されていないものの、多くのユーザーがLPの後に個別の院のページを閲覧していることを発見いたしました。


この結果を踏まえ、ユーザーが本当に求めている情報を優先的に配置するよう、レイアウトの見直しもご提案しました。具体的には、ユーザーがよく押しているリンクをアンカーリンクに設定し、押されている割合の低い項目をアンカーリンクから削除しました。

分析から実装まで、約1ヶ月で実現した「実行伴走」の価値

―分析結果を実際のLP改善に落とし込む際、どのようなプロセスで進められたのでしょうか?
 
中園氏(セプテーニ):「USERGRAM」の分析結果が出ると同時に、社内のLP制作専門チームと連携し、改善案の具体化に着手しました。
ビービット社の分析チームと弊社の制作チームが週次でミーティングを重ねることで、分析の意図を深くくみ取った制作体制をスピーディーに構築できたのです。
 
―約1ヶ月という短期間での実装も驚きです。
 
中園氏(セプテーニ)社内に専門チームがあり、制作体制がすでに整っていたことが大きいですね。外部に発注する際に生じる時間的なロスがなく、分析結果を即座に制作に反映できる環境がありました。
加えて、翔友会様とも週2回の定例で密に連携させていただき、迅速な意思決定をしていただけたことも、このスピード感につながりました。
 
三浦氏(翔友会)制作のやり取りは本当にスムーズでしたね。チャットツールで常に連携し、時間をかけずに進められた印象です。
セプテーニさんは弊社のコンセプトやトーン&マナーも深く理解してくださっていたので、品質面での不安は一切ありませんでした。初稿の段階からクオリティが非常に高く、ほぼ修正なしで進められたのは驚きです。
 
―そうしたスムーズな連携でLPを改修し、効果検証に入られたかと思います。分析の結果はいかがでしたか?
 
後藤氏(翔友会)CPA(顧客獲得単価)は92%まで改善し、コスト効率が大幅に向上しました。数値的な成果はもちろんですが、ユーザーにより良い情報提供ができるようになったという、UXの質的な向上こそがもっとも価値のある成果だと感じています。
 
小林氏(ビービット)対象ページのCVRも、施策実施前に比べて1.1倍に向上しました。こちらの成果は年間で約412万円分の広告費に相当します。これはLP内容を充実させたことで、ユーザーがLP上で十分な情報を得てから本体Webサイトへ遷移するようになり、行動パターン自体が変化したためです。当初の試算(125%)にはわずかに届きませんでしたが、全体最適の観点では、十分に有意な改善を実現できたと評価しています。

一過性の成果から“組織資産”へ。データが導く持続的な成長基盤

医療法人社団翔友会 美容グループ WEBマーケティングチーム チーフ 三浦里彩

 

三浦氏(翔友会)これまでのデザイン制作はどうしても主観や感覚に頼りがちでしたが、データに基づいた構成に変更するだけで、これほどユーザー行動とCVRが改善するという事実は、チームにとって大きな気付きとなりました。
「なぜこの改善が効果的なのか」という明確な根拠が得られたことで、一つひとつのクリエイティブ制作に自信を持って取り組めるようになったと感じています。
 
後藤氏(翔友会)最大の収穫は、長年言語化できなかった「我々の本当の強みは何か」という問いに、「ユーザー行動データ」という客観的な形で答えが得られたことです。
今回の分析で「院の強み」「施術理解」「料金納得」という3要素の重要性が証明されたことで、今後のコミュニケーション戦略全体の「軸」が定まりました。
 
これは一過性の成果ではなく、今後のマーケティング活動全体に活用できる、再現性の高い“組織資産”になったと感じています。
 
―最後に、今回のプロジェクトで得られた知見を、今後どのように展開していくお考えですか?
 
後藤氏(翔友会)現在、翔友会が管理しているLPは60〜70ほど存在します。今回のプロジェクトで確立できた「データに基づき分析し、改善する」というフレームワークは、これらのLP全体に応用できると考えています。
 
もちろん、なかにはデザインが古くても高い成果を出しているページもあるかもしれません。そうしたページへのアプローチも含め、「CROパッケージ」を通した分析を重ねながら、全体の最適化を進めていきたいですね。
 
中園氏(セプテーニ)おっしゃる通り、その「アプローチ」をデータに基づいてご支援するのが、まさに私たちの役割です。
「デザインが古い」といった印象論ではなく、「なぜCVに至らないのか」をユーザー一人ひとりの行動から具体的に分析し、改善インパクトの大きいLPから優先順位をつけてご提案させていただきます。
 
さらに、このアプローチは広告流入のユーザーだけでなく、オーガニック検索で訪れるユーザーの行動理解にも応用できると考えています。つまり、将来的にはLPだけでなく、Webサイト全体のSEO改善にもつなげていける、大きな可能性も秘めていると感じています。
 
―今後のパートナーシップに期待することも含め、メッセージをお願いします。


後藤氏(翔友会)我々だけでは気付けない戦略的な示唆をデータから導き出し、実績を持って信頼に応えてくれる。リソースが限られる我々にとって、分析から実行までを一気通貫で伴走してくれるこのパートナーシップは、今後も非常に心強い存在です。


中園氏(セプテーニ)今回は「品川美容外科」という指名キーワードで流入するユーザーの分析でしたが、今後は「シワ」「シミ」といった、より具体的なお悩みを抱えるユーザーの分析にも広げていきたいと考えています。ユーザー一人ひとりの解像度をさらに高め、翔友会様が提供できる価値を一緒に最大化させていただければと思います。

 

小林氏(ビービット)ビービットの立場から見ても、今回の成功は、協業の価値を実際にお客様にお届けできた事例となり、大変嬉しく感じております。どれだけ優れた分析も、それをスピーディーかつ正確に形にする実行力がなければ成果にはつながりません。
セプテーニ社とのシームレスな連携は、まさに理想的な協業モデルです。この成功事例をもとに、データに基づく確かな改善をより多くの企業に届けていきたいですね。

 

 

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