株式会社TVer(以下、TVer社)が1年間のTVer広告出稿金額をもとに代理店を表彰する「TVer Sales AWARD」において、株式会社セプテーニ(以下、セプテーニ)は5年連続で「Gold Partner」を受賞しました。セプテーニは、TVer広告の黎明期から同社と歩みを共にし、OTT※1市場の発展を後押しする形で実績を積み上げてきました。
※1 Over The Top/インターネット経由で動画コンテンツを配信するサービスの総称
コネクテッドTV※2が視聴習慣として定着し、OTTへの広告投資がいよいよ本格化する今、本記事では、セプテーニの福田翔平と、TVer社 広告事業本部の廣橋風氏、佐野史尭氏との対談を通じて、OTT市場の現在地と、セプテーニが描く次の一手をお伝えします。
※2 インターネットに接続されたテレビデバイスでの視聴
―まずは簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか。
福田(セプテーニ):Septeni Japan株式会社 メディアソリューション領域 メディア戦略推進部 エキスパートの福田です。2013年の入社以来、ディスプレイ広告の運用コンサルタントとしてキャリアを積み、その後メディアリレーション業務に従事しました。TVer広告については、前身にあたる運用型広告の立ち上げ時から現在まで約7年半、一貫して担当しています。2026年1月からはTVer単体にとどまらず、OTT全体のプロジェクト責任者として市場全体の活性化に向け、取り組みを推進しています。
廣橋氏(TVer):株式会社TVer 広告事業本部の廣橋です。広告会社様・広告主様への企画・提案業務全般と、TVer運用型広告のアップデートに関するご要望対応が主な業務です。2022年入社で、セプテーニとのお付き合いはちょうど3年目に入ったところです。
佐野氏(TVer):同じく広告事業本部の佐野です。2024年9月に入社し、2025年1月からセプテーニを担当しています。役割は廣橋と同様です。
―あらためて、5年連続「Gold Partner受賞」の率直な感想をお聞かせください。
福田(セプテーニ): 4年連続で受賞した次は、「5年連続受賞」という目標をずっと意識しながらこの1年を走ってきました。4年間にわたって積み重ねてきた先に、しっかりと5年目を形にできたことが、まずは率直に嬉しいですね。この1年は、私たちを取り巻く環境や向き合い方が大きく変わった年でもありました。TVerというメディア自体が大きく成長し、生活者にとってはもちろんのこと、広告主様にとっても「TVerに広告を出すのが当たり前」という状況になってきたと強く感じています。
―具体的に、どのような時に広告主からの認知が深まったと感じられましたか。
福田(セプテーニ):この1年で特に感じたのは、広告主様からの相談内容と量の変化です。以前はこちらからTVer広告の価値を丁寧にお伝えすることがセールスの起点でした。しかし、2025年度はプランニングの段階から当たり前のようにTVerでの広告配信が組み込まれ、例えば「TVer広告を含めた複数の動画プラットフォームを活用する前提で、最適な予算配分やターゲティングを提案してほしい」という、より実践的な相談を広告主様からいただくケースが増えました。TVer広告が広告主様の標準的なメニューとして定着してきた実感があります。
実際に、セプテーニにおけるTVer広告の売上推移にもその変化は明確に表れています。2021年度から右肩上がりで成長を続けており、特にここ1、2年の伸びは著しく、2023年度からのわずか2年間で売上規模は3倍以上に急拡大しています。
廣橋氏(TVer):セプテーニにはもともと常に最前線を走っていただいていましたが、この1年は広告主様の顔ぶれがより多彩になった印象です。特定の広告主様だけでなく、業種を問わず満遍なく、かつ継続的に出稿いただける体制を作っていただきました。TVer広告の認知拡大と、セプテーニとの関係性の深まり、その両方が影響しているのだと思います。
―TVer社から見ても、セプテーニとの関係性はこの1年でさらに深まった実感がありますか。
株式会社TVer 広告事業本部 廣橋風氏
廣橋氏(TVer):福田さんだけでなく、セプテーニのさまざまな担当者の方とお話させていただく機会も増えていますが、口々に「現場でも積極的にTVer広告を活用している」とおっしゃってくださいます。広告主様のリアルな声や開発へのご要望を直接共有いただけることも、私たちにとって日々の大きな参考になっています。
何より、セプテーニの皆さんとのやり取りからは「TVer愛」を強く感じますね。
―「TVer愛」とはどのようなところに感じられるのでしょうか?
佐野氏(TVer):単にTVer広告を売るだけでなく、どうすればTVer広告のポテンシャルをさらに引き出せるかを現場レベルで共に考えてくださる姿勢です。セプテーニの営業の皆さんからは、「こうすればもっとTVer広告を提案しやすくなる」というフィードバックをいただく機会が多くあります。
例えば、「グローバル企業向けに英語の媒体資料があると提案の幅が広がる」というご意見や、「TVerを利用する生活者のインサイトを深掘りしたデータがあれば、より説得力のあるプランニングができる」といったご要望を頂き、実際に社内の検討につながったこともあります。
―福田さんは2023年度、アワード初となる個人特別賞も受賞されました。この1年、個人としてはどのような取り組みをされてきましたか。
福田(セプテーニ):2023年度、個人として表彰いただいた「特別賞」は、TVer広告に向き合い続けてきた数年間を、1つの節目として評価いただいたものと受け止めています。
1年を振り返ると、意識していたのはデジタルマーケティング会社として広告主様に広告を提案することと、TVerというメディアを共に育てること、この2つを地続きのミッションとして捉えて動くことでした。TVerの成長にコミットしたいという私たちなりの思いが、結果として「TVer愛」という形で皆さんに伝わっていたとしたら、大変嬉しいですね。
―OTT市場でプレイヤーが増えるなかで、ユーザーにとってのTVerの立ち位置はどのように変化していますか。
佐野氏(TVer):「Amazonプライム・ビデオ」や「Netflix」といった新たなプレイヤーの参入も相次ぎ、市場全体の熱量がさらに高まっています。ただ、そのなかでもTVerには「地上波の放送局の方々が制作したプロコンテンツを配信している」という歴史と強みがあります。このコンテンツの優位性は、市場の熱量が高まるなかでも依然として揺るがないと個人的にも感じています。
廣橋氏(TVer):TVerはもともと、テレビと比較してもMF1層(20〜34歳の男女)から厚い支持をいただいているメディアです。そうした若年層を含めて、コネクテッドTVでTVerを楽しむという視聴スタイルが、新しい習慣として定着してきているのを感じます。
福田(セプテーニ):まさにその視聴スタイルの変化が、OTT市場の成長を底上げしている要因の1つだと思っています。スマートフォン中心だった配信環境のなかで、テレビ画面へのシェアが着実に拡大してきました。その中でテレビに近い体験をデジタルで提供できるTVerが新たな主要チャネルとして機能し始めています。この潮目のど真ん中にいるのが今、という感覚です。
廣橋氏(TVer):数字の面でも変化は顕著です。TVer内でのコネクテッドTV視聴シェアは数年前だと7%程度でしたが、現在は約38〜39%にまで拡大しています。コネクテッドTV経由の月間再生数も2025年12月には2.1億回を記録しており、ドラマやスポーツが特に牽引しています。視聴習慣としてコネクテッドTVで見ることが、コンテンツジャンルを問わず根付いてきている手応えがあります。
―広告メディアとしてのOTT・TVerの市場にも変化があるのでしょうか。
Septeni Japan株式会社 メディアソリューション領域 メディア戦略推進部 エキスパート 福田 翔平
福田(セプテーニ):一言で言えば、OTTは今デジタル広告市場のなかで非常に勢いのある領域です。ネット広告市場全体の成長率が110%前後で推移しているなか、TVer広告を中心としたOTT領域は120〜150%という高い成長率で伸び続けています。※
※出典:調査レポート「2025年 日本の広告費」
OTTの中でも、マスとデジタル、双方の良さを併せ持つ独自の強みを持った媒体。それがTVer広告の本質的なポジションだと思っています。テレビCMと同じデバイス・同じ視聴態度で届けられながら、デジタルならではのターゲティングや効果計測も活用できます。
テレビCMを主軸に展開されてきた広告主様からも、TVer広告をデジタル領域への自然な橋渡しとして選ばれる場面が着実に増えてきています。
―具体的に、TVer広告が広告主様から支持されているポイントはどこでしょうか。
福田(セプテーニ):ポイントの一つとしては、ローテレ層(テレビをあまり見ない層)へのリーチです。テレビCMでは届きにくい層に対しても、TVer広告であれば有効にアプローチできます。
また、ローテレ・ハイテレ層別や興味関心別といったターゲティングの選択肢も広がってきたことで、広告主様ごとに異なるニーズに対して、これまで以上にきめ細かく向き合えるようになってきました。
廣橋氏(TVer):注視率※の高さも挙げられます。コネクテッドTVでのTVerの視聴状況を調査すると、注視率がかなり高く出ます。1インプレッションあたりの価値という観点でも、スマートフォンなどほかのデバイスと比べて手応えのある数字が出ていますね。
※広告視聴時にどれだけ画面に目線が向けられているかを示す指標。
福田(セプテーニ):高い注視率の背景には、視聴者の「目的・専念視聴」という特性があります。なんとなく動画を流し見するのではなく、「この番組が見たい」という明確な意図を持ったユーザーが視聴するため、広告注視率が高い点がTVer広告の特徴の一つです。加えて、配信されるのは放送局が制作したプロコンテンツに限られるため、広告掲載環境としての安心感も高いです。ブランドセーフティの観点からも、広告主様からTVer広告が評価されているポイントです。
市場の成長を数字だけでなく、広告主様からの反響からも感じられるようになりました。そんな今、次に問われるのは「OTT広告をどう使いこなすか」だと捉えています。
―広告主様が次に求めているものは何でしょうか。また、そのニーズに対して、どのような取り組みをされていますか。
福田(セプテーニ):広告主様のニーズには、大きく2つあると感じています。自社データとTVerの視聴データを組み合わせて広告配信に活用したいという、データ活用基盤としてのニーズ。そして、コンバージョンや売上への貢献をどう示すかという、広告効果の可視化に対するニーズです。
まず、データ活用基盤の整備として進めてきたのが、DCR(データクリーンルーム)の活用です。DCRとは、広告主様が自社で保有する会員情報や購買履歴などの顧客データと、メディアが保有する視聴データを、ユーザーのプライバシーを守りながら安全にかけ合わせる仕組みのことです。広告主様側のデータポリシーの関係で連携が難しいケースもありますが、セプテーニとしてTVer DCRの活用環境を整え、広告主様への提供を開始しました。
株式会社TVer 広告事業本部 佐野史尭氏
佐野氏(TVer):市場では、Amazonプライム・ビデオのように購買データを保有するプレイヤーがデータ活用を強みに参入を広げているのも事実です。だからこそ、TVer社としてもTVer DCRをセプテーニと連携しながら活用していくことが、直近の重要テーマの一つとなっています。セプテーニが持つ広告運用のナレッジとTVerが保有するデータをかけ合わせることで、これまでにない新しい価値を生み出していきたいと考えています。
福田(セプテーニ):広告効果の可視化に向けては、TVerにログインしたユーザーの情報に紐づく「TVer ID」を活用した計測ロジックの模索を続けています。例えば、「IPアドレスとTVerのIDを紐付けることで、TVerならではの精度で広告計測ができるのではないか」といった仮説を、この1年間TVer社と具体的に議論し続けてきました。まだ道半ばではありますが、これが実現できれば、認知にとどまらず購買行動への貢献まで可視化できる可能性があります。
獲得広告を主軸に考えていた広告主様にも、TVerというメディアの新たな活用像を提示できるようになっていくはずです。そこまで到達できれば、OTT市場全体のゲームチェンジにもつながり得ると捉えています。
廣橋氏(TVer):TVer社としても、独自のデータ基盤を強化するため、全社を挙げてTVer IDの取得率(ログイン視聴の割合)の向上に取り組んでいます。確固たるIDデータが増えれば増えるほど、先ほど福田さんが仰った、購買行動の可視化の精度も飛躍的に高まります。
セプテーニからいただく広告主様の生の声は、開発の優先順位を判断するうえでも非常に参考になっていて、PoC(概念実証)の段階から協力いただけるセプテーニとの関係性があるからこそ、新しい取り組みを前に進めやすい環境があります。
―5年間のパートナーシップを経て、今後セプテーニとTVer社はどのような関係を目指しますか。
福田(セプテーニ):まず個人として、そしてセプテーニとして、これまでの取り組みを続けながら進化させていくことが使命だと思っています。OTT領域の市場規模を桁1つ変えるくらいのインパクトをもたらすべく、今後も連携を強化していきたいです。
現在のOTT市場はすでに数千億円規模と言われていますが、1.7兆円を超えるテレビCM市場の規模を踏まえると、1兆円を超える大台へと成長する十分な伸びしろがあります。そう遠くない未来にこれを達成するポテンシャルを秘めており、TVerを中心としたメディアの皆様とともに、この市場の成長を牽引していくことこそがセプテーニの役割だと考えています。
廣橋氏(TVer):OTT市場が成熟していくなかで、TVer社自身もあらためて自分たちの価値と立ち位置を整理しなければならないフェーズに来ていると感じています。そのなかで、自分たちだけでは気付ききれない視点も多く、広告主様のリアルな声を一番近くでキャッチしてくださっているセプテーニが議論のパートナーでいてくれることは、非常に心強いですね。
新メニューの開発やレポーティングの改善など、開発のレイヤーにまで踏み込んでご意見いただける関係性を、これからも大切にしていきたいと考えています。
佐野氏(TVer):先ほどDCRの話にも触れましたが、これまではTVer広告の「アッパーファネル」での活用を軸に、セプテーニの皆さんから多くの広告主様へご提案いただいてきました。今後はそこからもう1歩踏み込み、TVerが保有するデータとセプテーニが持つ広告運用のナレッジをかけ合わせながら、これまでになかった新しい価値を一緒に生み出していきたいと考えています。
福田(セプテーニ):最終的に目指しているのは、TVerをはじめとする「OTTといえばセプテーニ」という状態です。
広告主様がOTTに対して正しい理解を持ち、正しい活用ができている、そしてその中心にセプテーニが常にある——それが私たちの目指す姿です。OTTへの出稿をこれから検討されている広告主様の皆さんにも、ぜひその議論の入口からお声がけいただければと思います。